ウツギと卵とプレゼント 4
「彼が旅立ちを躊躇していたのは…」
「?」
「…おそらく、2つの理由からだね」
「…何ですか?それ」
「小さい頃から、彼はこの研究所に来ていたよね」
「えぇ、確かリオちゃんと出会ってすぐの頃みたいだったから、13歳くらいですね」
「多分、その頃から彼は、トレーナーとして旅に出ることに興味をもっていたんだろうね」
「えぇ、どうして分かるんですか?」
「ほら、初めて来たときに言った言葉、覚えてる?『どうして人々は、ポケモンどうしを戦わせて、傷つけるんだろう』って」
「言ってましたっけね、そんなことも。…え? でもそれなら、トレーナーとして旅に出れば必ずポケモン勝負はしなければならないことも分かるでしょう。どうして敢えて旅立つ必要が…?」
「それが、彼の場合逆なんだよ」
「…逆?」
「彼は初めはそう思い、ポケモンバトルはしないようにしていたんだろう。でも、若葉寺でのワタル君やハヤト君、そして和尚との修行をで、彼の中で何かが変わったんだと思う」
「何か…って?」
「それは僕にも分からないが、彼は…そうだな…闘いを通してその答えを見つけようとしているのかもね」
「んん、案外そうかもしれませんね」
助手は微笑み、テーブルの上を折りたたんだ布巾でまんべんなく拭った。
2つ目の理由のことを思いながら、ウツギはのんびりと窓から空を見ていた。 旅立ちには最高の、よく晴れた、雲が少ない昼下がりである。
「親子…かぁ」
「えっ、何か言いました?」
「何でもないよ」
そうですか、と助手は笑い、そして思い出したように言った。
「あっ、そう言えば博士。卵フェチ、気持ち悪いですよ。」
「」