手がかり
翌朝
「そういえばここはどこ?」
「ここはトワイライトランド。黄昏の土地。一日のほとんどが夕方であることからこの名がついた。この土地を治める主が宝玉を持っているはずです。」
「確かに…今は午前9時なのに夕陽が差してる。」
ほとんど太陽は動かない。この国には夕方と夜しか無い。昼を過ぎると薄暗くなる。
「とりあえずここをでて宝玉の持ち主を探そう」
「そうですね…ここの領主が持っているとしてもどこのだれだかわかりませんからね」
ヒョウガ達は宿をでて宝玉探しをすることになった。しかし……思ったように事は進まない。話を聞いても大体うわの空でヒョウガは困り果てていた。一旦宿屋に戻って、昼ごはんを食べていると昨日、カウンターにいたハリマロンがやってきた。
「お客さんお客さん。遠くからきたんでしょ?」
「ん…ああ…」
ハリマロンの高いテンションについていけないクロ。
「そうだ! あなたここの領主を知らない?」
カガミがハリマロンに聞いた。
「シオン様のことかな…」
「シオン?」
「うん。この国はシオンという女性が治めているんだよ」
ここで思わぬ情報が得られた。シオンってどんな人だ? という顔をセハルはしている。
「シオン様は優しくて美人で…」
「それはいいからどこに住んでいるの?」
長くなりそうな気がしたのかモモが口を挟んだ。ハリマロンは顔を顰めたがすぐにこう口を開いた。
「黄昏の森よ。でも、今日はこの辺りのお祭りがあるからここに来るかもね。」
「お祭り!?」
「うん。今年は有名な舞姫が舞う。そのお祭りの余興だけど…踊り子の乙女が来るの」
「踊り子?」
モモは目を輝かせてハリマロンに聞いた。
「うん。それはそれは優雅に舞うよ。お祭りは夜から。是非見るのをオススメするよ。じゃあ…」
そう言うとハリマロンは去っていった。
「お祭りかあ…みんな行こうよ!」
「ああ! 美味いものがあるといいな。」
ヒョウガの呼びかけにセハルは応じてクロとモモもうなづいたが、カガミだけは真剣な顔をしていた。そして、「しまった」と、いう顔をして言った。
「シオンの種族、聞き忘れたわ!」
そう…ハリマロンの言ったシオン。ヒョウガ達は、彼女の種族を聞き忘れてしまったのであった。