プロローグ
不思議な――つまりは数奇な運命っていうものは必ずある。
私の人生を振り返ってみたら、本当にそう思う。……え、年寄りくさい?
まぁそこは置いといて………
貴方の人生にもそういうものってあるでしょ?他とは異なる、少し変わった経験とか、そういうの。
……あ、もしかして普通って答える?
……いえ、まぁ別にいいんだけど、私としては普通な人生なんてものないと思うわけ。皆何かしらの変わった経験、刺激的でスリリングな経験とかしたことあるでしょ?
普通って個性がないみたいに聞こえやすいから嫌われやすいとこがあるけど、本当は何よりも尊いものだと思う。普通で平和なのが一番だと思うのよね。そりゃあ人生には刺激が必要だし、平和すぎるのもどうかとは思うけれど、やっぱり良いことだと思うのよね。
……話が逸れたわね。私の悪い癖だわ……
とにかく。私の場合、その運命ってやつは何処にも例外のないものだった。
なんか後々に本まで書かれた不思議な話なんだけど……あ、本を書いたのは知り合いなんだけどね。え、どうでもいい?
………とにかく、不可思議な話なのよ。
そういう運命が訪れるのって、本当に唐突。
私は少なくとも、普通そのものな存在なわけだから、そんな数奇な運命が自分に訪れるなんて考えてもみなかった。
…でもまぁ、こういう話に出てくるのは、だいたい特殊な力を持ってたりすると思うわよね。
でも私はどちらかと言えば違うの。最強とかそういうわけでもなく、特殊な能力とか持ってるわけでもなく、ひ弱なわけでもなく、本当に普通の女子なのよ。
……あ、でも一応他の子とは違うモノも持ってたけど、正直最強とは無縁だったわ……本当は強い方が便利なんだけど。
まぁ強いて言うなら頭が良いとは言われるけど……そんな天才的な頭脳を持ってるってわけじゃないし。常人よりほんのちょっとだけ頭の回転が早いって思っていただけると助かるかしら。
……また話が逸れ始めてるから、軌道修正するわね。
まぁとにかく、本の内容はとにかく嘘も方便だったりするわけだから、この場で真実を語っておこうと思うの。
でも、本を読みながらここは真実とは違うとか指摘するのも面倒だし、この話は少し長すぎるから、重要な時の話だけ抜き出して話すことにするわ。
一日一日の話なんかしてたら長ったらしいし。それに長いと飽きちゃうしね。だって人の話ほど面白くて、つまらないものはないでしょ?
それじゃあ何処から話そうかしら……
そうね、じゃあ……
私が相棒である少年と会った時の話からにしようかしら――――