chapter3 [トバリシティ 地下水路]
ここまで胸の器官を圧迫されていては サイコパワーの制御ができない
そんな状況でサーナイトは最大限の 電磁波を放った
電磁波はキマイラの腕を痺れさせ 自分自身をも貫いた
『…今です マスター…!』
「よくやったサナ これで終わる…」
青年は 青白く輝く刀を振り下ろした
「お前たちは何もわかっていないことを知るべきです…直にあのお方がシンオウを……!」
圧縮されたフォースが刀身から放たれ 怪人を内部から斬り裂いていく
地下水路にキマイラの断末魔が響き渡り 紫のゲル状の身体が崩れていった
レナードは倒れかかっていたサーナイトの身体を慌てて支えた
『申し訳ありません マスターをお守りするはずが 足手まといになってしまいました…』
…謝るのは俺のほうじゃないか もう少しでこいつは命を落とすところだった
毒を喰らってから時間が経ちすぎた
赤くなった頬と 止まらない汗が 危険な状態であることを示している
「もう無理に喋らないでくれ 俺も注意が足りなかった それでこのザマだ すまない
それと…俺はお前を切り捨てるような選択はしない ヴァレットと共に戦う
今までそうやって生き延びてきたんだ これからもよろしく頼むぞサナ」
『…はい。』
サーナイトは和らいだ表情になって 青年の腕の中で目を閉じた
ヴァレットをボールに戻し 地下水路から地上に出た戦闘員は
数人の白衣とマスクをつけた者達に囲まれていた
一人の男がサーナイトの入ったボールを奪っていった
「こちらB班、レナード・ティーガーのヴァレットを回収しました このままコトブキに向かいます」
「!? 待て お前らサナをどうする気… ナナさん?」
汗だくで息を切らした黒髪の女性と その隣に彼女のヴァレットであるルカリオがいた
彼女は憎々し気に 白衣の者たちを睨んで言った
「すまないなレン 私たちにはどうすることもできない
今回の戦闘でサーナイトは負傷し毒もくらった…
強制的にコトブキ支部での検査に回されることになる」