第二章 橙の扉〜トワイライトランド編〜
火花散らして


「そこをどきなさい。さもないと…無理矢理どかしますよ?」
「ふん。悪タイプの犬っころは引っ込んでな。俺の目的は…このエーフィとクレセリアなんだからな。」


柔らかな笑みを浮かべグラエナは言う。しかしアルソは譲らない。それどころか挑発をした。


「_______様。ゴーリキーを…」
「ホテリ。あなたはダメだ。有効打がすくない。私たち3人は格闘に弱いんだよ。だけど…ヒショウ。君なら…」
「余裕ですね。このゴーリキーならば。」
「なんだと〜?? この俺をバカにしやがって!! ノーマルタイプが格闘タイプに勝てるのかよ?」



エネコロロはホテリと呼ばれたグラエナにそう言った。ホテリは悔しそうに歯ぎしりをして後ろに下がった。ヒショウと呼ばれたミミロップはノーマルタイプだが、格闘タイプのゴーリキー、アルソを全く恐れていない。余程腕に自信があるのだろう。


「……私たち、エスパータイプなんだけど…ね」
「…それを言っちゃダメなのよ」


モモとカガミはアルソの言葉を聞いてそう話した。


「まあ…いいや。この雌兎を倒してからでもエーフィとクレセリアはいいだろう…かかってこい!」
「ああ? 舐めてんのか? 俺は…雌兎じゃねぇよ! 」
「えっ?」


モモとカガミは唖然とする。アルソも動きが一瞬止まった。ヒショウは見た目はかわいく体型はスリムだ。容姿とは逆でこのミミロップは♂のようだ。アルソの動きが一瞬止まった隙をついてヒショウは動いた。


「俺は♂だッ! とびひざげり!」
「くっ…爆裂拳!」
「錯乱拳!」


爆裂パンチとピヨピヨパンチの派生技がぶつかりあう。ヒショウの拳の方がアルソの拳を押し返した。


「くっ…強いな…」
「お前が弱すぎるだけだ。」
「それならば……」


アルソは項垂れていたがすぐに動いた。ヒショウの方ではない。エネコロロの方に。


「えっ…!?」
「シオン様! 危ない!!」
「お前には用はない! あてみなげ!」
「うあっ!」
「えっ? きゃっ…!」


エネコロロを守ろうとホテリが飛び出すがあてみなげで投げられてカガミと衝突した。アルソはエネコロロに近づいている。


「はたきおとす!」
「あっ…」


橙色の宝玉のペンダントの紐が切れて落ちてしまう。


「もらっていくぞ!」
「させない! サイコキネシス!」
「邪魔を…するなあああああ!!!」
「その宝玉は勇者に渡す物…お前にはやらないよ。」


モモがサイコキネシスでペンダントを握りしめているアルソを押さえている間にいつの間にかエネコロロの手にそのペンダントが握られていた。


「な、なぜだ…俺の握力はかなりのものなのに…」
「ほしがるって知ってるかしら…。あなたには残念だけどこの宝玉は譲れないわ。」
「くっ…」
「ボクが様子を見に来てみれば…アルソ君。だめじゃないか♪ 負けてるようだしね♪」
「だ、だれっ!?」



どこからともなくふっとアルソの側に現れたジャノビーを見てモモが言う。


「はじめまして。ボクはディル・ショラル。ただの道化師さ。」
「くっ…ディル。何故ここにきた! ここは俺がなんとか…」
「君だけじゃ頼りないってムヨウ様に言われてボクは様子を見にきたんだよ? そしたらこのザマ…。ダメじゃないかぁ♪」


いきなり出てきたディル名乗るジャノビーはアルソをからかいながら笑っている。

「くっ…」
「とりあえず戻ろっか♪」


ディルがアルソの腕を掴んだ。モモは逃がしはしないと走って近づいた。


「待ちなさい!」
「ディメンションマジック!」

その瞬間ディルとアルソの周りの空間が歪む。


「アディオ〜ス♪ また会おう♪ 」


ディルのその声を残し2人は消えた。


「モモ! カガミ!」

そう言って走ってきたのはヒョウガ。そのあとにクロとセハルがやってきた。


「2人とも大丈夫だった!?」
「ええ…。大丈夫よ。そちらのエネコロロさんのおかげでね。」



モモはシオンを指して言った。


「あなたがたの連れだったのね。」
「ああ。迷惑をかけたな。」


シオンが言うとクロが静かな声で返した。


「ここは闇が早くやってくる。暗くなったら女子は危ないから気をつけろよ。今日のやつみたいにどんなやつがいるかわからん。」


ヒショウは淡々と話す。そうしているうちに祭り囃子の音がだんだん近づいてきた。


「あっ……もしかしてあなたたち……」
「どうかしましたか?」
「予言で言われていた勇者にそっくりですね。」


そう言うとシオンはヒョウガの目を覗き込んだ。ヒョウガは恥ずかしげに顔を赤らめながらもシオンの紫色の目を見つめ返す。


「……あなたたちが本当の勇者なんですね。乙女の舞の後ステージに来てください。そこでこの宝玉渡しましょう。」


そう言うとシオンはステージの方に向かって歩いていく。ヒショウとホテリもそのあとに続いた。


「行こうよ、ヒョウガ。」
「そうだね。行こう!」


セハルが急かすとヒョウガはステージの方に向かって足を進めた。
ステージの上には踊り子姿のポケモンが立っていた。


「……!?」


そのポケモンを見たときクロは驚いた表情を浮かべた。そのポケモンは_____ニンフィアという種族だった。


緑のヨッシー ( 2015/12/23(水) 10:31 )