第十一話 本性
sideフーコ
「…バレちゃあしょうがないねぇ…」
「ボクの目は誤魔化せないよ。遭難者にヤナップとヒヤップがいたからね。調べてみたんだ。ヤナップは遭難した振りをして探検隊を襲う役。ヤナップだけでこの雪山は危険だからバオップもいるんだろう?」
「バオップは風邪を引いたんじゃ…」
「あれは嘘よ。騙しやすい人が助けにきてありがたかったわ。おまけに新米さんで…あはは…そうよ。あたしはお尋ね者よ。しかも…Sランクのね」
「さて…お縄についてもらおうかな?」
「私を捕まえられるかしら?閃光玉!」
「うわっ!」
「逃がさないよ!影の鎖シャドーチェーン!」
「くっ…捕まるものか!熱湯!」
「許さへんよ!火の粉!」
「そんな弱火は無駄よ。ハイドロポンプ!」
「フーコあぶない!」
「かばったのね…あなたから倒しますか…」
「無理な話だね〜…倒れるのは貴女だ。シャドーボール!」
「見切った!アクロバット!」
「フーコ!あとはボクに任せて今のうちに急いで登山道へ!」
「は、はいっ!」
「逃がすかッ!ハイドロ…あれ!?出ない?」
「無駄だよ〜。その技は使えないよ。ボクの特性でね。キミの相手はボクだよ?」
ルル。頼むよ。
ルルが時間稼ぎをしている間にフーコは登山道へ入っていった。
南の登山道 中腹 sideショウ
だいぶ登ってきたみたいだな。
「あの〜…」
「誰だ?」
「もしかして助けに来て下さったのですか?」
「ああ…そうだけど」
「よかった…!私はワラル。種族はキルリアです。」
「オレはショウだ。種族はコリンク。それじゃ、麓に戻ろうか」
「はい!あれ?あそこに誰かいるみたいです。」
「他の遭難者かな?おーい大丈夫か?」
「種爆弾!」
「っ…あぶねぇな。」
「仕留め損なったか…葉っぱカッター!」
「おっと…あれ?ヤナップ?遭難してたんじゃないのか?」
「あれは嘘だ。ヒヤップがうまくやってくれたみたいだしな」
「俺とヤナップ、ヒヤップはお尋ね者さ。こういう遭難の時に現れて金を奪って稼いでる」
「あのフォッコはもうヒヤップが始末したかもな」
「痛い目遭いたくなければ金を置いて逃げな!」
「だが、断る!お前らに渡すか!」
「ほう…なら俺らが相手だ!」
「かえんほうしゃ!」
「葉っぱカッター!」
しっかし…ワラルを護りつつこの2匹を相手にするのか…?最悪ワラルを逃がせれば…
「ショウさん!私も戦います!」
「ワラル…大丈夫なのか?」
「サポートくらいならできますよ」
「すまないが頼むよ!」
「お任せを!サイコキネシス!」
「探検隊じゃねぇお前は相手にならないな」
「どうかしら?舐めてかかると痛い目みるわよ」
「バオップ!」
「了解ヤナップ!」
なにか仕掛けてくるつもりだ…気をつけないと。
「ワラル注意して!」
「は、はい!」
「「アクロバット!」」
同時に!?しかも素早すぎる…見切れない!
「守る!」
「なっ…防がれた!」
「今です!」
「よし!喰らえ!電気ショック!」
「あばばばば!!」
電気に痺れてヤナップとバオップは動けなくなった。
「しかし…ショウさん。あなたは10万ボルトが使えるんですね」
いつもより電気が強いと思ったら…そうだったのか。新しい技を覚えたのか。
「とにかく。ありがとうワラル。助けてくれて」
「助けてもらったのはこっちです。お礼を言うのは私の方です」
「ショウ〜!!」
遠くから自分を呼ぶ声がする。フーコか?
「フーコか?こっちだよ!」
「大丈夫やった?」
「まあなんとかな」
「そちらの方は?」
「私はワラル。遭難してたところを助けてもらいました。」
「んで、ワラルの協力があってそこのヤナップとバオップを倒したんだ」
「良かったわ〜!ショウが無事で!麓ではルルとヒヤップが戦うとるけど…」
フーコがそこまで言うとバッジから連絡が入った。ボイムからだ。
「あーショウか?遭難者はいたか?」
「はい。キルリアを見つけましたよ」
「そうか。あとお尋ね者がいるから気をつけろ…」
「バオップとヤナップとヒヤップか?バオップとヤナップなら捕まえたけど…」
「ほんとか!?お手柄だぞ!早くおりてこいよ。ヒヤップはルルが捕まえてる。あとは遭難者のキルリアを連れてくるだけだ。気をつけろよ。」
「はーい。いまから戻ります」
ボイムからの通信を切り下山を開始しよう。バッジで転送できないのがつらいな。
「それじゃ、バオップとヤナップを縛って麓に戻るぞ!」
「うん!」
遭難者救出のついでにお尋ね者の三猿を捕まえた。急いでボイム達のいる麓の基地へ戻らないとな。何はともあれミッションコンプリートだ!