闇の軍勢
コトの家へとミヤビに先導されてヒョウガ達は向かっていた。
そして数分が経ち…こぢんまりとしたたたずまいの屋敷の前でミヤビは止まった。
「ここだ。入るぞ。」
ミヤビは門番と話をつけ中へ入っていく。ヒョウガ達もそれを追って入る。
「よくいらっしゃいました。私は万葉 琴。古を紐解く者です。」
屋敷の玄関にいるリーフィアの彼女______コトは微笑みながらそう言った。
「それで…ミヤビさん。何の用でしょうか?」
「この3人に古の書を見せてやってくれ。私は帰るから…」
「わかりました。さあ、3人ともこちらへどうぞ。」
「は、はい。」
コトは屋敷の中へ来るように手招きした。
クロ、ヒョウガ、モモの順にコトの屋敷へ上がる。そしてヒョウガ達は座敷に通された。
「お茶を出しますから少し座ってお待ちください。」
と言うとコトは足早にどこかへ行ってしまった。
「そうだ。そういえばヒョウガは別の世界から来たんだっけ?」
「うん。」
「向こうの世界の記憶…ある?」
「まあ…少しはね」
などと3人は話しているとコトはお茶を持って戻ってきた。
「お待たせしました。この国自慢の緑茶ですよ」
コトの持ってきたのは濃い緑茶。湯気が立っておりそこからはお茶の香りが漂っている。
「そろそろ本題に入りましょうか」
お茶を置きコトが口を開いた。そしてどこからか古い本を取り出した。国史と表題に書かれている。
「この本は王家に伝わる本です。さて…そんなに長くないですからちゃんと聞いてくださいね」
コトの言葉に3人は頷いた。そして彼女は語り始める。
「空に穴が開かれし時、この国は動乱に見舞われる。その時、新雪の勇者が訪れる。都の動乱を鎮め国を救うだろう。
…王家の宝玉は動乱をおさめし勇者に渡すべし。」
コトは詠うように言った。
「質問!」
「なんでしょう?」
クロがコトに質問をした。
「その動乱については記されていないのか?」
「…闇の軍勢の七柱とだけ書かれています。」
クロの質問に答えた時、屋敷の門番が駆け込んできた。
「た、大変ですっ!」
「どうしたの?」
「街中で大暴れしている人が……『我らは常闇軍なり』と言って建物を破壊したり住民を殺害したりしてます! ここにも何人か来てます!」
「このままでは明後日のお祭ができなくなってしまうわ! 3人とも、追い払うのを手伝って!」
「はい!」
ドタッ…。
ヒョウガ達が外に出るとさっきの門番が倒れている。どうしたのだろうとモモが近づこうとすると、どこからか鋭い葉っぱが飛んできた。モモは咄嗟に跳ねてよけた。
「ちっ! 運のいいやつ!」
「どちらにしても…勇者の一人がここにいる。だから倒さないと…」
「4人か…まあなんとかなるだろ」
その言葉とともに物陰から出てきたのはベイリーフ、マグマラシ、アリゲイツの3人だった。