第四十三話 恐怖の風の吹く山
side ショウ
夜が明け、ショウ達は朝早くから山に登り始めた。ツノのようにとんがっているこの山はツノ山と呼ばれている。
「「火炎放射!」」
「だいもんじ!」
フーコとヒノとハープとレインは炎技でどんどん敵を蹴散らしていく。
このダンジョンはカラサリス、アゲハントといった虫タイプのポケモンが多く炎タイプのフーコ、ヒノ、ハープ、レインに有利だ。虫タイプが苦手なのはホルンとカレハくらいだろうか。あとカレハの不思議な技が強い。どうやら自然を操れるらしい。ただ、カレハはピンチの時しか使う気は無いようだけど…。
「あっ! あそこにお金がたくさん!」
と、マルがいきなり走り出す。ん? この後の展開がなんか読めたような…。マルの後に続いて仕方なくオレ達もお金の近くに行く。
「わーい! これでお金持ちd…」
「銀色の風!」
やっぱりこんなことだろうと思ったよ! 四方八方からモルフォンがわらわらと現れて銀色の風を繰り出していく。
「だいもんじ!」
ハープが繰り出しただいもんじは、ゆらゆらと優雅に舞うモルフォンにかわされていまう。
「毒の粉!」
「まずい! みんなこの場所からはなれるんだ!」
「銀色の風!」
「い、痛い…」
オレは指示を出すけど銀色の風でみんな傷を負う。
「銀色の風!」
「さっきから好き放題攻撃して…! 凍える風!」
グレイが銀色の風を凍える風で押し返す。凍える風の追加効果でモルフォン達の動きは遅くなる。その隙にハープやレイン達は炎技を繰り出す。
「動きが鈍くなった! だいもんじ!」
「かえんほうしゃ!」
「銀色の…」
またモルフォンが銀色の風を繰り出そうとしている。その時、ホルンが動いた。
「葉っぱカッター!」
葉っぱカッターでモルフォンが技を出すのを封じただけでなく、相手のモルフォン達を数人気絶させるほどであった。
「凄い威力…」
普段のホルンと技のキレが違うことにフィンは少し驚いている。それはそうだろう。ホルンの特性は深緑。ピンチになると草タイプの技の威力がかなりあがるのだから。
「むしのていこう!」
「うるさい…」
「電気ショック!」
「頭突き!」
「炎のパンチ!」
「ねんりき!」
「竜巻!」
オレは電気ショックで攻撃するもよけられてしまったがビータの頭突きやジーナスの炎のパンチ、シュエルのねんりきがモルフォンに命中し少しずつ相手の数を減らしていった。カイの竜巻でモルフォンがバランスを崩している。これなら逃げることができるだろう。既にチコとフィンとホルンはフーコとヒノに連れ出されているし、マルはフーコ達について行ってちゃっかり逃げている。この戦いを引き起こした張本人なのにな。
「カケル! ビータとハープ、ライム、シュエル、カイを連れて逃げてくれ」
「ええっ! わ、わかったよ。ショウも必ず追いついてね?」
「ああ。もちろんだ。」
オレはとりあえずギルドのメンバーとシュエル、カイを逃がすことにした。ライムは毒を受けているからもう逃がした方がいいだろうし、シュエルも虫タイプには弱く、体力も消耗しているし、カイも海賊から受けた傷はまだ癒えてないはずだ。毒を治すためヴィントにラルカも撤退する。あと残っているのはオレとラクサス、カレハ、グレイ、レインの5人だ。
「むしのさざめき!」
「…っと、あぶねっ! サンダーリング! バリア!」
オレはモルフォンのいきなりの攻撃に雷の力を纏うサンダーリングを薄い壁にしてなんとか対応した。これは光の壁みたいなものだ。
「ナイスだショウ! 今のうちに逃げるぞ! 」
レインがそう言い、オレ達を促した。レインに続きオレ達は走る。
なんとかモルフォンを振り切った後みんなと合流できた。ライムの毒はヴィントの適切な処置によって解けた。
しかし、この山を越えるのにその後も、プレッシャーを放つプテラや自爆するクヌギダマに苦戦を強いられた。
「ようやく到着したでゲスーーゥ!」
「ああ…疲れた。テントで休みたい…」
そしてとうとうショウ達はツノ山を下り、霧がかかるベースキャンプにたどりついたのだった。