八小節目 トゲトゲ山
「やっと着いたってトコか。」
「うん。ここから登るのね…頑張ろ!テナ。」
「おう。」
二匹は急いで急いで急ぎまくって現在、トゲトゲ山の麓にいる。
「ソフラの電撃を見るまで、細心の注意を払いながら行くぞ。広場の方も気にしながらな。」
「うん。その時は狼煙を上げれば良いんだよね?」
「あぁ。そこらへんの木に少しの炎を付けるだけで煙は立つからな。ーと、行くぞ。」
少し一息入れた二人はトゲトゲ山を再度見る。
アリアは大きい山に圧倒されながらグッと拳…は握れないので意思を固めた。
「もう、ビビってる場合じゃないんだよ!頑張れ、アリア!」
「お。やる気だな、アリア。その調子で行くぞ。」
「うんっ!テナもビビってるんじゃないの?」
「っ!?…はぁ。若干な、若干。」
「テナもビビるんだ…。」
「う、うっせえな!行くぞ。ったく。」
少し肩の力が抜けたテナはふぅっと息をつくと、目付きが変わる。
覚悟を決めたのだろう。
二人はズンズンと山を登っていった。
「ここらへんが中腹ー。というか、真ん中辺りだな。どうだ?電撃、上がってるか?」
「ううん。ずっと見てたけど。まだかな。」
「…そうか。少し休んだら行くぞ。それにしても、オレに不利な相手が多いな…。疲れる…。」
「飛行タイプが多いものね…。飛行タイプは任せてっ!」
「言われなくても任せてるだろ。たいあたりしか有効打が無いんだから。火の粉の方が効くよな、ぜってぇ。」
「まぁ、ね。じゃ、かくとうタイプはよろしくね!」
「はいはい。かくとうタイプ以外誰を相手にしろと?」
「だからよろしくね!って言ったじゃん。」
「はいはい。…と、電撃が上がったな…。2回か。アリア。狼煙。」
「?はーい。2回なら正解なのよね?なら、ズンズン進まなきゃ。」
「お前が狼煙を上げたら動くぞ。ここからは、一気に行く。」
「…うん。」
アリアが狼煙の準備をする。
地面が露出している所に木の枝を置くと、火の粉を少し放つ。
いい感じに煙が上がる。
「見える…よね?」
「あぁ。十分。休憩もいいよな?行くぞ。」
「…うんっ!」
休憩も終わり、二人はまた沢山のポケモンの相手をしながら頂上をめざす。
「テナ!こっち!」
「ったく!」
軽やかな動きで敵を翻弄するとテナはワンリキーを、アリアはムックルを相手に技を決める。
テナはつるのムチでワンリキーを縛ると、ムックルに投げつけた。
見事にヒット!
「ちょっ…。テナっ!投げるときは言ってよ!」
「あぁ。ごめん。オレの技術ならアリアには当てないと思って。」
「当たったらどうすんのよっ!」
「うるっさいなぁ…。先行くぞ、先。」
「あっ!無視しないでよっ!」
頂上まで、あと少し。
一方ー。
ルリリは。
「あの、スリープさん。水の、水のフロートは?」
「ごめんな。実は君を騙してたんだ。」
「っ!?お兄ちゃん!助けてっ!」
「黙れよ。お前の体なら、そこの穴にある宝を捕れんだろ?捕れば、痛くはしない。」
「お。お…。」
ーお兄ちゃんっ!助けてっ!ー
「ねぇ、テナ。今叫び声しなかった?」
「あぁ。聞こえた。となると、頂上まであとちょっとか。急ぐぞ。」
「うん。」
さっきより速歩きで頂上を目指す。
あと、あと少し…。
「あれ、頂上じゃない?」
「そうだな。走るぞ!」
頂上を見つけた二人は走って、走って…。
頂上に着いた。そこにはー。
「っ!スリープ!その子を離せ!」
「そっ、そうだっ!」
「うるせぇ。お前らは広場でリオルとかといたヤツらだろ?探検隊か?ならば倒さなきゃな。」
スリープは完全にテナとアリアを倒す気だ。
「アリア。ペルジスの唄を歌え。そうすれば傷が癒えるんじゃないか?」
「そ、そっか!い、いくよっ!」
アリアはすうっと息を吸った。
「〜♪♪〜〜♪♪〜」
「おおっ。傷が、癒えてる…。ん?」
テナの傷が癒えてー。アリアの傷も癒えた。
その他に、トゲトゲ山のトゲがピキピキッと音を立ててひび割れている。
「アリア!あのトゲがスリープに当たれっ!とか思いながら歌えっ!」
「え?あ、うんっ!」
〜♪〜〜♪〜
ピキッ……ピキピキッ……!
トゲが完全にひび割れ、取れたと思えばそのトゲはスリープに向かって直撃した。
アリアの力。
憶測だが、ペルジスの唄をアリアが歌えば思ったように物を動かせたり出来るのだろう。とテナは考えていた。
「ググッ……てめぇ、よくもやってくれたなっ!今度は…こっちの番だっ!」
「そうはさせるかっ!」
テナがいち早くツルを出してスリープを縛り上げた。
「…てめっ…離せこの野郎っ!…ぐあっ!」
「少しでも喋ったらこのツルをきつくするからな。」
「ぐっ…。」
テナは鋭い目付きでスリープを威嚇すると、ルリリに近寄った。
アリアも歌い終わってルリリに近づく。
「大丈夫?ケガ、してない?」
「え?あ、はい。ありがとうございます…。本当に…助かりましたぁ…。うぐっ…」
安心の余り、大粒の涙がルリリの目からボロボロ。
その姿を見て、テナがポンッと手を置く。
「もう、大丈夫だからな。アリア、ルリリのことをおんぶしてくれないか?頑張れば行けるだろう!ってことで。」
「…うん、頑張る、けど。テナも大丈夫とか言うんだなーと思って。ほら、優しさの欠片も無い人だと思ってたからさー。」
「それは貶してるんだよな?一発ぶっていいな?いいよな?ケンカ売ってんだもんな。」
「ほら、そーゆーとこ。てか、行こっか。多分アルト達ともすれ違うよね。で、ジバコイル保安官達にこのスリープを明け渡して終わりかな。これも依頼だし、報酬、貰えるよね?」
「多分な。とりあえず、下山すんぞー。」
今一度スリープを縛ったツルをぐっと縛り上げて下山した。
テナとアリアが戻ってくるときに、アルト達とも会ってー。
現在はいつもの弟子部屋に集まった。
「お疲れ様です、二人とも。」
「いやぁ。それほどでも…。」
「今日、少しやってみて…。多分推測なんだが、アリアはペルジスの唄を歌うときに、思ったように物を動かせたりするのではないのか?という一つの仮説が出た。…だから、アリア。試しにこの藁のベッドを浮かしてみてくれ。」
「わ、分かったっ!」
〜♪〜〜♪〜
念じて歌った結果はー。
「「「おーっ!」」」
見事にベッドは浮かび上がった。
テナの仮説は合っていたのだろう。
「だが、きっと欠点もあるだろう。傷を治せたりするというところも考えれば念じたことを実現させることが出来る。という方が正しいんだろうがー。まぁ、そこは要観察だな。」
ー君たち。その事なら僕も少し知ってるよ。ー
「っ!プリル!?」
「やぁ、ポケモンズの皆。それはねぇー。」
ーペルジスの力というハズだよ!ー
「ペルジスの力…?」
「うん、そう。噂だと思ってたけど、本当だったんだねー。よしっ!知ってることを話そうではないか!」
ペルジスの力って一体ー!?