第二十三話 進化を越えるもの
「リンゴ美味しい!」
トリルの頼みでリンゴの森にきているがその名前に違わずリンゴがたくさん落ちている。マルはそれを拾っては食べている。
「マル。そんなに食べていたら晩御飯食べられなくなるよ?」
「それはこまるっ!」
「よく考えなさいよ…いくつかは倉庫に預けるんだからね」
フィンは少し食べ過ぎだ思ったみたいでマルを注意した。チコは保存用にリンゴを拾っている。
「あ! あそこにリンゴの山が!」
マルの指差した先を見ると確かにリンゴの山がある。だけどどこかで…ああいうのをとって痛い目にあったような…。
「わーい! リンゴの山だー!!」
「ちょっ…! 待て!」
マルを追いかけてみんなも大部屋に続く。
「リンゴゲットだぜ!」
「……」
うん。どう反応すればいいものか…。
……ブーン……
どこかからこのような不吉な音が…まさか!
「お前たち! 人が苦労して集めた食糧を奪おうってのか!」
そう。やってきたのはスピアーの大群。今喋ったのは群れのリーダーだろう。
「滝壺の洞窟と同じ展開だね…」
カケルが言った。確かにどこかでみたことがあると思ったら…そういうことか。
「お前ら!いてもうたれ!」
「合点承知!」
「みんな! 逃げるぞ!」
「逃がすか! 毒針連射!!」
「仕方ない! 電気ショック!」
「「かえんほうしゃ!」」
「ホルンはフィンを乗せて逃げて!」
「わ、わかった!」
「カケルも2人について行ってくれ。ここはオレ達にまかせろ!」
「うん! それじゃ、みんなまた会おう!」
カケルとホルンとフィンは先に進んだ。残ったのはオレとフーコとチコ、ヒノ、マルだ。
「ちっ…逃がしたか…でもお前らは帰さんぞ! ダブルニードル!」
スピアーの鋭い針が近づきてくる。
「バブルこうせん!」
「煙幕っ!」
「ヒノ、ナイス!」
「今のうちに…」
「これでとどめだ! かえんほうしゃ!」
「やったか?」
「まだ…まだわかりません」
煙幕が晴れてスピアーがまだ立っていた。
「ここからが逆襲の始まりだ!」
「!! いけない! 守るで攻撃を防いだんだ!」
「なに!?」
「高速移動!」
「気をつけてみんな!」
「進化の先へ_______メガシンカ!!」
そう言うとスピアーの身体が光りを放ち姿が変わった。
「メガシンカ…戦闘時のみ発動する特別な進化。それにはとても貴重な石が必要だと言います…パワーはかなり上がっている…まずいですね」
「とにかく! ここを切り抜けないと!」
「何ごちゃごちゃ言っている! まとめてくたばれや! どくづき!」
毒々しい色をしたスピアーの針がものすごい勢いで近づいてくる。このままじゃやられる!
「一撃!」
「ぐっ…」
「二撃!」
「きゃああ…!」
「三撃ッ!」
スピアーのどくづきは右手でヒノを左手でチコを襲った。そして最後の針はフーコを狙っている。
「危ない! バブルこうせん!」
「電気ショック!」
「無駄だ。まもる!」
まもるをしながらどくづきの効果を継続させている…? このままだとフーコもやられて…よし!
フーコはかえんほうしゃをしたがまもるで防がれてしまう。スピアーの攻撃がフーコに当たる…その時!
「帯電! 電光石火っ!」
ショウがスピアーとフーコの間にわってはいった。
「くっ…邪魔をするな! ダブル…くそっ…痺れが…」
帯電の効果かスピアーの動きが鈍った。この隙をショウは見逃さなかった。
「今だ! フーコ。炎の攻撃を!」
「了解や! 猛火の火焔!」
恐ろしいほどたくさんの炎が吐き出されスピアーに…耐えきれずダウン。しかし、チコとヒノはかなりのダメージを負ってしまった。
「親分が…やられた…! 撤退だ! 木の実を持って逃げろ!」
リーダーのスピアーが倒したことで群れのスピアーは逃げていった。
「ヒノ、チコ…平気か?」
「モモン…ください」
「アタシは平気よ。毒はリフレッシュで治したし…光合成で体力もなんとか……ね」
「とりあえずヒノ。モモンだ。少し休んだら先に進んだ3人を追いかけよう。」
ヒノにモモンを渡しオレは先へ進んだ3人のことを気にしていた。何人かスピアーが追っていったかもしれないからな。
一方先に進んだ3人は…
side フィン
ショウたちと分かれてからずっと奥に進んでるみたいだけど見る限り景色は変わらないかなぁ…。リンゴがたくさんあって困らないんだけどたまに上から落ちてきてそれが頭に当たりそうになっているし…。
「痛っ!」
ほら。今もカケルの頭にリンゴが直撃。リンゴがたくさんあるからこんなことも起こるんだね。私はあまり目がよくないからリンゴが落ちてくる音をよく聞いてよけないと…。私たち、マリルという種族は耳がいいんだって。
……ブーン……
あれ? さっきもこんな音聞いたような…確か。だんだん近づいてきてる!
「!! スピアーか!」
「正解だ!」
「逃がさないぜ!」
追いかけてきたのは6人のスピアー。私たちは不利…かな。カケルはいいとして私とホルンは毒タイプ苦手だし…
「カケル! フィン! 準備はいい?」
「う、うん!」
「だいじょうぶだよ! 指示してくれれば…」
「わかった! カケルそっちの2人任せた!」
「了解!」
「フィン。来たよ敵が!」
「うん。バブルこうせん!」
当たる自信はないけれどバブルこうせんをうつ。どうやら当たったみたい。よかった…ホルンにあたらなくて…よくそういうことがあるんだ。
「反撃だ! どくづき!」
「まもる! フィン大丈夫?」
「平気だよ。ありがとう。」
「まだまだぁ! ダブルニードル!」
「……」
ぎりぎりまで…引き付ける…ここ!
「たきのぼり!」
「くっ…やられた…」
よく見るとスピアーを2人同時に倒したみたい。当たってよかったー…。
あと残りは2人。
「よーくもやったーな!
「は、はぁ…」
「ナエトルのお前から始末してやる! シザークロス!」
「ぐふっ…」
ホルンはシザークロスをまともに受けてしまい額からは血がでている。
「とどめの…とどめばり!」
2人のスピアーはとどめばりをホルンに向かって繰り出した。
「ホルン!」
「………」
!! あれだけダメージをくらったのにまだ立っている…。そして身体からは緑の光がにじみでている。
「耐えたよ……はっぱカッター!」
「ぐわあああああああ!!」
ホルンの特性はしんりょく。自分がピンチになると草タイプの技の攻撃が強くなる。 え? なんで私が知ってるのかだって? ギルドで空いた時間にヒナやリンに教えてもらったの。
そしてスピアーを追い払い先に進む。しばらくして傷だらけのショウ達(マルはなぜか傷一つなかった)と合流してリンゴの森の奥地へとたどり着いたんだ。