第八話 お尋ね者を逮捕せよ!
前回までのあらすじ
ソウムおってポケダンズの面々はトゲトゲ山に向かうのであった。
トゲトゲ山
「おーっと。ここは通さないぜ!」
「邪魔だよ。ボク達は急いでるんだから」
イシツブテとムックルとイトマルが行く手を阻む。
「電気ショック!」
「泥遊び!」
「なっ…電気ショックがムックルに効いてない!」
「岩落とし!」
「泡っ!」
「マジカルリーフ!」
「ふへへ…ネバネバネット!喰らいなチコリータの嬢ちゃん」
「お断りよっ!葉っぱカッター!」
葉っぱカッターでネットを切り裂く
「なかなかやるようだねぇ…これはどうかな?」
イトマルが不敵な笑みを浮かべた。
「シグナルビーム極太バージョン!」
「させない!ゆびをふる!」
「ゆびをふるなんて怖くねぇよ!発射!」
イトマルのシグナルビームがカケルとチコを襲う。ゆびをふるの効果は…
「ミラーコート!」
「な、なんだと!ぐわあ〜〜〜!!」
イトマルは撃破だな。オレらの方はイシツブテとムックルか…。
「マル!お前はイシツブテを頼む!」
「任せてよショウ!」
マルは意気揚々とイシツブテに向かって行った。オレも目の前の敵に集中しなければ…。
「電光石火!」
相手が電光石火でこっちにきたか…なら迎え撃つ!
「こっちも電光石火!」
「燕返し!」
「くっ…」
「舐めんなやこのガキ」
相手もなかなかの手練れのようだ。
「もうお終いにしてやるよ…ブレイブバード!!」
ムックルがブレイブバードだと!!引き寄せて電気ショックで倒すしかないな。いや、まてよ…電磁波をまくか。
ムックルが突っ込んでくる。あと5mくらいか?
「電磁波!電気ショック!」
「なっ…痺れる…動きが鈍く…」
「とどめだ!体当たり!」
なんとか倒せた…。あぶねえ。
マルも相手を倒せたみたいだし先に進もうか。
他にも頂上までにニドリーノやニドリーナやドードーの妨害を受けながらポケダンズは進んで行く。その頃…頂上では。
「あれ?行きどまり…。ねえ、ソウムさん。落とし物は?落とし物はどこにあるの?」
「ゴメンな。落とし物は…ここには無いんだよ。」
「えっ?…お兄ちゃんは?お兄ちゃんは後からすぐ来るんでしょ?」
「いや。お兄ちゃんも来ないんだ。実は…オマエのことを騙してたのさ。」
「ええっ!?」
ルナは驚いた顔をした。
「それよりちょっと頼みがあるんだ。オマエの後ろに小さな穴があるだろ?」
ソウムの言うとおり後ろに小さな穴がある。そして彼はこう続ける。
「あの穴の奥には実はある盗賊団が財宝を隠したんじゃないかって噂があるんだ。ただ…俺の身体じゃ大きすぎて穴の中に入れねぇ。だから…小さなオマエをここに連れてきたという訳さ」
怪しい笑みを浮かべソウムはさらに言う。
「大丈夫。言うことさえ聞いてくれれば…ちゃんと帰してやるからよ」
「ええーっ!!」
ルナはブルブル震えている。
「さあ行くんだ!穴の中に入って…財宝をとってこい!」
「お、お兄ちゃ〜ん!!」
「こっ…こらっ!待てい!」
耐えきれずに逃げ出すルナの道を防いでソウムは言う。
「まったく!ちゃんと帰してやるって言ってるだろっ!言うことを聞かないと…痛い目に遭わせるぞっ!」
「た…助けてっ!!」
「待てっ!そんなことはさせないよ!」
「お尋ね者ソウム!おとなしくお縄につきなさいな!」
「な、何故ここが!?」
「オレ達はポケダンズ!探検隊だ!」
いいタイミングでオレ達は到着。あと少し遅かったらルナは大変な目にあっていただろう。
「わ、わりゅいやちゅはみにょがさないよ!」
マルがめちゃくちゃ噛んでいる。翻訳すると「悪い奴は見逃さないよ!」と言ってるんだろう。
「た、探検隊だとっ!?じゃあ俺を捕まえに…」
ソウムはそう言いながらオレ達をみた。
「…あ、あれ?もしかして震えてるのオマエ達…」
マルとチコ、フーコを見てソウムはさらに続ける。
「…そうか。わかったぞ。オマエ達探検隊といってもまだ新米なんだな。」
「会いたくて逢いたくて震えーる」
「ふざけてる場合?」
お尋ね者を前にしてボケるマルの姿…ある意味度胸あるよ。
「…フフッ。確かに俺はお尋ね者だよ。でもオマエ達に出来るのかな?そのお尋ね者を捕まえることが!」
「ううっ…」
「フーコ。落ち着いて…」
「う、うん。いや出来る!できるわ!アンタみたいな悪いやつになんか負ける訳にはいかない!」
「ハハハハ!今までいろんな探検隊に襲われてきたが…こんなに弱そうな探検隊は初めて見たよ!人数は多いが…」
「ううっ…」
「面白い。オマエ達が俺を倒せるかどうか…試してもらおうッ!行くぞッ!」
「かかってこい!」
「さいみんじゅ…」
「葉っぱカッター乱舞!」
「その技はお見通しだ!ねんりき!」
「スリープの特性の一つは予知夢だよ!気をつけて!ゆびをふる!マジカルフレイム!」
「バブル光線!」
「ぐっ…まだだ…催眠術!」
「チコ!フーコ!」
「オマエ達の仲間をいただいた。やれ!」
催眠術によってフーコとチコが操られてしまった。
「ひのこかっ…おっと…葉っぱカッター乱舞…これは危ない!」
「ボクに任せて!渦潮!」
「無駄だッ!サイコキネシス!」
サイコキネシスで渦潮を弾く。
「この程度か…遊びはおしまいだ…仲間に止めを刺されるがいい!やれッ!」
「カケル!一か八かでゆびをふるだ!」
「や、やってみるよ!ゆびをふる!」
「その程度では俺は倒せんな…」
「それはどうかな?癒しの鈴!」
「なっ…何ぃ!?」
カケルがゆびをふるで出した技…それは味方の状態異常を回復する技…癒しの鈴だった。
「ナイスだ!カケル!」
「隙有り!つつく!」
「ぐわあっ!」
「はっ…アタシは何を…」
「身体が痛いわ…」
フーコとチコは元に戻った。よかった。
「さいみん…」
「これで決める!雷の牙!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
辛うじてもう一回立ち上がり催眠術をかけようとしたがそのまえに雷の牙が命中し、ソウムは倒れたようだ。これで解決か。
「ルナは?」
「みなさん無茶しすぎですよ」
なんとヒノアラシのヒノがルナを守っていた。
「大丈夫?怪我とかしてない?」
「はい。大丈夫です。この人に守ってもらってましたから…」
「よかった〜!ホッとしたよ!お兄ちゃんが待ってるよ?さあ帰ろ?」
「はい」
「私はジバコイル。この地域の保安官です。この度はおかげさまでお尋ね者を逮捕することが出来ました!ご協力感謝致します!」
ジバコイルは機嫌良くサイレンを鳴らした。
「賞金はギルドに送っておきます。ありがとうございました!」
保安官はソウムの方にむきなおり
「さあくるんだ」
「トホホ……」
ソウムはジバコイルに連行されていった。
「ルナ!」
「お、お兄ちゃん!うわあ〜〜〜ん!お兄ちゃ〜〜〜〜〜ん!怖かったよ〜〜〜!」
緊張の糸が切れたのかルナは泣き出してしまった。
「ルナ。大丈夫なのか?怪我は無いのか?」
「大丈夫よ。どこにも怪我ないよ」
「本当?よかった!本当によかった!ルナ!ルナー!」
ルナとルースは幸せそうだ。これで万事解決…だな。
「よかったな。ほんとに。」
「これもショウさん、フーコさん、カケルさん、チコさん、マルさん。そしてヒノさんのおかげです。この恩は忘れません。ありがとうございました。ほら、ルナも」
「うん…。助けてくれてありがとうございます!」
「本当に…本当にありがとうございました!」
ルナとルースはオレ達にお礼を言うと母の待つ家へと帰って行きました。
ギルドにて…トリルがオレ達の帰りを待っていた。
「ジバコイル保安官からお尋ね者の賞金をいただいた♪お前達。よくやったな。これは今回の仕事の報酬だ。とっておいてくれ。あとお前達の活躍によってトレジャーバッグが大きくなったからな」
「ええ〜っ!?300ポケしかもらえへんの!?ウチらあんなにがんばったのに…」
「……当たり前だ。これが修行というものだ。明日からまた頑張るんだよ。ハハッ♪」
フーコががっかりしているなか、トリルは憎々しげに笑って去っていった。
「わけまえがあと少し多いと嬉しいんだけどね」
「でも、まあいいじゃん!ルナを助けることが出来たから」
「それもこれもショウのおかげだよ。ショウが夢を見たおかげでルナの危険もいちはやく分かったんだからね」
…そうか。オレもすごく不思議なんだけど…最初にきいたルナの叫び。そのあと見た夢。あの時見たものはいずれも未来に起こる出来事だった。なんでそんなものが見れたんだろう…。あれはいったい…
グ〜ッ!
「ボクのお腹がなったよ!」
「ウチもや」
「ボクも」
「ウチら腹減ってたんだね!」
「ルナを助けるのに必死だったからね仕方ないね」
「気がついたら余計にお腹空いてきたわ!」
「早くご飯食べに行こ!」
「ちょっと…どうしたのヒノ?」
「私も…その……この探検隊にいれてもらえないでしょうか…」
「ショウ。いいかな?」
「もちろん!これからよろしくなヒノ!」
「ええ!よろしくお願いします!」
ギルドに新しくヒノが入り夕飯タイムは盛り上がった。そしてその日の夜。外は風が強く雷雨に見舞われていた。
「か、雷だよッ!」
「今夜は嵐みたいですね…」
「…そういえば!アタシ達がショウとカケルと出会った前の晩も嵐だったんだよ。嵐の夜の次の日に海岸で2人は倒れてたんだ。どうお?倒れた時の記憶とか…何か思い出せそうかな?」
嵐があって…オレはどうしてあそこに倒れてたんだろうか?
「いや…思い出せない」
「うーん…ボクもかな…」
カケルもオレと同じで思い出せないみたいだ。
「やっぱ難しいかな。でもまあ少しずつ思い出していけばいいよ。」
「ありがとうチコ」
「どういたしまして。おやすみなさい」
しばらく後…
目が冴えて眠れないな…チコとカケル、マル寝たみたいだけど。ヒノは本を読んでいるみたいだ。
「ねぇショウ。まだ起きてる?」
「うん。起きてる」
まだ起きていたのか、フーコが声をかけてきた。
「ウチあれから思うたんだけどさ…ショウが見た不思議な夢は…ショウ自身に深く関わってるんじゃないかなぁ…」
「夢と自分自身が?」
「たんとなくやけどね。でも、未来の夢を見るコリンクなんてウチは知らへんし…人間が突然ポケモンになちゃったというのも聞いたことないし…でも、だからこそその二つが大きく関わってる…なんかそう思えるんだ…」
「自分の記憶を辿る鍵があの夢に中に…?もしそうだとしてもどう関わっているんだろう」
「人間だった頃のショウはどうだったかは知らないけど…ウチはいい人だと思うよ。ショウのおかげで悪いポケモンも捕まえることも出来たわけだし…。」
「悪いポケモンか…。そういえば。前にトリルが言ったな。悪いポケモンが増えたのは時が狂い始めた影響だとか」
「…うん」
黙って本を読んでいたヒノが話に加わる。
「世界各地で少しずつですが時が狂い始めてるんだそうです。何故狂い始めたのかは不明ですけど…みんながいうには《時の歯車》が何かしら影響しているんじゃないかと言われてるそうです。」
「時の…歯車…?」
「うん。時の歯車は世界の隠された場所にあるんよ!」
「例えばですね…森の中とか…湖や鍾乳洞…火山の中とかいろいろな場所にあって…その中央にあるのが時の歯車と呼ばれているんだ。」
「それがあることによってそれぞれの地域の時間が守られているんやろ?」
「うん」
「なあ…ヒノ、フーコ。もし歯車を取ったらどうなるの?」
「それはわからないですけど…時の歯車を取っちゃったら…たぶんその地域の時間も止まるかと…」
時間が止まるのか…。
「せやから、みんな絶対触らないようにしてるんよ。とにかく大変なことになると思うし…怖がって時の歯車だけは触ろうとしないんよ。たとえどんなに悪いポケモンでも…ね」
フーコもそう続けた。
「そろそろ寝ようか」
「そうね。明日も早いからね」
「おやすみ!」
明日のギルドの修行にそなえてオレは寝ることにした。
ちょうど同じ頃…東の方の森では…
「始めて見たが…これがそうなのか。遂に見つけたぞ!時の歯車を!!まずは…ひとつめ!」
雷が照らしたのは目が鋭い緑色のポケモンだった。