第二十六話 遠征までの長い日々
「ヴィント。そういえば捜してる人がいるんだよな?」
オレは枯草平原でヴィントが言っていたことを思い出し聞いてみた。
「ああ、そうだ。名前はラルカ・ラルム。種族はピカチュウだ。」
「どこらへんではぐれたん?」
「確か…神秘の森の近くにある街____水の都と呼ばれるアルトマーレだったかな。その街はかなり広くてな…そこではぐれたんだろうと思う。」
「わかった。トリルに言って何日かアルトマーレに行かせてもらおう」
ギルド地下二階
「ええーっ!? アルトマーレに行くってえーっ!?」
「ああ。オレの幼馴染を捜しにな。」
「ダメだ! 遠征も近いのに…」
「どうしたの?」
そこにやってきたのは親方様____フリルだ。そしてトリルから話を聞くなり、
「僕、これからアルトマーレである探検隊連盟の会議に出席しないといけないんだけど、そのついでに捜してみる…それじゃだめかなヴィント?」
「それなら構わないが…」
「じゃあ決まり! 見つけたら連絡するよ。それじゃ僕は行ってくるから…トリルよろしくね。あとしばらくの間僕の代わりの人が来るからそれも…ね」
「わかりました。代わりの人の名前と種族は…? ああ…お前達は依頼をこなしてくれよ」
トリルはそう言ってフリルの部屋に入っていった。
「オレらはいつも通り依頼をやるか。」
「そうだな。」
「なあ、人数が多いし二つにわけないか?」
確かに8人で依頼をひとつのダンジョンの依頼をこなすより4人ずつふたつのダンジョンの依頼をこなした方が効率がいいかもしれない。
そんなことを話しながら掲示板の前に来るとそこにはナエトルとヒコザルがいた。
「よう!」
「昨日ぶりだね」
「誰だ?」
そこにいたのはジーナスとホルン。ヴィントは昨日いなかったから知らないんだっけ…。
「ナエトルのホルンとヒコザルのジーナスだよ。フーコ達の友達だよ」
「なるほど…オレはヴィントだ。よろしくな」
「それでなんで2人はここにおるん?」
フーコは不思議に思って聞いた。
「僕とジーナスを探検隊の仲間に加えてもらえませんか?」
「えっ? 仲間に?」
「ああ…そうだ。俺は強くなるためにも探検隊になりたいんだ」
「どうかな?」
ホルンとジーナスはがオレをじっと見てくる。もちろん答えは…。
「いいよ。仲間にしよう」
「よっしゃー! よろしくな!」
「みなさんよろしくです」
仲間は多ければ多いほどよい。信頼を深められるとさらによい。ホルンとジーナスが新たに仲間に加わった。
「…それで依頼はどうするの?」
チコがそう言うまですっかり忘れていた。どうするか…。
「まずはチーム分けをしましょう。ショウのチームとヴィントのチームで」
「もう一つのチームの方…オレでいいのか?」
「ヴィントはしっかりしてるからな」
ヴィントはショウを見て言うがショウは気にしていないようだ。
「なるべくバランス良くなるようにしないとな」
「ああ…」
それから話しあった結果。
チームA ショウ フーコ フィン ホルン マル
チームB ヴィント カケル チコ ヒノ ジーナス
こんな感じになった。
「それじゃ、依頼を選ぼう」
「Bチームはこの場所の依頼をこなす」
「Aチームはここの依頼をこなすからな」
「了解!」
「わかったよー」
「それじゃがんばれよ!」
「ヴィントもな!」
そう言葉を交わしそれぞれの依頼の場所へと向かうのであった。