2人の兄弟子 2
滅多にしない(と言うより一度も実際にしたことは無いのだが)、戦いの方法等も教えてもらっていた。
技の種類、出し方。
自身の能力や適性。
更には戦いに際する礼儀作法までいろいろと。
またそれに加えて、2人は今まで戦ってきた人たちにまつわるエピソードも話してくれた。
初期のころは、自分の手持ちにボールを投げてくるのを弾くのに必死だったとか。
何回も挑戦してくる相手に対して出すお金に、かなり深刻に悩んだとか。
わざわざ小判を見せびらかして、更に賃上げを要求して来るがめつい奴もいた…とか 。
何のこっちゃよく分からなかったが、知らない世界についての話にはいつも心躍らせていた。
生憎リクは、負けるとお金が取られるなんて、目の前が真っ白になりそうなことはしたくないと言っていたので…。
「…そうなんだ、飛行タイプなら俺が行こうと言うことで、セキエイから逃げ出したという、…あのオニドリルを捕まえに来たところ」
「偶然久しぶりにお寺に寄ろうとしていた俺と出会ってね」
「そうなんですか」
「とりあえず、このオニドリルはハヤト君に任せて、俺は寺へ向かうよ。君はどうする?」
「どうしようか。今日はここにいても少し不安だから…僕も寺へ向かいます」
「決まりだね、戻れ、カイリュウ」
カイリュウさんがワタルさんのボールの中へ入っていった。
どうやら若葉寺へ向かうことになったらしい。
「じゃあ、ハヤト君、後は宜しく。すぐにジュンサーさん達も到着するみたいだから」
「分かりました、それでは。じゃあな、リクヒト」
「はい、お疲れさまです」
日はまだ、てっぺんまで達していない。
今夜起こることを、太陽は少しも知らせてくれなかった。