三曲目 ギルド遠征
十四小節目 追われ身の使者
突然ですが、僕たちはとても緊張している。
何故?何故ならば、今僕たちは朝礼だから。
それも、ただの朝礼じゃあない。

「これより、ギルド遠征のメンバーを発表する。」

「キャーッ!ドキドキしますわーっ!」

「う、うるさいでゲス。」

「ご、ごめんなさいですわ。でも、遠征メンバー発表はいつでもドキドキしますわ。」

「では、発表する。」

「ゴホン。」とホルトは咳払いすると、プリルから受け取っていたのだろう、紙を広げた。

「ええと。まず、親方様と私。これは決定。では、次ー。」

とてもドキドキする。
選ばれない、というのもある。テナは修行に行ってたから、あまり成果をあげてないから、選ばれないってのもある。
遠征メンバーはチームだろうがお構い無しだそうだ。

「次。サフラ、ハイス。それからディッタ。」

「わ、私。選ばれましたわっ!」

「お、俺もだ。ディッタもだな。」

「はい。でも、父上が…。」

「心配するな、ディッタ。ディルトス、お前もだ。あと、ギロウとグレイ、それからベルもだ。」

「ほ、本当かっ!?…ありがたい!」

「ヘイヘイ!選ばれたぜ!」

「わ、わたくしもですわ…。よ、良かったです…。」

ギルドの皆が安堵の声を上げる。
だが、呼ばれてない僕たちはハラハラ。特にテナは冷や汗を垂らしている。

「テナ、大丈夫?」

「ああ。と、言いたい所だが、正直ヤバい。心臓バクバクいってる。」

「テナも選ばれるよっ!ねっ!」

アリアの「安心させる笑顔」発動。
はちきれんばかりの笑顔でテナを安心させようとする。
最近、この笑顔がアリアに張り付いてきたなぁ…と思う。

「ア、アリア…。ありがとな。」

「さて、と…。あとは…と。(親方様…。字が汚くて読めない…。あとはぁ…?)
アルト…。アリア、ソフラか。あとビダ。(ここまではかろうじて読めるが…。最後のこれは何だ…?グシャグシャにしか見えん。ミスしたのか?これは)」

「…っ!テナは…?」

「テナも遠征メンバーだよ♪」

そこで声を発したのは他でもない、プリルだった。
プリルは鼻唄を歌いながら、前へ一歩出た。

「遠征は皆で行くよ!もちろん、ドクローズの皆さんもね♪じゃあ、明日出発するから、今日は準備日ってことで、かいさぁーん!」

「ちょ、親方様!ギルドは留守番の者がいないのですがー」

「そんなもの、カギを閉めれば大丈夫♪」

「お、親方様ぁ…。」

皆で行く、ということはホルトも知らなかったようで、ちょっと戸惑っている様子。
だけど、プリルのこの感じは今に始まったことでは無いので、ホルトも早々に諦めた。




「とまぁ、皆で遠征に行けて良かったね!」

「そうだね。テナも無事選ばれたし。とりあえず準備しよっか。」

「「「おーっ!」」」



テナも選ばれたので、気兼ね無く遠征の話ができる。
選ばれてないと、ちょっと気を使ってしまうしね…。

「とりあえず、カクレオン商店の方に行こう。そこで準備して、あと倉庫に行けば万全なんじゃないかなぁ」

「そうだな。じゃあ、ここは手分けしていこう。俺とソフラはカクレオン商店に行こうぜ。ソフラとあまり話したことが無いから、ちょっと話してみたいと思ってたんだ。」

「分かりました。では、各自手分けして。終わったらどうしましょう?」

「じゃあ、この先のサメハダ岩でいいんじゃないかなぁ。あそこ、人気があまり無いし。」

「じゃあ、サメハダ岩で。各自スタート!」



僕たちはガルーラおばちゃんの元へと向かった。

「いらっしゃい、アルト、アリア。」

「こんにちはっ!おばちゃん!遠征メンバーに選ばれたから、道具を引き出しに来たよ!」

「そうかいそうかい。そりゃおめでとう!お前たちは依頼こなして道具引き取ってなかったからねぇ…。たくさんあるよ!ふっかつのたねとか。オレンの実とか。」

「じゃあ…。ふっかつのたねとオレンの実をあるだけ貰えるかなぁ?」

「あいよっ!ふっかつのたね8個とオレンの実15個!」

「結構あるねぇ…。」

沢山あるふっかつのたねとオレンの実をトレジャーバッグへとしまうと、ありがとう!と手をひらひらした。


「ねぇ、アルト。あそこのポケモン、ぐったりしてない?」

「よし、行ってみようか。アリアの力で癒せるかもな。」

「うん。」




「やっぱり。あれは、ラプラスかな?」

「ラプラス?」

「うん。この辺りだと、とても珍しいよ。…大丈夫ですか?」

「んんっ…。あなたたちは…?」

「私たちは探検隊のポケモンズです。ケガ…してる。」

アリアは息をすぅ…と吸うと、ペルジスの唄を歌い始めた。

〜♪〜〜♪〜

周りの水がラプラスを優しく包み込んでいく。
傷にしみるかと思われた海水はしみるどころか、傷を癒していく。

「まさか、ここで出会えるなんて…。あなたが…。そうでしたか…っ!」

「へ?何か言いました?」

アリアが歌いきると、傷は跡形もなく消えていった。
ラプラスは「ありがとうございました」と深々とお辞儀をした。

「私はラプラスのラビィナです。きっとあなたたちとはまた会うでしょう。その時までー。…来たか…。」

ラビィナの表情が一変し、水のなかに姿を消した。
来たか…って、なんだろう?
何が来たんだろう。

「ラビィナさん、また会うでしょう…だって。なんだろうね。」

「うん。とりあえず、準備終わったし行こっか。」

僕たちが足を動かそうとすると、上から声がした。
これは…テナか。

「おーい!アリア!アルト!何してんだ?」

「ううん。何でもないよぉ!今行くねぇっ!」

「早くしろよ!ホルトが呼んでるらしいぞ!」

「そ、そなのっ!?急ごう、アルト!」

「え、あ、うんっ。行こっか。」

僕たちは、快晴の空を泳ぐ太陽を背に、ギルドへと戻っていった。








「まさか、あそこで会えるだなんて…。神も私を見捨ててはいなかったのですね…。」

「あの娘に会ったのかい?ならば、僕たちに協力を求めなきゃね。」

「いや。きっとあちらから来るよ。…いつか。」

うに。 ( 2018/03/16(金) 19:55 )