序章
悪夢のはじまり
 ……いつになれば私たちは解放されるのだろうか。はたして安寧(あんねい)の日がおとずれるのだろうか。どす黒い血の渦巻いたようなこの場所から抜けだせる機会が、くるのだろうか。

 私たちはいま、夢を見ている。(いや)、夢の中に閉じ込められている、といったほうが正しいのかもしれない。もとの世界で過ごせる時間はあの頃と比べて圧倒的に短くなり、徐々に体力を奪われているにもかかわらず、この危機的状況に身を(ゆだ)ねはじめているのはたしかだ。

 錯覚であることはわかっている。しかし、頭では救いを求めていても、身体は境地を悟ったかのように動かない。往生際が悪いのか、(いさぎよ)いのか、そのあたりの判断もつけられそうにない。



 ……だが、それでもいいのかもしれない。私たちよりもあの子が無事でいてくれさえすれば。あの子まで巻き添えにしてしまったら一巻の終わりなのだから。





 だから、あの子だけでもいい…………!











 誰か…………だれか…………!!





























 たすけてくれ……………………!!

野村煌星 ( 2015/02/19(木) 14:01 )