第四十六話 対峙
グラードンの石像の謎を解いたショウ達。霧が晴れたことでサンセットの4人とグレイとカレハは先に進んだ。ショウ達も進もうと一歩踏み出した途端、横から出てきたのはドクローズだった。
「お前達。ご苦労だったな。ククククッ…」
「クサイーズ!」
「ドクローズだ!」
「いやあ…すまんすまん」
どう見てもジーナスはわざとそう言った。すまんと言いつつ笑っている。ドクローズをからかっているのだ。
「ケッ、謎さえ解いてくれりゃ、もうお前らに用はねぇ。」
「へへっ。お宝は俺たちがいただきだぜ!」
「やっぱり最初からそれが目的で…」
「当たり前だ。悪いがお前らにはここでくたばってもらおう。」
ドロンがそう宣言した。
「そ、それはボクのセリフだ!」
「あんたたちを倒して霧の湖へ行く! それだけや!」
マルとフーコも負けじと言い返す。
「ほう…俺様達を倒す? 忘れたのか? お前達は俺様とロースの毒ガススペシャルコンボに敗北していることを!」
あれはずるいだろ。正々堂々と相手しろよな。
「それは確かにそうだけど…もう負けない!」
「ほう…お前達の僅かばかりの勇気に免じて俺様も本気でお相手しようか…」
「仕掛けてきます…気をつけて。」
ヒノは低い声でオレに耳打ちした。
「くらえ! 俺様とロースの毒ガススペシャルコン…」
「ああ〜! 待ってぇ〜!」
ドクローズがオレ達に毒ガススペシャルコンボを繰り出そうとしたその時、誰かの声と共に転がってきたのは大きなリンゴ_____セカイイチだ。そのおかげでドロンは毒ガススペシャルコンボを出し損ねた。セカイイチは石に止められ転がるのをやめた。
…と、いうことは…この声の主は…?
「やっと捕まえた〜! 僕のセカイイチ!!」
やっぱり親方のフリルだ。
そして、ドクローズとオレたちを一瞥し……
「みんな一緒だー!」
と、言った。フリルがいなかったら今頃ここは毒ガススペシャルコンボの異臭に包まれていただろう。
「お、親方様…ここで何をしているのです?」
「ん? 何って…森を散歩してたらね、セカイイチが僕からコロコロ逃げ出しちゃったの……んで、それを追いかけてたら、ここに来ちゃったってワケ♪」
「ところで君たち。」
「は、はい?」
フリルがいきなりオレ達の方を見た。
「こんなところでサボってちゃいけないよ?」
「えっ?」
「君たちのお仕事は森の探索でしょ? ほら、先へ行って行って」
「うん…まあ、そうやけど…」
「親方の言うことが聞けないの? プンプン。早くたんさく、たんさくー」
こういう時だけ、親方という職権を出してきた。
「い、行こうか…みんな。」
「うん…。」
オレは渋々みんなを連れて先へ進むことにした。
「がんばってねー!」
フリルは『ここは僕に任せて』とウインクをしてオレ達を見送っている。ここは親方様に任せて先に行こう。
side out
「ああ…早くいい知らせが来ないかなぁー…ルン♪ ルルルン♪ ルンルン♪ ルルルン♪ ルンルン♪」
「あのー…親方様。私たちも探索に…」
「ええっ!? 友達にそんな苦労はさせられないよ! 探索はショウ達に任せて…ここで一緒に知らせを待ってよ♪ ルルルン♪ ルンルン♪ ルルルン♪ ルンルン♪」
ドロンたちドクローズを足止めせんとばかりにそう言ったフリル。
「兄貴…なんか妙な展開になりやしたね…」
「このままじゃ奴らに先を越されますぜ? どうするんです?」
「どうもこうもねぇだろう。仕方がない…フリルはここで俺様達が倒す! そして奴らを追いかける!」
「でも…大丈夫ですかね? 」
「フリルって、なんか不気味ですぜ?」
クリスとロース不安げな顔をしている。その目線の先は鼻歌を歌っているフリルに向けられている。
「心配するな。対したことはない。それに…フリルはとても貴重なお宝を持っているという噂だ。」
「ええっ! お宝!?」
「そうだ。前々から奪ってやろうと思っていたから好都合だ。ロース、毒ガススペシャルコンボの用意だ。」
「ルルルン♪ ルンルン♪ ルルルン♪ ルン♪」
フリルは何も知らず鼻歌を歌っている。
「フリルは…俺様達がここで倒す! 悪いが…探検家として有名なあのフリルも…ここで終わりだ。ククククッ。」
ドロンは不敵な笑みを浮かべたのだった。