第二十二話 リンゴの森へ
恒例の朝礼の後。トリルがオレ達を呼んでいる。
「ああ、お前たち。今日は食糧をとってきてくれ」
「食糧? 食べ物?」
「そうだ。今朝、倉庫をみたらギルドの食糧がなぜかいきなり減っていたのだ。しかもセカイイチだけが全てなくなっていた。」
「セカイイチ? なんだそれは?」
「とても大きく、とても美味しいリンゴで親方様の大好物なのだ」
何だろうと思って聞いてみるとやはり親方が夕飯の時に頭の上で回していたリンゴのことだった。
そのあとトリルは渋い顔をしてこう続けた。
「セカイイチがないと親方様は……親方様は……」
「セカイイチがないとフリルはどうなるの?」
「お、親方様は……_____________なのだ。」
カケルが聞くがトリルの答えは肝心なところが聞こえない。ヴィントはなんだか納得したかのように頷いているが。
「訳がわからないよ…」
「フーコ聞こえた?」
「全然」
カケルとフーコ、チコは聞こえなかったみたいだ。まあ、オレにも聞こえなかったけど。
「だから頼む! セカイイチをとってきてくれ!」
「全然わからないよ! 教えてよ!」
そんなオレ達をよそにトリルは切迫した顔で頼んでくる。
「マル…まあいいじゃない」
「そうだね」
「わかった!とってくるよ。任せてくれ!」
「よし! セカイイチはリンゴの森の奥深くにある。いいかい? これはいっけん簡単なようだが大事なことだ。なにしろ親方様の_______だからしっかり頼んだぞ。」
「ああ! みんながんばろうぜ!」
「おー!」
「ショウ。悪いが今日はオレ、リンに頼まれごとをしているから行けない」
「わかったよヴィント。オレ達で行ってくる。」
「ああ…気をつけろよ」
ヴィントの声を背にオレ達はリンゴの森へ向かうことにした。その前に準備をしなくちゃな。
トレジャータウン
全員でくると時間がかかりそうだから他のメンバーにはカフェで待ってもらうことにしてオレとフーコで買い物に行くことにした。
「ショウ。何を持って行こうか。リンゴはいくらでも向こうで取れるからそんなにいらんとして…」
「オレンを持ってこうか…マルが何かやらかすかも知れないし」
「そうやね…って…ホルン!」
フーコが驚きの声をあげた。フーコの目線の先をみてみるとそこにはナエトルがいた。
「やあ、フーコ。それに…ショウさん」
「あれ? 何でオレの名前を?」
なんで初対面のホルンがオレの名前を知っているんだ?
「フーコとチコから聞いたんだ。2人とは昔からの付き合いだからね。あとヒノとマルも」
「そうだったんだ」
「そうや! ホルン。」
「なーに?」
「ウチら今からリンゴの森に行くんだけど一緒に来ない?」
「リンゴの森…? うん。いいよ。」
「よし! 頑張ろうなホルン!」
「はい! 足を引っ張らないように頑張るよ! よろしくね」
ホルンを仲間にし、オレ達はリンゴの森へ…。
リンゴの森 入口
ホルンに導かれてリンゴの森までスイスイ来ることができた。
「ホルンは相変わらず地理に詳しいわね」
「まあね。少しは調べたからね」
「トリルの話によるとこの森の一番深いところにセカイイチがあるらしいな」
「みんながんばろ!」
「ああ!」
意気揚々とリンゴの森の中に入っまショウたち。そのリンゴの甘い香りに紛れて臭いストーカーがいることにはまだショウ達はまだ知らない。