第三十七話 最後の助っ人
side ショウ
サンセットと戦ってから数日後…。フリルはあと三日程度で戻ってくるらしい。
「えー…今日は最後の助っ人が到着した。入ってきてくれ。」
フリルの時とは違う低い声でのヴァンの朝礼が始まった。トリルが先日言っていた最後の助っ人が来たらしい。ドクローズの面々は不服そうな顔をしている。何か企んで助っ人になったのに邪魔が入る…そう思っているのだろうか。
はしごを降ってきたのはリーフィアとグレイシア。
「私はカレハです…。遠征メンバーの助っ人としてきました…よろしくお願いします…」
「同じくグレイよっ!よろしくね!」
リーフィアの方はカレハ、グレイシアの方はグレイと名乗った。カレハ…グレイ…何処かで聞いたことが…。
「ねぇショウ。もしかして滝壺の洞窟の時の2人のイーブイじゃないの?」
チコにそう言われて気づいた。確かにそうだ! カレハは葉っぱが名前の通り枯れている。進化前のイーブイの頃も茶色の毛が多かったし。
「あっ! ショウ! お久しぶりです。」
「フーコにチコ、久しぶり!」
「ん? 知り合いなのか?」
「はい!」
それを聞くとトリルはにっこりしてこう言った。
「そうか! この2人が最後の助っ人だよ。今日も仕事に特訓…頑張るよっ!」
「おおーっ!」
みんな遠征が近づいてきているため張り切っている。
「ショウ。あの時はお世話になりました。」
カレハが丁寧に挨拶をする。あの時とはおそらく滝壺の洞窟のことだろう。どちらかというとお世話になったのはオレらの方だろう。マルのせいで流されたしな。
「この人達は誰?」
「オレはヴィントだ。」
「ジーナスだ。」
「私は…フィンです」
「ホルンだよ」
グレイの問いかけにヴィント、ジーナス、フィン、ホルンが応える。あの時はいなかったからね。
「へぇ…あたしはグレイよ。種族はグレイシア。」
「私はカレハ。リーフィアです」
グレイとカレハは改めてヴィント達に挨拶をした。
「いつの間に進化したのー?」
「ええ…滝壺の洞窟の数十日後に神秘の森で進化しました」
「カレハったらサプライズで進化して随分驚かされたわ!」
「だからその…ごめん」
「別にいいけど…あっ! ごめん!」
グレイとカレハが言いあっているのを見ているとグレイはショウ達に済まなそうに言った。
「大丈夫だ。問題ない」
「マルはうるさい! てかそれ死亡フラグか何かでしょ?」
「しかもお腹に大きな痣があるもんね」
「そ、それはシノハに負けたからだし!」
「場所を移しましょうか…」
いつまでもギルドにいるとトリルやヴァンに怒られそうだ。依頼を持ってパッチールのカフェへ行くことにした。
パッチールのカフェ
賑わってる…従業員のアクアとスターは忙しそうだ。ミクロとセンスやツールもだ。よく見るとサンセットの面々もいる。とりあえずはテーブルに移動した。
「ここがカフェですか…はじめてきました」
「…とりあえず何か飲みながら話そうよ。ボク青いグミー!」
カレハが辺りを見渡している。マルはすぐに青いグミを持ってツールのもとに行ってしまった。チコやヒノもフィンとホルンもツールの元に続いた。
「遠征…選ばれそうですか?」
「見込みは薄いみたいだけど…頑張るよ。」
「でもフリルさんならみんなで行きたがるかもしれませんよ」
「はは…だといいんだが…」
確かにフリルならそういうかもしれない。でもそれはあくまでも希望的観測でしかない。あてにはならない。カレハは優しいから励ましてくれたのだろう。遠征メンバーにえらばれるのはもちろん諦めない。
「最後まで諦めちゃダメですよ!」
「そうよ! 諦めちゃダメよ!」
「もちろん諦めないさ」
そんなことを話しているとスターがやってきた。
「……もしかしてグレイか?」
「えっ!? スター兄さん?」
スターはなんとグレイに声をかけた。グレイが兄さんって呼んでいるということは…家族なのか? アクアはスターの姉だからアクアもか?
「スター! 何サボってるの?」
「アクア姉さん。グレイが…」
「久しぶり!! しばらく見ないうちに…進化したのね! おめでとう!」
「アクア姉ちゃん…」
「…でこの人はショウさんで…こっちのリーフィアは?」
「あたしの友達の…」
「カレハです。」
カレハはぺこりと頭を下げ挨拶をした。
「ところでお姉ちゃん達はどうしてここに?」
「夢のために頑張ってるの」
「夢のために?」
「そうよ。」
「姉さんの夢…それはお店を持つことだ。俺は姉さんを手伝えればいい。」
「グレイが元気そうでよかった。今度はゆっくりお話ししましょ? カレハも!」
「うん!」
「はい!」
アクアとスターはグレイの姉と兄だったのか…夢があるっていいことだよな。
その後マルがドリンクをこぼして床を汚した後始末をショウとヒノでやることになった。だから依頼はカケルとヴィントに任せたのであった。