一の刻 私の、物語の、始まりと、初まり
異変の始まり……かな?
前回のあらすじ的な。

私を助けてポケモントレーナーになってよ。
……あ、やっぱりいいや。遠慮する。


☆☆


side/とある少女(ルナではない)

どうも、こんにちは。
わたしは今、わたしの友達のポケモンを届けに、その子のいるであろう丘へ向かっています。
まったく。いくら行き慣れてるからって……野生のポケモンの出るところへ人間一人だけで行かないでよ。

うーん、それにしても一人は暇だ。
話し相手が欲しいなぁ。……この子達、勝手に出しちゃおうか。
うん、それでいいよね。

「出ておいで」

二つのボールを投げる。
……たった二匹でジムをすべて攻略しちゃうんだから、すごいよね。
中から出てきたポケモンは―――

『あら、何の用?』
『おや。ルナ様ではなくシーナ様でしたか』

片や、金の毛並みに九本の尻尾。
片や、青と黒の毛並みに、耳元の大きな房。
私の友人、ルナの手持ちは、キュウコンとルカリオです。
で、わたしの特技は……。

「いやさ。ただただ歩くだけってのはなんだか暇じゃん?
 話し相手にでもなってよ」
『別にいいけど……ルナは?』
「人の身一つでいつもの場所。危ないから見に行こうってね」
『なるほど。でも、我々は特に話を知りませんよ?
 最近は旅にも行ってませんし』
「だいじょぶ。わたしが話題を振るし」

とまあ、なんとなく気づいた人はすぐに気づいただろうけど、わたしはポケモンと会話することができます。
昔からこのことで皆から異質者扱いされて、皆から一歩身を引かれて……。
そんな私に手を差し伸べてくれたのが、ルナとブルーベルさん(ルナのお母さん)。
それ以来、私とルナは親友以上の関係になった。
感謝して……るんだけど、それに伴って悪いところも見えてくるもの。
うん、ルナは[頭のいい馬鹿]なんだよね。
説明しづらいけど……知識も、閃きもあるのに、普段はドジだったり。
そんなルナだから、皆ルナに惹かれるんだろうけど……。
こういうドジはちょっと笑えないよ。野生のポケモンに襲われたら、命の危険もあるのに。


いつもの丘に来てみたけど、ルナの姿は見えなかった。

「……あれー?」
『すれ違いかしら』
『うむむ、しかしこのあたりにルナ様の波動が……ん?』
「どうしたの?」
『ルナ様の身に着けていらっしゃる衣服や鞄の気配が……、あそこですね』
『ちょっと行ってくるわ』

そう言ってキュウコンは走っていった。
わたし達も後を追う。
……確かに。これはルナの服だ。それに鞄も。
でも、どうしてこれだけ……?


☆☆


side/可能性になった少女


『あらあら、どこへ行くのぉ?』

アーボはそう言いながら、ダッシュで逃げる私を追いかける。
追いかけるといっても、多分全力は出していないのだろう。いちいち止まったり、スピードに緩急をつけたり。
多分、遊ばれてる。疲れたところを、一気に捕らえる気なのかな……?
……そんなのは嫌だ!絶対に、逃げ延びる!


走る、走る、走る。いつの間にか、あたりは森になっている。
いくら走っても、アーボは私を諦める気はないらしい。
それどころか、

『うふふ。元気な子ねぇ。最後にはどんな表情を見せてくれるのかしらぁ?』

なんて余裕に()かしている。
ぐぅ、このままじゃ()べられるのも時間の問題。
と考え事をしていたのが災いしたのか、はたまたそういう運命だったのか。
私は、たまたま飛び出ていた木の根につまづいてしまいました。

―――万事休す、かな……。
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綿菓子きつねうどん味 ( 2014/01/22(水) 20:44 )