chapter4 [トバリシティ]
コトブキ支部はグランドレイクの中でもかなり特殊な組織だ
優れた医療技術と科学技術を持ち グランドレイクの戦力増強に最も貢献してきたと言っても
過言ではない ただしその優位性から 自分たちの都合の良いようにしか動こうとしない
ヴァレットの身体検査に対しても黒い噂が絶えない
白衣の者達は車に乗り込んだ
「やっと諦めたみたいね あの子 途中から睨むしかできなくなって見ててかわいそうだったわ」
「彼女 例のヨスガの猟犬だろ もっとデータが取れそうなのに 勿体ない」
「仕事中ですよ皆さん…それでは我々はこれで
お二方 この町はヨスガほど治安はよくありませんので くれぐれも帰りはお気を付けて」
ナナは軽く舌打ちをして言った
「…とっとと消えろ」
やり方は気に入らないが サーナイトの負った毒に関しては
彼らの技術を信頼するしかないか
青年はあからさまに機嫌の悪い上司のほうに視線を移した
髪から汗が滴っているし 顔も赤い
あの後ルカリオと走ってここまで来たんだろう
常人には無理だが 彼女のスタミナがあれば可能だ
「…まあ こんなものだよ 戦闘員とヴァレットの扱いなんて
作戦は成功、 キマイラを討伐し お前もサーナイトも生き延びた
レンの選択の方が正しかったみたいだな」
彼女は青い眼で微笑んだ どことなく申し訳なさそうに
「……。」
言いかけてやめた
自分はもう一つの選択肢を 持つことが出来ないだけだ
「帰るか ヨスガシティに」