第十話 「遭難したの?」「そうなんです!」
南の登山道
もう季節的には春だと言うのに吹雪いていて本当に寒い…用意していたマフラーが役に立ってよかったぜ。いくらオレとフーコに体毛があるからといって寒いものは寒い。保温しないと身体は冷えちまう。
「ねぇ…ショウ。倒れてるのヒヤップじゃない?」
フーコの目線の先には水色の何かが倒れていた。登山道を登り始めてすぐ見つかるとは…。すぐに助けよう!
「お、おい!大丈夫か!?」
「ね…むい…もうだ…め…」
これはかなりまずいかもしれないな。
「フーコの炎でなんとかできないか?」
「やってみるよ!温火!」
「暖かい…生き返るようだ…はっ…あ、あなたがたは?」
ヒヤップの身体が優しく暖かい炎に包まれた。それから少ししてヒヤップは目を開けた。オレは事情を聴いて見ることにした。
「大丈夫だったか?それよりどうしてここに?」
「実は…私たちは3人で山を登る予定でした…ですがバオップは風邪を引いたらしくて…私はヤナップと一緒にここに来ました。登り始めた頃は天気は穏やかだったんですが急に吹雪が私たちを襲いました。視界が阻まれていつの間にかヤナップとははぐれてしまいました…」
なるほど…2人で登ってたのか。確かヤナップは草タイプ。寒さに弱いはず…早く助けないと…
「それで遭難したの?」
「そうなんです!」
おいバカやめろ…余計に寒いじゃないか!まあその間に待機してるルルに連絡をしておこうか。
「こちら南の登山道部隊。ヒヤップを保護しました」
「おつかれさま。これで後2人だね。」
「向こうはもうそんなに救助を?」
「そうよ。ヒメグマとリングマそれとチョロネコを保護して今麓にいるわ。3人は一緒にいたから楽に保護できたみたいだわ。ボイムとビータはまた山に向かったわ」
「ルルさん。フーコにヒヤップを連れて行かせるんで登山道入り口まで迎えに来てもらえますか?」
「いいよ〜!ショウはどうするの?」
「オレは残りの2人を捜します」
「えっ!?一人じゃあぶないよ!?」
「それでも助けたいですから…それじゃお願いします」
ショウは決意に満ちた顔でルルとの通信をきった。
「フーコ!ヒヤップを連れて一旦下山してくれ。」
「ショウはどないするん?」
「オレは残りの遭難者を捜す」
「一人じゃ危険や!」
フーコもルルと同じことを言う。しかしオレはもう決めた。変えるわけにはいかない。
「頼んだよ。オレはルルに登山道入り口まで来てもらえるように言っておいたから。オレは残りの遭難者を捜す。ボイムによるとあとはヤナップとキルリアが見つかってないらしいからな。フーコはしっかりヒヤップを護って。」
「……わかったわ…行きましょうヒヤップ」
「ヤナップを助けてください!」
「ああ!任せとけ!オレが必ず助けてくるぜ!」
フーコ、ヒヤップを頼んだぜ。オレは残りの2人を探さないとな。
side フーコ
ウチの目線は始めてかな?まあいいや。ショウが心配やしヒヤップをルルに預けてショウのとこに行かないと…ショウだけに行かせて何かあったら大変やし。あっ…入り口が見えてきた。ルルがいる。
「フーコ!こっちよ!」
「ルル!ヒヤップ、もう大丈夫よ」
「た、助かったぁ…フォッコさんありがとうございました!」
ヒヤップは安心したのか笑顔でいる。それとは逆にルルはかなり慌ててるみたいだ。
「フーコ、急いでショウを追いかけて!このままじゃまずいよ!」
「どうして?」
「実はここのダンジョンにね…Sランクのお尋ね者がいるんだ!」
「ほ、本当に?どんなやつなのそれは?」
「彼女よ。お尋ね者の1人は…そうでしょ?」
そう言ってルルが指差したのはヒヤップだった…