ウツギと卵とプレゼント 3
「僕が新しいトレーナーを見送るときは、彼らに初めのポケモンを渡す事が多いんだけど、生憎今は一匹もいなくてね…。」
てへへ…とでも言いそうな苦笑いの表情でウツギはケースを開ける。
「だから、君にはこのタマゴをあげようと思うんだ」
「…貰えるんですか?」
「そうだよ。しかも、タマゴの状態でだよぉ…!」
…?
段々とウツギの顔が緩み始めた。
「…始まった」
(…ありゃ)
「卵はいいよぉ、卵は…。この曲線美に独特の色…。もう虜になっちゃいそうだぁ…。しってる?ポケモン一匹一匹で表面の模様がちがうんだよぉ」
(知ってます…)
「卵フェch…」
「あぁぁ、こおぉれは実に美しい模様だねぇぇ、んんwww。薄ぃ緑にぃ深ぃ緑のぉ、鮮やかなぁグラデーショんんんwwwまさしく神のし…」
「博士!」
「おっとごめん、少し熱くなり過ぎたかな」
……
「え…と。これが何のタマゴかは言わないでおくよ。君の新しい仲間として、受け取ってくれるかい?」
2人は顔を見合わせた。ウツギには、その目の中に光る輝きがしっかりと映るのが分かった。
「はい、勿論です!」
「久しぶりですね、博士」
「ん?」
「1日に2人も旅に出る子が出てくるなんて。リク君とリオちゃん、研究の時や新しい事に出会った時も目がキラキラしてましたが、そのどれよりもずっと良い目、してましたね」
助手の1人が、ウツギに話しかけた。
彼は、2人が去った後の空のカップを洗い、静かに口を開いた。