光に照らされ
風
木々のざわめき
そして静かな呼吸が4つ
久しぶりだ
この感覚
リオとカイリュウが睨み合い
その互いの背後で、僕とワタルさんが対する
これは、修行の時以来の感覚
誰かを相手にしてバトルを行うのは…恐らく3年ぶりだろう。
だけど、この体は勝負の感覚を全く忘れていなかった。
強い者を相手にする時ほど、全身の気が奮い立つのが痛いほど分かる。
トレーナーは目の前に自分と相手のポケモン、そして相手自身を迎え、感覚を必死に集めて気圧されないようにする。自分のポケモンが傷つけばその分の苦しみはトレーナー自身をも貫き、逆に技が決まれば無心で握り拳を構える。
ポケモンバトルで、トレーナーと彼らはその繋がりを一層強固なものにする。
全て、爺ちゃんとワタルさん、ハヤトさんから教わったものだ。
「こちらから行かせてもらうッ!!カイリュウ!!アクアテール!!」
「バウァッッ!!」
カイリュウの尻尾は、リオルの目線の真っ先で二度と揺れ、そこから水がほとばしる。
「リオ!波動弾!」
振るわれた尾にむけて、リオは波動弾を放った。
弾は尾の真ん中に直撃したが、振り落とされる力が勝り、全くダメージは与えられていない。
「電光石火でかわせ!」
「カイリュウ!!追い続けろ!」
「バウァッ、バウァッ、バウァッ!」
幾度も振り落とされる水の尾。それが太い幹をかすめる度に、ゴスッ!と鈍い音が起きて、木肌は濡れたままごっそりと削れていく。
「はっけいだ!」
5発目のアクアテールが空を切り、リオはカイリュウの脇に右手を打ち込んだ!
だがカイリュウはものともせず、すぐにリオに拳を撃ち込んでくる。
(っぐがぅ…くっ!)
「リオ!」
「カイリュウはドラゴン・飛行タイプ。格闘技が効きにくいことは知っているはずだ」
吹き飛ばされ、リオは大きな岩に叩きつけられ、しかし再び立ち上がる。
よし、まだいける…。
昔なら今の一撃で大概は沈んでいたが、今は違う…!
「リオ!電光石火!」
必死に攻撃をかわしながら、リオはカイリュウと間合いを取る。
機会を見極めているのだ。
「その程度の攻めしか出来ないのか!?間合いをとれ!カイリュウ!」
瞬時にカイリュウは動いて、構えをとる。
…よし、このパターンは恐らく、