森にて
手慣れた手つきで用意を済ませると、2人は階段を降りてリビングへ。
「じゃ、行ってきます」
「今日はウツギさんのとこ?」「いや、また森に行ってくる」「あんたも好きね、あそこに通い始めてもうどの位経つのかしらね」
「さぁ、…十年くらいは経ってると思うけど、急にどうして?」
「いやね、明日はあなた誕生日でしょ、忘れちゃったの?(笑)」
テーブルの上の林檎を2つリュックに入れ、思い出したように言う。
「そうか、もうそろそろ18になるのか」
(え、忘れてた?)
「うん、すっかりと」
「あら、何なのそれ。もっと感動とかないわけ?」
(18だってのに、リクは爺だもんな)
「じゃあ50とかなったら何なんだよ」
(そりゃ、デスカー…)
言い終わらないうちに、リクヒトはリオの耳を掴み、ドアの方へ歩いてゆく。
「帰りはいつもと同じだからね」
「はいはい、晩までには帰るのよ」
(痛っ、痛、痛いって)
「前言撤回?」
(しますします、50はヌケニ…)
くいっ
(あぁぁぁぃぃ痛いってってぇ)
「じゃあ、行ってきます。」
バタン
2人が行った後、母は無意識にテレビをつけて小さくため息をつく。
「いくら山で強くなったって、使い道がないんじゃぁ…、せめて」
旅にでもでれば
その言葉はついに出なかった。
いや、出せなかった。
彼が行くというのなら、無理に止める必要はない。しかし、
「あなたの息子だもの」
目線の先には、一つの写真立てが置かれている。
液晶の画面からは、キャスターの声がいつもの如く流れてくる。
……
「リオちゃん!洗濯物手伝うって言ったのにぃぃ!」
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ここで速報です。
先程入った情報に依りますと、29番道路の付近で、非常に凶暴なオニドリルが出現したとのことです。
詳細は不明ですが、オニドリルは10数匹のオニスズメを連れて北東へ移動したと言う目撃情報がありました。
近隣の皆さん、特にポケモンをお持ちでない方々は、十分にお気をつけください。
続いては、オーキド博士の…
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