旅に出る
ウツギと卵とプレゼント 3

「僕が新しいトレーナーを見送るときは、彼らに初めのポケモンを渡す事が多いんだけど、生憎今は一匹もいなくてね…。」
てへへ…とでも言いそうな苦笑いの表情でウツギはケースを開ける。

「だから、君にはこのタマゴをあげようと思うんだ」
「…貰えるんですか?」
「そうだよ。しかも、タマゴの状態でだよぉ…!」

…?

段々とウツギの顔が緩み始めた。

「…始まった」
(…ありゃ)


「卵はいいよぉ、卵は…。この曲線美に独特の色…。もう虜になっちゃいそうだぁ…。しってる?ポケモン一匹一匹で表面の模様がちがうんだよぉ」

(知ってます…)
「卵フェch…」

「あぁぁ、こおぉれは実に美しい模様だねぇぇ、んんwww。薄ぃ緑にぃ深ぃ緑のぉ、鮮やかなぁグラデーショんんんwwwまさしく神のし…」

「博士!」
「おっとごめん、少し熱くなり過ぎたかな」


……


「え…と。これが何のタマゴかは言わないでおくよ。君の新しい仲間として、受け取ってくれるかい?」

2人は顔を見合わせた。ウツギには、その目の中に光る輝きがしっかりと映るのが分かった。
「はい、勿論です!」



「久しぶりですね、博士」
「ん?」
「1日に2人も旅に出る子が出てくるなんて。リク君とリオちゃん、研究の時や新しい事に出会った時も目がキラキラしてましたが、そのどれよりもずっと良い目、してましたね」

助手の1人が、ウツギに話しかけた。
彼は、2人が去った後の空のカップを洗い、静かに口を開いた。


類似 ( 2014/02/23(日) 19:21 )