2人の兄弟子
「あ、ワタルさんですか?」
「うん、そうだが」
「僕です、若葉寺の和尚の孫の」
「あ、えーと…りっくん?」
「そう、リクヒトです」
「おお!随分…大きくなったなぁ!久しぶりだね!」
突然現れた彼は、僕もよく知っているワタルさんだった。
何回か会ったことがあるけど、そのどれもが道場着だったから、すぐには分からなかった。3年ぶりかな。
さっきのノースリーブは、プリンさんを連れて森を出て行ったみたいだ。幸いに腰には2個ほどボールを持っていたみたいなので、ワカバの研究所までは大丈夫だと思う。
空には、先程倒されたオニドリルが連れていたオニスズメ達がまばらに舞っている。その場を離れる者もいれば、怪訝そうに下を見やる者も。
「ワタルさーん」
「おっ、ハヤト君、こっちこっち」
ん?
また一人やってきた。
「ここにいたんですか」
「うん、危ういところだったよ、想像以上に凶暴なオニドリルだった」
「でも、倒されてるじゃないですか。さすがカイリュウですね」
「バォッ?」
「はっはっは、ありがとう。あっ、そうだ。ハヤト君も覚えているかな?」
「??」
「ほら、若葉寺のゼンギ和尚のお孫さん」
「あー!…リクヒトか?」
そうだった。
どちらもリクと僕の兄弟子だ。
僕が初めてお寺を訪れた時には、すでに2人とリクは知り合い、同じ門弟だった。
ハヤトさんはリクよりも前にお寺に来ていたらしい。ワタルさんはそれよりも前からいるから、ハヤトさんとリク2人の兄弟子ということになる。どちらもトレーナーだということくらいしか知らないけれども。
「久しぶりだな!リクヒト」
「お二人とも変わらずお元気そうで。カイリュウもね。さっきは助かったよ、ありがと」
僕もすぐに頭を下げる。
「バウゥッ(気にするな、それより久しぶりだの、リオ)」
「(はい、ご無沙汰しています)」
そう、ワタルさんの弟子がリクなら、僕の師匠もこのカイリュウさんなのだ。
僕らはそれぞれ、ワタルさんとハヤトさん、そして和尚、またカイリュウさんとピジョットさんに、様々な事を教えてもらった。