chapter5 [ヨスガ支部]
グランドレイク ヨスガ支部の廊下で
金髪の青年は レナードに噛みつくような口調で言った
「どういうことか説明してもらおうかレナード
一昨日の任務でキマイラから奇襲を受けてサーナイトを負傷させた挙句に
コトブキのイカれた奴らに連れていかれただと!?」
出合い頭に出てくる台詞がそれか 相変わらずだなこいつは…
「説明の必要はなさそうだがアルバート」
名前はアルバート・クラーク
レナードと同じくグランドレイクの戦闘員 ヴァレットはレントラー
天才と称されるほどの射撃センスを持つ 実力のある自信家である
「大方の説明はナナさんから聞いた やはりお前に彼女は任せられんな
…だが まあ 何も失わずに戻ってきたんだ よくやったほうか…」
わずかに陰りのある表情でアルバートは呟いた
「これ以上グランドレイクを人手不足にするわけにもいかんだろう
まあ任務をこなせないようじゃ ナナちゃんに狙撃されるほうが先だろうがな」
「それで、サーナイトはまだコトブキから戻ってこられ…っ…サーナイト!」
アルバートは廊下の向こうから歩いてくる二人を見て 輝かしい声で叫んだ
検査の終わったサーナイトを連れてきたナナは その様子に苦笑した
「まったく、呆れるほど一途な奴だ レン、サーナイトを返すぞ 傷は完治したし異常もないそうだ」
『ただいま戻りました マスター!』
青年のもとに駆け寄るサーナイト、
いきなり飛びつかれて困惑するレナードと
それに嫉妬しつつも嬉しそうなアルバート
「なあお前たち、ヴァレットは…」
ナナはそこで口をつぐんでしまった
そして三人に背を向けて 階段のほうに歩いて行った
「……いい 何でもない。 休憩時間もそろそろ終わりだ オフィスに戻るぞ」
ヴァレットは戦いの道具、それをもっともらしい言い回しで説教しかけた彼女は
目の前の和やかな雰囲気にたじろいだ