時代を越えて










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第五章 特命任務と盗まれた宝物
第五十七話 一部リーグ、そして……

無事に一部リーグに昇格したオレ達。イザヨイの助太刀もあり、メガシンカしたボスゴドラとハガネールに勝利した。その後、オレ達とイザヨイ達は依頼を協力することにした。今まで集めた情報を交換する為に闘技場の近くにあるカフェに行くことにした。


「いらっしゃい」


お店に入るとオコリザルがそう言った。



「彼がこの店のマスターだよ。」
「すまないねここ最近毎日来て。」
「大丈夫じゃよ。そうそう、お連れ様はもう来ておりますよ。」


ラウンとイザヨイがマスターと話している。マスターはふと、ショウの方を見た。



「おお…! そなたはライトニングのリーダーのショウさんか。」
「はい。」


マスターがオレの目を覗き込むと少し微笑み、「頑張っておくれ、応援しとるよ。」と言って店の奥に引っ込んだ。

「こっちだ、ここに俺たちの仲間がいる。」

と、イザヨイは奥の席に向かう。そこにいたのはゼニガメとヒトカゲだった。


「お、きたきた。」
「待ちくたびれたぜ〜」


ゼニガメはバブル、ヒトカゲはグレンと名乗った。


「なかなかいい戦いっぷりだよなー! 俺は好きだぜ!お前達のバトル! 特に俺はお前のファンだからな! 」


グレンはフーコを指差して言った。

「あ……ありがとう……!」


フーコは恥ずかしそうに呟いた。

「そんなわけで、俺と是非是非お付き合いを〜」
「そ、そういえば、あのセコムっていうカイリキー、結構歳食ってるらしーなー!」


グレンの言葉を遮るようにバブルが口を挟んだ。それが功を奏したようで、グレンは真面目な顔になって、


「それな。アンチエイジングってやつしてるのかねえ?」

と、言った。オレは興味本位で聞いてみることにした。


「ちなみに何歳なの?」
「60歳代らしーぜよ。」



と、オレが言う前にバブルとグレンの会話にホルンが割って入った。セコムってそんなおっさんなのか……見た目にはよらないんだな。


「ポケモンというものは…死に向かって歩いている。それなのにいつまでも若くいられると思うなんて所詮妄想じゃよ。桜は散るからこそ美しいのと同じようにポケモンは死ぬからこそ美しく生きていけるものじゃ。」
「マスター…。」




いつのまにか、マスターがきのみ茶を持ってそばに立っていた。悲しそうな顔で。


「おお、そういえば! ほれ、お主に差し入れが来ておったぞ。」


彼は手をポンと叩いて、思い出したかのように言った。


「これは…?」
「『でんげきは』じゃな」


これを使えば、サンダーリングの他にも遠距離から攻撃できる手段が増える。

「ありがとうございます。」
「ワシもお主らに期待しておるよ。」


オレ達はしばらくカフェで情報交換をして、イザヨイ達と別れて闘技場に戻った。そして……。


「ライトニングの次の相手はランキング1位! チャンピオンと覇を競っているこのお方! 流氷椴丸だ!!」



一部リーグの選手をギリギリで倒し、とうとうランキング1位との試合が始まろうとしている。相手は……トドグラー。マルが試合前に雑誌の内容を音読していたのを思い出した。


『ランキング1位流氷 椴丸(りゅうひょう とどまる)厚い脂肪による硬い防御と吹雪により高火力の攻撃。攻防兼備している一人要塞。難攻不落の氷の要塞だあああ!!!!』



相変わらずセコムはうるさい。やかましい。嘆いていても仕方ないし、相手を見る。でっぷりとしているように見えるが、筋肉で身が締まっている。


「よろしくナ!」
「よろしく!」
「試合スタートだ!!」


結構フランクな奴だ。独特な喋り方。今回のメンバーはフーコと、マル。フーコはほのおタイプ、トドマルが得意としている吹雪対策。マルは氷に耐性があるため採用。ホルンは吹雪が苦手だから、今回はお留守番だ。


ゴングがゴーンと鳴り試合が始まる。と、同時にトドマルは床を凍らせて滑ってこちらへ向かってくる。


「くらイナっ!」


トドマルの身体がぶつかる。見た目に違わず重い。骨が軋む音がした。


「もう一回ダっ!」


さっきのようにまた滑ってくる。それを引きつけて…今だ! 回り込んで尻尾に……! 噛み付いた。


「ぬわああア! 痺れル……もしかして、かみなりのキバ?」


ご名答。かみなりのキバだ。


「ちっ…こうなったらラ……」



尻尾を思い切り地面に叩きつけようとするのを感じて、オレは尻尾を口から離す。トドマルはその瞬間に、滑走して一気に距離を取った。


「これでもくらエや!!」


氷の光線がまっすぐ飛んでくる…。タイミングがずれて避けられない。その時。




「えいっ!」



オレの後ろからフーコが炎を飛ばした。


「ちっ……厄介だナ。」


トドマルがほんの少しだけ後ろに下がった。


その時……目眩が……。



脳裏に浮かんだのはトドマルが雨を降らせ、そのあとの吹雪。




「ぉぉおおオオお…!!」


トドマルが雄叫びをあげた。するとぽつりぽつりと室内に雨が降ってきた。あの目眩が未来のものなら



「おおーっと! ここでトドマルのあまごいだ!」



「雨……」


フーコが目を細めた。オレがさっき見たものが未来のものなら……吹雪がくるはずだ。

「マル。」
「何?」
「オレたちとトドマルの間に水の壁を作れないか?」
「? わかったよ」

怪訝な顔をしながらマルは水の壁を作った。

「くらいナっ!」

冷気。降る雨は冷たい。その雨を凍らせるほどの冷気。吹雪が吹いてきて水の壁は固まった。


「おお〜! 」
「寒い……」
「ひとまずこれで攻撃は防げたかな?」


マルがそう言った瞬間壁にヒビが入った。


「え?」


ピキピキ。

ヒビはどんどん大きくなる。


「まずい!」
「ウチにいい考えがある! あのヒビに向かって攻撃を集中させるんや!」


確かにあのヒビの向こうにはトドマルがいるはずだ。オレはフーコの考えに乗る。


「でもただ集中させるだけじゃダメだよ。氷を割ってしまったらトドマルが有利になっちゃう。だから……」



マルが言いたいことはわかった。

「氷が割れた瞬間に叩き込む!」
「おっけー! ショウ、ボクが出来るだけ抑えてみるから君はその間に……」

こんなマルの真面目な顔は初めて見た。その顔でオレはすべきことを悟った。

「フーコも、ボクの壁が破られたらすぐに叩き込めるようにしていてね」
「はいよ!」


フーコは火を枝に集めはじめた。オレは身体に電気を纏う。さあ、難攻不落の要塞の攻略といこうじゃないか。
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■筆者メッセージ
一年ほど離れていました。久々に再開していこうと思います。
緑のヨッシー ( 2019/11/08(金) 16:02 )