04 謙虚なナイトとわたひつじ
雨が降り込んでくるのでエルフーンが窓を閉めようと近づいたその時だった
おびただしい量のアシッドボムがとんできてエルフーンに命中、
彼女は弱点である毒を浴びせられて悲鳴をあげながらその場に倒れた
畳にも酸がかかってすごい量の煙が出ている
「こいつ…よくも私にこんな…!」
不意打ちを喰らったエルフーンはすでに崩れそうになっていて
ふわふわした綿毛は半分くらい黒こげになっていた
「…不死の薬の材料を集めているのは貴様らだな」
煙の中から音もなく一匹のアギルダーが現れた
材料をよこせとか言ってくるので「何のことかわからない」と白を切ったら
写真を何枚か取り出した
「ここに写っている薬商人のエルフーンと騎士のシュバルゴとは貴様らのことだろう」とか鬼の首取ったように騒ぐので
「どうやってそれが俺たちだって証拠だよ
俺はただの通りすがりの古代からいるシュバルゴ
俺が思うに全くの別人なのではないか?
写真では見分けつかないことが稀によくあるらしい」と見事なカウンターで返してやった
そしたら「御託はいい お前に選択肢などないんだ この女を死なせたくないならさっさと材料をよこせ!」とかすごい形相で怒鳴ってきた
俺が少し困っているように振る舞うと多分勝ち誇った気分になったんだろうな
アギルダーは高笑いしながら部下のニョロトノに雨を降らせて奇襲しやすい宿に誘導したこと、不意打ちでエルフーンに毒を浴びせて
有無を言わさず薬の材料を奪い取る作戦のことなどを得意げに語り始めた
どうやら庭に潜んでいるニョロトノと木の上に隠れているゲッコウガも仲間らしい
卑怯な作戦を得意げに自慢してくるアギルダーがそろそろ不快になってきたので
「こいつら絶対忍者だろ・・汚いなさすが忍者きたない
俺はこれで忍者きらいになたったなあもりにもひきょう過ぎるでしょう?
圧倒的有利な立場に立っているつもりだろうがそれが勘違いだといい加減気付けよ
ナイトは高みにいるから刺客の襲撃にも寛容だったがいい加減にしろよ
俺はこのままグラデシアの種子と太歳をバラバラにしてやってもいいんだが?」
と俺が言うとアギルダーはぎょっとした表情になって
「ふっふざけるな! やはり貴様らは不死の薬の価値をまったく理解していない 馬鹿な真似をする前に奪い取ってくれる!」とか叫んだ
エルフーンのほうはというと畳の上に倒れたまま「よくやった、それでいい」と不敵な笑みを浮かべていた
よく見るとアシッドボムが派手に焦がしたのは綿の部分で エルフーンはたいしてダメージを負っていないのがわかった