第十四話 SNP三銃士登場!?
sideショウ
「SNP三銃士がトレジャータウンに来てるぞ!」
「本当ですかボイムさん?」
朝の朝礼が終わった後ボイムとデイがこんな話をしていた。
えすえぬぴーさんじゅうし?
なんだそれ?
「なあフーコ。SNP三銃士って…なんだ?」
「さあ…ウチは知らないよ?」
「どうしたの?」
そこに眠そうな顔をしたチコがやってきた。
「SNP三銃士って知ってる?この街に来てるらしいけど…」
「…うん。アタシとヒノはよく知ってるよ。お世話になったし…アタシとヒノと同じあの呪われた島の出身だしね。ああ…思い出しただけでも…身の毛がよだつわ…」
「えぇ…私もです。あの時は自分の無力さに腹が立ちました。話がそれましたけどSNP三銃士はサンダースのサンスさんをリーダーにニドラン♂のストルさんとピチューのスラーさんで構成されている剣士のチームですよ。今はトレジャーハンターとしても名高いです。」
呪われた島?なんだそれ?それにしてもチコとヒノはSNP三銃士を知ってるのか。会ってみたい。
「チャームズと同じくらいは有名らしいよ」
チコはそう言った。
チャームズか…たしか数日前に読んだ月刊探検家特集3月号っていう雑誌に載ってたな…。剣を扱うんだとか…。
「会いに行く?ショウ」
「せっかくだしな。」
「ひとまずトレジャータウンに行きましょう」
そうしてショウたちは仕事の前にSNP三銃士に会いに行くことにした。
トレジャータウン某所
「サインして〜!!」
たくさんのポケモン達が集まってサインを求めている。もちろんそこにいるのは有名探検家SNP三銃士の3人。
「…はいどーぞー!喜んでもらてウチはうれし〜な!なっ?サンス」
「ああ…そうだな。………(俺は人混みは苦手なんだがなあ…)」
「剣術見せて〜!」
「悪いが…そう簡単に見せられるもんじゃない…すまんな」
渋い顔をしながらサンダースのサンスはそう答える。
「まあ悪いな!みんな。ウチらは戦う時以外は剣は使わんのや」
「…俺は放置か?スラー」
「わかっとるよストル」
「海岸に行きたい…静かなとこへ…」
「わかったわかった…そいじゃみなさん失礼するで」
群がっていたポケモン達は不満そうだったが、サンス達に道を開けた。そして三銃士の3人は海岸へと向かっていった。
数分後…ショウ達がトレジャータウンに現れた。
「ヨマワルさん!」
「おやおやなんですか? チコさん」
「SNP三銃士を見かけませんでしたか?」
「SNP三銃士…ですか?サンダースとニドラン♂とピチューでしたっけ?」
「はい。そうです」
するとヨマワルは海岸の方角を指差して
「それならあっちの方に行きましたよ。今から行けばまだ居るかもしれませんね」
「そうですか。ありがとうございます!みんな海岸に行くよ!」
「おう!」
海岸
「綺麗な砂浜だな…」
「静かなとこだな」
「サンスさーん!」
「!! チコにヒノじゃないか! 大きくなったな…」
「ここにいると聞いたから…」
「…でそちらの方々は?」
「はじめまして…オレはショウです。探検隊ポケダンズのリーダーをしています。」
「ショウの弟のカケルです」
「ウチはフーコよ」
「マルだよ!」
「俺はサンス。SNP三銃士の長を務めてる。」
「俺はストルだ。よろしく…」
「ウチはスラー。因みに3人とも幼馴染や!」
フーコと似たなまりでスラーはしゃべる。
「サンスさん。ブイ…いや、コメットは見つかったの?」
「いや……まだ…」
「部位?こめっと?」
「サンスの妹のイーブイのあだ名と名前や。サンスは名家エリーシア家の長男なんや。昔は妹の世話をしながら生活していたんよ。」
「へえー…」
「そういえばさっきチコとヒノが言っていた呪われた島ってなんですか?」
「………顛末を聞くか?あの島の顛末を……」
「はい!」
真剣な顔つきでサンスは問いかけてきた。もちろん聴きたい。興味本位だが。
「…いいだろう…俺ら三銃士、チコとヒノ、あと妹のブイは同じ村に暮らしていた。島の名前は…幸せアイランド。それはもう幸せな島だった。あの事件があるまではな。」
「チコたちはともかくウチらはある日いつも通りに村に帰ってきた。するとな…村の住人が1人残らず死んでいたんよ。謎の怪物によってね。」
スラーの話によると謎の怪物はアンノーンとシンボラーを足したみたいな奴らしい。
「アタシはヒノとブイ…それにワニノコのクルールと木の実を取りに来た。しかし木の実はない…翌日来てみると不幸せ盗賊団に襲われた。武器はブイしか持ってなかったけど盗賊団のアジトをアタシたちで乗り込み奥にあったクリスタルを壊した。それからアタシたちが村に戻ると…スラーさんがさっき言った風になっていた。」
「だから呪われた島と…」
「うん。そうなんだよね。そして…その呪いを解くため…私とチコ、ブイにクルールの4人で足掻きの洞窟に向かった。長い道を越えて待っていたのはたくさんの『死』。クルールは罠を踏んだブイの身代わりになって槍に貫かれて亡くなりました」
「そのあと俺らはチコたちと偶然出会った。しかし、この先は氷の空洞。寒さに弱かったり防げなかったりするチコとストルは外で待ってもらうことにした。空洞にあったものを持ち帰り出口が近づいたその時…!」
サンスは淡々と話を続ける。
「アタシが空洞に逃げてきた。しかし寒さによって衰弱してアタシは死んだ…その前にストルさんもアタシを逃がすためにゾンビと戦って…」
「俺はそのゾンビに負けて…死んだ…」
「ストルとチコが死んだことによってさらに哀しみが深くなったけど島を救う為にはこの空洞を出なくてはいけない…しかし…出口は氷柱で塞がれていた。」
「幸せアイランドはレベルに制限がかかります。だから技も弱い…ですが…窮地に陥った時ごく稀に本来の力を発揮できる…私は力を振り絞りかえんぐるまで氷を溶かしました。そのあと…技の負荷により私は死にました。私は……無力…でし……た…大切な…人を救えなかっ……た………ぐすっ…」
ヒノはこのことをとても気にしているようだった。泣き出すなんて…。
「幸せアイランドは…全力で技を出すと最悪死に至ることがあるからな。」
「そのあと残ったウチらで……祠を出ようとした…途中でウチは落石に当たって腕の骨が折れて奈落の底へ落下…」
「無事に出れたのは俺とブイだけ…しかし…ストルがゾンビになって襲ってきた。俺はブイを守る為に戦った。だけど剣の腕が未熟だった俺は…」
「昇天斬り……自分と道連れにゾンビなどの敵を昇天させる剣技の奥義。それを使いブイを守って死んだ。」
サンスの後を引継ぎストルが話す。
「ブイはそのあと偶然ピカチュウにあって…永眠の祠に宝___しあわせの御札を掲げて怪物は消滅し島は救われた。だけど生き残ったのは……ブイとそのピカチュウだけ。それでブイはピカチュウと一緒にジラーチのいるところへ行ったらしい。そしてブイは……自分の生命と引き換えに…自分を生贄にして…………島の全員を生きかえらせた。いや生命じゃないな…産まれてないことになったのだ。そこのジラーチは願いに代償を要求した。ブイのことを俺は忘れてしまった。だが…島から出たら全て思い出せた。だからブイを俺は何度も何度も探した。だけど見つからない。」
「だからウチらはブイを探すために旅をしているんや」
「サンスさんやチコたちにそんな過去が…」
「それで…呪われたその島はどうなったんですか?」
「突然何処かへと消え去った。」
「えっ!? 島が!?」
「そうだ。今じゃどこにあるのやらさっぱりだ。でも…あの島にはお宝があったらしいし今でも探している探検隊はいるんじゃないかな」
「へぇ…」
興味本位でこの話を聴いたが重すぎる…辛い過去を背負っているのか…この人たちは。
「ところでさ…ショウたちは仕事はやらなくていいの?」
「あっ………」
「忘れてた!!」
「それじゃ、失礼します!行くよみんな!」
「うん!」
「待って!」
すっかり依頼のことを忘れていた。困ってる人は多い…助けを求める人がいる限り助けに行く…それが探検隊の基本だと思う…。
「行ってしまったな…」
「仕方がないだろう?彼らにも俺らと同じくやることがあるんだ。
…この街で収穫はなかったから次の街へ行くぞ。」
「了解っと」
「忘れちゃならない。俺たち剣士は戦う身。死を恐れちゃいけねーけことをな…」
辛い過去を乗り越えてきた3人は人探しに再び旅立つ。当てのない旅路へと…。