ポケモン 不思議のダンジョン 〜光の煌き 闇の誘い〜






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*第二章*One step to a dream
第十九話*完成
「ついに…ついにできたんだ…!」

数日後、ポケモンパラダイス=i予定地)の一角でクローネはとある方向を見ながらそう呟いた。
そこにはクローネも合わせ、家作りを手伝っていた七匹の姿がある。
クローネは感動と興奮を抑えられないといったようなキラキラとした表情で、シェリルは腕組みしながら相変わらずの無表情で。嶺緒は疲れた様子を見せながらも苦笑し、シュロは相変わらずのぬぼーっとした様子ながらもその表情は満足そうに微笑んでいる。ガレットもルシアもアサザも、満足そうに、そして嬉しそうにそれを見ている。

「ボク達の家ができたんだ!!」

そう、ついに家が出来上がったのだ。
木でできた、所々草が出ている温かみのある可愛らしい家だった。少々不格好な家だったが、それすらも温かみや満足できる要素になっていた。

「ん〜…なかなか味のある家になっただぬ」

セロが満足そうに呟く。手伝った彼も満足できるほど温かい家だったようだ。
だが、ガレットは顔を顰めていた。

「クッ…ボロくてすまんな。今の俺にはこれが限界だ」

「そんなことないよ!これだけ立派な家なんだし、誇っていいよ!!」

クローネは瞳をキラキラと輝かせながら熱弁する。本気で感動したのだ。たった七匹、しかも大工は一匹、修行中の弟子が二匹、残りの四匹は家作りなどに関しては経験もなければ知識もない全くの素人である。
それだけで作った、しかもこれだけ立派な家がボロいとは思えなかったのだろう、クローネは熱弁しながらガレットににじり寄る始末である。

「まぁ、見た目は置いといて。オレは今回、仕事していてすごく楽しかったですよ」

「オレもだ。今までで一番楽しかったぜ」

アサザの言葉に、ルシアも同意する。二匹共、表情を嬉しそうに綻ばせていた。
ルシアは家をジッと眺めながら、「なんて言うのかなぁ…」と言葉を一つ一つ探しながらも綴っていく。

「確かにボロいんだけど…ボロくないっていうか…うーん…
不思議なんだけど、出来については妙に満足してるんだよな…」

クローネも嶺緒もアサザも同意したらしく、ルシアの言葉にうんうんと頷いている。
でも、とアサザはルシアの言葉を引き継いで呟く。

「確かに見た目は…ボロい、ですね」

「…そう?僕、この家好きだけど」

今まで沈黙を貫いていたシェリルが、ふと呟いた言葉に皆驚いた。

「なんて言えばいいのかわかんないっていうのがもどかしくて腹立つけど。なんか、この家は寂しくない気がする。無駄に広くても、温かみがなければ家なんて寂しいだけだし。少なくとも、僕が前に住んでた家よりは…少し住むのが楽しみな気がする」

シェリルの言葉に、クローネはパァァと表情を輝かせた。

「だよね!シェリルもやっぱりそう思うよね!うん、温か味のある家ってやっぱりいいな〜」

一番理解してくれなさそうだったシェリルが意外にも理解してくれたためか、とても嬉しそうなクローネ。

「俺も好きだな。なんか、帰って来る楽しみがある感じっていうのか…とにかく、なんか温かく感じられる」

「僕も同意」

珍しくも嶺緒の言葉にシェリルが同意する。これには全員が驚いていた。
そんな中、ガレットはやはり顔を顰めながら呟く。

「…やっぱり、ボロいけどな」

「ボロくないよ!!それに、皆の気持ちがこもってるんだ。ボクはそれだけで充分だよ!」

ガレットもルシアもアサザも表情は一緒である。三匹共、大工としてどうしてもボロく感じてしまうのだろう。
クローネはそんなことはないと首を横に振ると、嶺緒とシュロに向き直った。

「嶺緒もシュロも手伝ってくれてありがとう!!」

「まぁ、乗りかかった船だし、それに俺も此処に住むことになってるみたいだしな…」

「こいつと一緒とか絶対疲れる」

「お前にだけは言われたくない」

「困ってる時は助け合うものだぬ」

危うくいつものように言い争いになりそうになった二匹の言葉を遮るようにシュロがクローネに返答する。

「本当に助かったよ!ガレット達も、ボク達の家を立ててくれてありがとう!」

「礼を言うのはオレの方だ。オメェらがオレを変えてくれてなかったら、オレはまだ悪事を働いていたかもしれねぇ。本当に、ありがとな」

ガレットは表情を綻ばせ、クローネに礼を述べる。
クローネも礼を述べ、嬉しそうに笑顔を見せる。
そして笑顔で拳を突き上げると、「とにかく!」とそれは楽しそうに言う。

「此処こそが…ボク達の家だぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

「うるさい黙れっ」

「あべしっ!?」

「お前らなぁ…」

大声を出したことによりシェリルの蔓のムチで叩かれ、地面にのびる羽目になったクローネを見て、今日も今日とて溜め息をつく嶺緒だった。













「おい、生意気アホチビ。布団は向こうに置いといてよね」

「その呼び方やめろ。あとチビって言うな」

「クローネ、テーブルクロスはテーブルにかけないと意味ないだろ」

「あ、そうだね!もうかけといてもいいんだよね!」

「バカか」

家に入り、三匹は荷物を運び入れた。そして早速中の改装を始める。
時刻は既に夕暮れ時であり、橙色の光が窓から差し込んでいる。
荷物の片付けは、意外にもシェリルが指揮をとっている。部屋が汚いのは許せないのだそうだ。意外なほどにマメである。

「キッチンもあるのか。…ねぇ、そこの銀色」

「色で呼ぶな!なんだよ!」

「あんたは料理できるの?」

「…まぁ、一般程度にならな。得意ってわけでもねーけど、苦手ってわけでもねぇ」

「あっそ。クローネは?」

「やったことないからわかんない!いつもリンゴ食べて済ませてたから!」

「…まぁ、期待はしてなかったけどさ」

シェリルがジト目なのは、おそらくクローネは気づいてないだろう。口元を綻ばせたままきょとんとしているのが証拠である。

「まぁいいや。食事は主に僕が担当する。あと時々代われよ、銀色チビ」

「色で呼ぶな、あとチビって言うな!!…わーったよ、時々でいいんだな」

「クローネは毎日片付け手伝うこと」

「はーい!」

「あと僕は夕食の準備するから、銀色は今から宿場町まで買い物に行ってくること」

「色で呼ぶなっつの!わーったよ、何買ってくりゃいいんだ?」

「このメモ読んで買ってこい」

「はいはい」

「行ってらっしゃい!」

この瞬間、嶺緒は何気に悟った。自分はこれからもこき使われるのだろうと。

嶺緒が面倒くさそうに出て行くと、シェリルはテキパキとキッチンを片付け始める。
クローネはそれを感心したように見ている。それに気づいたシェリルは怪訝そうな表情を見せる。

「…何?ぼーっとしてるくらいならテキパキ動け」

「あ、ごめん!内装は明るい方がいいよね?」

「別に…シンプルでいいんじゃない?僕、チャラチャラしたのとか趣味じゃないから。可愛いのは好きだけど」

「へぇ、意外だなぁ!シェリル、可愛いのが好きなんだ!」

「意外で悪かったな。可愛いのは好きだし、シンプルなのも好きだから、あまり飾りすぎないでよ」

「わかった!可愛い感じだね!」

何故かその方面で部屋を飾り出したクローネ。男であるはずなのだが、その女子的センスはいったいどこから生まれるのやら。
可愛く飾られていく部屋を見てシェリルはとあることを思い出していた。

(そういや昔、ヒューシャが飾った“可愛い部屋”とやらを見て、僕は気に入ったけどルトアは思いっきり顔を顰めてたな。
そうすると…このまま行くと今度はあの銀色チビあたりが顔を顰めたりして)

シェリルのこのふとした予想は、後々当たることとなったりする。

その後、嶺緒がこれ以上ないほど顔を顰め、重々しい溜め息をついたことは言うまでもない。

■筆者メッセージ
そんなこんなで第二章終了です。今回の話は比較的短かったです、かね…反省してます
シェリルは私に似てるので比較的書きやすいです、クローネの性格もだいぶ定着してきました。嶺緒もなんだかんだで仲間になりましたね。
嶺緒の扱いが酷いのは…きっと気のせいです。私イーブイ大好きだから(関係ない
この三匹がどんな立ち回り、どんな性格なのか理解していただけたのなら幸いです。

余談ですが、なんとなくこの小説に「ほのぼの」というタグが合わない気がした今日この頃(待て
レイン ( 2014/04/01(火) 02:12 )