夜空に映る者達の物語
一の刻 私の、物語の、始まりと、初まり
零話とか言ってる暇はない……と思う。
えっとですね。まず、一言よろしいでしょうか。

助けてください!

ああ、現状を説明しますね。
まず、基本的なこと。
私の名前は、ルナ。ルナ=ブルーベルです。よろしくね。
ここは、クリュス地方。正しく言えば、クリュスタッロス地方。
そこの、コスモスタウンというところに私は住んでいます。
で、そこの郊外になだらかな丘があって、そこが私のお気に入りの場所。
私は一応しがないポケモントレーナーなんですけれども、街にも近いしいつも来ているから、とポケモンを持たずに来た訳ですよ。

すると、どこか怪しげな人達がゾロゾロと……7人ぐらい出てきまして。
うわぁい、やばい。と思っていましたら、怪しげな薬を取り出しましてですね。
それを注射器に入れて、私に刺して、注入してきたんですよ。
もちろん反抗しましたが、ビクともせず。
お医者さんごっこ(お注射)は止めてーと必死に願いつつも、やっぱり全部入れられてしまいまして。

体全体が熱くて、意識も朦朧としていたところ、なんかその人たちのリーダー格みたいな人が現れまして。
[こんなところで何してるんだ!]みたいなアイコンタクトが取られ(今まで一切声は出してなかった)、すごすごとこの人たちは退場。
私は完全に放置。新手のイジメか?
そう考えつつも私の意識は闇の中へ―――

と、今目覚めたところです。おはようございます。
で、何で助けて欲しいかって言うと、それは今の私の状況が理由です。
端的に言うと、今、私は人間じゃなくなっちゃってます。
じゃあ、何になっているのかといいますと、体はめちゃくちゃ縮んで、目線が物凄く低くなっています。
大きな耳、全身を覆う茶色の毛、大きめの尻尾。
うーん、分かりづらいかな。
なら、いくつもの進化先を持っている、可能性の化身。これで分かるかな?
そう、今、私は……。

「ブイー!」

進化ポケモンこと、イーブイになってしまいました。


☆☆


うん、普通にどうしよう。
街に戻る?……今の状況で、アイツ(・・・)以外に会いたくないなぁ。
いっそのこと、ここに住み着く?……いやいや、もしかしたらトレーナーに知られてしまうかもしれない。
そうなってしまったら……考えたくもない。

ならば……と考え事に夢中になっている私には、後ろから近づく長い影に気がつくはずもなかった。

『あらぁ、美味しそうな子がいるじゃなぁい』

その背筋の凍るような声で振り返った私の目には―――

『怯えなくても大丈夫よぉ?』

イーブイの目から見て、とても大きく映った―――

『大丈夫。一瞬で……丸のみにしてあげる!』

アーボという、毒タイプのポケモンだった―――


え、これ、ヤバくね?

綿菓子きつねうどん味 ( 2014/01/21(火) 20:59 )