十小節目 滝の裏 洞窟の先 温かい温泉
「みーっつ!皆笑顔で元気な明るいギルド!」
「よーし!皆、今日も取りかかるよ!」
「「「「おーっ!!」」」」
本日も、(本日こそ)依頼かぁ〜。
ため息が出る。
そろそろ、探検隊らしく冒険でもしてみたいなぁ…なんて。
「おいっ!ポケモンズ。ちょっとこっちに来てくれ。」
「ふぇ?」
「随分間の抜けた声だな、アリア。」
「う、うるさいなぁ〜っ!」
「早く来い。全く。」
「は、はぁ〜い…。」
ホルトからの呼び出し…となると、もしや探検とか??
だと嬉しいんだけどね。
まぁ、現実的に考えればそんなことー。
「今日は探検隊らしく、探検に行ってくれ。」
「マジですかっ!?」
「荒ぶるな、アルト。」
「ご、ごめん。つい…。」
「親方様から貰ったかばんの中に、地図が入っているだろう?それを出してくれ。」
僕は方からかけているかばんから地図を取り出した。
雲が沢山かかった、不思議な地図だー。
「これはな、不思議な地図と言う。」
そのまんまだな。
「なんだ?アルト。そのまんまだな。とか思ってるのか?顔に書いてあるぞ。」
「うげ。バレたか…。」
「…はぁ。話を続けるぞ。…それで、この地図の…。丁度このあたりだ。ここに大きな滝があって、そこにはダンジョンがあるのではないかと思われている。…が、そこの滝は大きいため、ダンジョンを見つけられなくても回りとかを調査してきてくれ。」
「「「「はーい。」」」」
やっと…やっと探検隊らしい活動が出来るっ!
はしゃぐなって?はしゃいじゃうじゃあないかっ!
だって、ポケモンズ結成から初めての調査だよっ!これはうきうきしちゃうでしょっ!
「荒ぶるなよ、アルト。」
「あれ?声に出てた?まさかの。」
「うんっ!バリッバリに出てたよ〜」
「笑いながら言わないでくれる?アリア。」
「アルト、うるさいですよ?」
「スイマセン」
「さて、十字路に着きましたね。では、行きますか。」
「「「「おーっ!」」」」
「ついたー!」
「わあっ…おっきぃ…滝…っ!」
「そうだな。圧倒される。迫力があるなぁ…。」
「テナも圧倒されるだなんて…。た、たしかに迫力が物凄いですけど…。」
「これさぁ、ちょっと近づいてみてもいいかなぁ?」
「落ちるなよ。」
「うんっ!」
アリアが恐る恐る滝に近づく。
「ひゃんっ!」
「大丈夫?アリア。」
「うん。ただ、すっごい水しぶきだよぉ…。ほら、アルトも近づいてみなって。」
「そう、だね。」
僕も、でっかい滝に近づく。
水しぶきが凄いな…。
落ちない程度に近づいてみるとー。
「うわぁっ!」
「でしょでしょっ!凄い水しぶきでしょっ!」
「ああ。凄いな、コレ。」
改めて大きな滝を見上げる。
近づくと、立ってもいられないくらい、水の勢いが凄い。
僕が座ってる所まで、微かに水がかかる。
結構離れてるんだけどな…。
ー…んっ…!ー
…来た。
あの、目眩だ。
今回は、映像だろうか?それとも、音声?
映像か…。
場所は、ここ。滝の前だ。
そして、一匹の丸いポケモン。見たことのあるシルエットだ。
そのポケモンは、回りを気にするようにして、その滝にダイブ!
…え?
ダイブッ!?
ここで、映像は止まった。
生きてるのか?コイツ。
でも、どっかで見たことのあるシルエットー…。
頭に浮かんだのはただ一匹。
ギルド長のプクリン、プリルだ!
推測ではあるが、シルエット似てたし、そうではないのだろうか?
ということで、映像の内容と考察を皆に話した。
「うーん…。そっかあ、プリルらしきポケモンがここに飛び込んだと…。で、もしそのポケモンがプリルだったら、ここの滝の奥には洞窟があるってことなんだよね?そしたら大大大発見だよっ!」
「待て待てアリア。もしここの奥に洞窟が無かったら、その後ろの岩に衝突だぞ?重傷じゃ済まされないかもだぞ?」
「そ、そうなんだけどぉ…。」
「飛び込むなら、一人一人が腹をくくらなければなりませんよ。中途半端にぶつかれば、どのみち死ぬんですから。だったら、本気でやったほうが、もしかしたら洞窟に繋がってるかもしれませんし。」
「確かにそうだよね。僕は、行こうと思う。」
「私も、行きます。言い出しっぺですからね。」
「わ、私もっ!腹、くくったもん!」
「あとは、テナか。」
テナはうーん…と唸っている。
しばらく目をつむっていたが、やがて、ゆっくりと目を開いた。
決断したようだ。
「オレも行く。洞窟が、あるといいな。」
「そうだね!じゃあ、早速突っ込もう!」
「元気だね、アリアは。じゃ、さんにいちで突っ込むよ!」
ーさん… にぃ… いちっ…!ー
「「「「でいやぁーっ!」」」」
「ってて…。て、ここは?もしかして、死んだ?」
「お前も死んだらオレも死んだことになるよな。だから、勝手に殺すな。生きてる。」
「皆、無事?」
「私も何とか。」
「しっかし、ここにこんな洞窟があったなんてね。正直ビックリだよ。で、ここまで来たら進むよね?」
「も、もちろんでしょっ!」
「はいっ!」
「…おう。」
「じゃ、出発しんこーうっ!」
こうして、ポケモンズ一行は初めての洞窟探検へと向かっていった。
「それにしても、結構デカイな。この洞窟。」
「そうだね。そして地味に敵は強いし。」
「ここ水タイプ多いから、苦戦するよぉ…。」
「私も苦手では無いのですが、地面タイプが入ってくると役立たずになりますね…。となると、テナが一番有効ですね。」
「そうだな。ま、オレの出る幕を無くしてるヤツに言われたきゃねぇけどな。」
「テナって戦闘好きでしたっけ?」
「好きだぞ?意外か?」
「「「うん。」」」
「三人声合わせて言うなよ。」
滝の裏の洞窟は後に「たきつぼの洞窟」というように命名。
まぁ、どうでもいいけど。
それより、あのプリル似のシルエットは一体誰なんだろう…?
「おいっ。そろそろ一番奥底に着いたんじゃねぇか?」
「ほ、ホント?お宝とかあるかなぁ?」
「それは分からないけど。どうだろうね?」
「あるといいね!」
「あ、あれ。光ってませんか?」
「よし!行ってみよう!」
奥底には宝石がコロコロ転がっている。
青、赤、透明とか色んな宝石がある。
「ねぇ、あの宝石はなぁに?とっても大きいよ?」
「ほ、本当だ…。行ってみよう!」
「ちょ、ちょっと待てよ…。疲れてんだよ、こっちは…。」
「ちょっと、休憩させてください…。」
草タイプのテナと、電気タイプのソフラの技を乱用したため、あの二人はとても疲労しているのだろう…。
僕とアリアはほとんどの戦ってないので、走る元気がある。
「大きいね、この宝石。」
「うんっ!とれるかなぁ…?…んんっ…んぐぐぅぅっ!!…と、取れないやぁ…。」
「ホント?んぐぐぅぅっ!!んんっ…。」
顔を真っ赤にして引っ張ってみるも、びくともしない。
ちょっと…休憩しよう…。
どさっと腰を下ろすと、テナとソフラもこちらへやってきた。
…あれ?
…また来るの…?
今回も映像だ…。
プリル似のポケモンがあの宝石を押している。
押すと、地響きが鳴ってー…。
右手の方から大量の水が流れ、そのポケモンは流されていった…。
ここまでか…。
「ねぇっ!押してダメなら引いてみなっ!てことで、押してみるね!」
「ちょっ!…」
ポチッ。
「ボタンみたいな音したけど…。…ん?」
「ごごごご…って、地響きか?」
「ち、近くなってませんか?」
ズシャァーン!
「み、み、み…っ!」
「「「「水だぁーーっ!!」」」」
あれ?
飛ばされたのか?
「気がついたかのぉ?青いチビすけ。他の皆は目を覚ましているぞ。」
「大丈夫?アルト。」
「うん…。ここ、は?」
「温泉らしい。あの水流で飛ばされたらしくて。ここまで。」
「へぇ…。結構飛んだね。あそこでしょ、あの滝。」
指差した先に滝はある。
結構遠いな。本当に飛ばされたな…。
「にしても、ここのお湯は疲れが癒えるな…。ここにしばらく滞在してくか…。」
「そうだね…。ホルトには後で言えばいいんだ…。」
「はぁ〜。」
「「「「極楽…」」」」