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「ニドヘグ! 相手をしてやれ!」
勇んで出てきた相手は、ガブリアス。強いポケモンとして名高い相手で、レベルは六三。良く育ってはいるものの、正直相手は悪い。というか、いつの間にかガバイトから進化してるし……すごいね。
「ブレイク、龍の舞!」
「ニドヘグ、防御を固めて相手の攻撃を受けろ!」
そこで、相手が選んだ方法は防御に徹すること。サメ肌の特性を持つガブリアスがゴツゴツメットを装備していれば、物理攻撃の使い手は引け腰になるしかない。しかし、防御を固めろとは言っても、オノノクスはただでさえガブリアスよりも力が強く、その上レベルも高く、ダメ押しで龍の舞を積まれた今、防御に徹したとしても相手の拳をずたずたに出来るだろうか?
「ブレイク、自分の手が痛く無い方法でやってやれ!」
「空へ退避、そのままぶつかれ」
ウィル君とドワイトの指示が交差する。ブレイクが地響きを起こす勢いでニドヘグに駆け寄り、地面を叩いて地震を起こす。地震を起こせばサメ肌もゴツゴツメットも関係ない。周りのギャラリーまで転んでしまうほどの揺れを引き起こし、それは何とかニドヘグも避けて、相手にドラゴンダイブをかます。ゴツゴツメットで頭を守りつつのドラゴンダイブ。ブレイクはそれを自慢の牙で受け止め、ゴツゴツメットごと叩き割る勢いで押し返す。
ガブリアスの細い体では、大木のようなオノノクスの首の筋肉には勝てず、ドラゴンダイブで首を痛めたのかニドヘグがヒレの手で首をさすっている。ブレイクも牙の付け根にダメージを負ったものの、相手のゴツゴツメットにはヒビも入っていて、双方ともにダメージは大きい。
「決めてやれ、ドラゴンクロー!」
「やり返すんだ!」
ここでウィルとドワイト、二人の指示が同時に行われる。しかしだ、ニドヘグのドラゴンクローはブレイクの腕を狙った、浅い一撃。その踏み込みの甘さを見切ってか、紙一重でかわしたブレイクのドラゴンクローが、サメ肌も生えていない脇腹のあたりを突き砕く。ダメージは見るからに甚大、ニドヘグは地面に跪く。
ニドヘグがありったけの敵意を込めてブレイクを睨みつけるも、ブレイクは冷静に鋭い爪を構えたまま眉間につきつけており、相手を殺さんばかりの殺気で睨みつけている。
「うん、次だね」
ウィル君はあくまで冷静にそう告げる。
「しゃーねぇ……奥の手、出すか。今までのはまだ若くって成長途上だからいいわけも出来ていたけれど……こいつやられたら言い訳はできねーわな」
悔しそうに歯を食いしばりながらドワイトが繰り出したポケモンは、タブンネだ。改めてスキャンをすれば七一レベル。あれからさらにレベルが上がっている。しかも、ウィル君のオノノクス以上だ。
「いでよ癒せよ、ダイフク! メガシンカ!!」
「メガシンカが終わったら毒突きだ、ブレイク!」
それだけじゃない、どこで手に入れたのか、ダイフクはメガストーンまで首に下げている。ドワイトのキーストーンはベルトにあるようで、腰に巻かれたベルトのバックルに触れることで、タブンネはメガシンカする。メガシンカする際には猛烈な勢いで周囲からの攻撃を拒む生命エネルギーの波導が出るため、メガシンカの最中に攻撃することは出来ない。その間、ブレイクは呼吸を整え毒突きの準備。フェアリーには効果が抜群……容赦がない。