2つの転機
ルカリオ
シュゥゥゥゥ……パァン!

輝きの中から姿を見せたのは、いつもの姿のリオではなかった。

「リ…リオ?」

「なるほど、これは驚いた。おめでとう、りっくん。」

ワタルは目を見開き、顔に驚きと喜びの表情を浮かべ、両の手を高く挙げて、

「リオは、ルカリオに進化した!」

と告げた。


上手く事態が飲み込めなかったリクヒトはワタルの言葉を聞き、ようやく理解した。

「進化…ですか?」

「そうだ、リオルはトレーナーと深い絆を結んだ状態で、経験値が十分に積まれることで、朝にルカリオへと進化すると聞いた。今は…」

ワタルは空を見やる。日はすでに、ほぼ垂直に森一帯を照らしており、森の所々から光の柱が伸びている。

「…もうすぐ昼だから、彼が進化したのはギリギリだったね」

ルカリオ。

今リクヒト目の前にいるのは、いつものリオではない。
真上へと伸びた耳に、前より長い尻尾。両手の甲には、新しく尖りが付いて、黄色く変化した胸にも同じような突起が見える。

「…リオ?」
(…うん、)

振り返るルカリオの顔も声も、先程のリオの顔とかけ離れ、前よりもずっとずっとたくましく、凛々しくなっていた。

それでも、リクヒトにはしっかりと"リオ"の存在を感じることができていた。


(何だろう、生まれ変わった気分だ)

「ルカリオに進化なんて、不意打ち過ぎるだろ…」
(その不意打ち、僕も食らってるから。威力4分の1で)
「はっ、笑えねーわ」

2人はしっかりと目を合わせ、そして小さく頷いて、互いの感情を分かち合っていた。

少し間を置き、ワタルが口を開いた。
「勝負は?まだ続けるか?」

カイリュウも黙って2人を見つめる。


「勿論…」

2人は小さく笑みを浮かべた


「続けます!」
(続けます!)


類似 ( 2014/02/06(木) 08:12 )