第三十一話 親方代行と指南役
side ショウ
ショウとヴィントがそれぞれギルドへ戻るとドクローズを含む全員がみんな地下2階に集まっていた。
「おお、お前達。戻ったか。」
「どうしたの?」
「親方様の代理が到着したのだ。」
親方様の代理? そういえば数話前にアルトマーレに会議に行くとか言っていたっけ。
「親方の代理ってどんな奴なんだよ? ヘイヘイ!」
「こんなやつだ」
ヘインの問いに応えるように親方部屋からでてきたのは…でかいポケモンだ。
「この方が親方様の代理だ。」
「ヴァン・ギランだ。種族はバンギラス。しばらくの間よろしく頼む。」
ヴァンは見かけによらず深々と頭を下げた。
「そしてこの方が遠征の為の技の指南役の1人…」
「ラクサス・ブレイムだよ。よろしくね!」
ヴィントが連れていたピカチュウがそう言った。
「もう1人来る予定なのだが…まだ到着していないみたいだな。」
「早速だがやってもらおうか。」
「へ? 何を?」
「技の特訓だ。トリルさん。あなたもだ。」
「もちろん構いませんよ。」
ヴァンはいきなり特訓をすると言い出した。
その特訓の内容はバトルをただするだけではなく、うまく技を出す方法とかオリジナル技を考えたりすることもあった。
そしてその日の夜。夕飯の後、オレ達はその日受けた依頼のことについて話していた。ジーナスはまだ特訓しているらしく部屋に帰ってきていない。オレ達の方はマルがガバイトと戦い勝利して、万能薬を手に入れたこと。それを聞くなりヴィントは、
「オレにも一枚くれないか?」
と、言った。ヴィントによるとガバイトのウロコは色々な薬を作るのに使えるのだそう。オレは快くヴィントにウロコを渡した。残りは2枚。あとは倉庫にでも預けておこうか。
ヴィントの方は水源の谷から水を汲んできたみたいだ。そこでラクサスと出会い、さらには伝説の探検隊のレジェンズに会ったそうだ。
「え? あのレジェンズにあったん?」
「ああ…特にリーダーのフラワナは凄かった。なんというか…貫禄があるって感じか?」
そんな感じに話していてもジーナスはなかなか戻ってこない。
「ジーナスはまだ特訓か…」
「ラクサスに勝ちたいのでしょう。負けず嫌いですから」
ヒノはそう言って微笑んだ。
「そろそろ寝よ? あしたも早いよ?」
「そうだな。」
「寝ましょうか。」
フーコの声を聞いてみんなは寝る支度をする。ヒノは本を閉じた。
遠征メンバー選ばれるかな? もしオレが選ばれなくても…フーコやチコには行かせてあげたいな…。
ショウは寝ているマルやチコの寝息に誘われ眠るのだった。