誓いの虹 - 第一章 赤の扉〜倭国編〜
ミヤビとコヨミ

赤い扉をくぐる。そしてヒョウガ達がたどりついた場所は……。


「わぁ…凄いとこだね。」
「ああ…これは凄くでかいな。この門は。」
「随分と和風なのねー」


目の前に大きな門が開いていて人が行き来している。その奥には木造の古風な建物が並んでいる。見慣れない景色なのかヒョウガ達はキョロキョロと辺りを見回している。
そんなヒョウガ達に1人のポケモンが近づいてきた。


「そなた達。どうしたのだ? そんなにこの門が珍しいのかい?」
「はい。ここには初めてきたので」
「どこから来たのだ?」
「ボーダーシティから」
「ほう。なるほど。ずいぶんと遠くから来たんだね。ここは倭国の中央都市である秋津京…大和 喜内というリザードンの王が治めている国だよ。」


烏帽子をかぶったデンリュウはヒョウガ達に話しかけてきた。微笑を浮かべているこの人は只者ではない気配を漂わせている。


「雅さん。どうなさいましたの?」



そこに近づいてきたのはライチュウだ。デンリュウの名前はミヤビと言うらしい。


「この方達が珍しそうに門を見ていたから声をかけてみたのだ。」
「そうでしたの…この門はたくさんの人々の力によって建てられました。ゆっくり見ていくといいですよ。」
「はい。そうします。」
「ところであなたがたのお名前は?」



ミヤビに聞かれてヒョウガ達は名乗った。


「ヒョウガさん、クロさん、モモさんですか。よければ私の屋敷に来なさい。」



ミヤビとライチュウに連れられてヒョウガ達は屋敷へと来た。そしてしばらくすると屋敷の中へ案内された。庭にある木の若葉がきらめいている。風が吹くたびかすかに揺れている。

「こんな広い屋敷を持っているなんて…あなたは…」
「自己紹介が遅れたね。私はこの国の国王補佐…藤原 雅だ。」
「妻の藤原 暦です。」


デンリュウが名乗り続いてライチュウが名乗った。ちなみに藤原の読みは『ふじわら』ではなく『とうはら』だ。


「なぜ国の偉い方が僕たちに?」
「古を記した書に書いてありました。
『この国を新雪の人が訪れる。その人が動乱をおさめる勇者である…と』
さらにこれには続きがあって…『王家の宝玉は動乱をおさめし勇者に渡すべし』と書かれているそうです。だから私はあなたがたがそうではないかと思いまして声をかけた次第です。」


ミヤビが詠うように言った。

「国王様には伝えたのですか?」
「ええ。解読者の万葉 琴さんがね」
「その人に会ってみてもいいですか?」
「まあ…いいとは思うぞ。しかし多忙だからな彼女は…」


ミヤビは顔を曇らせてそう答えた。どうやらコトという名の解読者はかなり忙しいみたいだ。


「それでも行くのならついてこい。」


ミヤビの後にヒョウガ達は続いた。その後ろには黒い影がついて来ているとは知らずに…。


■筆者メッセージ
一つ目の世界…。書けたよ。これからどうなるのやら…。
緑のヨッシー ( 2015/06/04(木) 22:24 )