1人目の勇者
大きな音をきいてヒョウガ達は外に出た。そこに広がるのは…空に開いた巨大な黒い穴。
「な、なんだこれ!?」
「これは消滅の穴じゃ…」
「あなたは……?」
うなぎのように長い身体を持つポケモンが近づいてきた。
「ワシは…ヌル・イール。ここの市長であり長老じゃ。」
「ヌルさん。お久しぶりです。」
「おお…クロ。それにモモ。セツは見つかったのかい?」
「いえ…まだ……」
「そうかい……それにこの穴が開いてしまった…セツを捜すのも諦めた方がよかろうて…」
「私は諦めません! 誰が何と言おうとも。」
「この穴を消す方法はないのですか?」
クロがヌルに向かって聞いた。ヌルは少し考えてからこう言った。
「純粋な心をかたどった宝玉…つまり石じゃな。それが揃えば…あの穴を創り出した人に対抗する術となる。」
「あの穴って創られたものなの!?」
「そうじゃ。消滅の穴は名の通り世界を暗黒で包み最終的に消滅させる力を持つのじゃ。それに対抗するにはさっきの石が最低でも必要…と古文書には書かれておった。あと今日解読した部分に気になるところがあった。」
「気になるところ?」
「『七色の光に導かれ八つの世界への扉が開かれる。
世界が暗黒に包まれし時、7人の勇者が現れ世界を救うだろう…。』とな。」
「勇者の容姿については書かれていないのですか?」
「確か……1人目の勇者の容姿は…青と水色の身体で氷タイプと書かれていたはず…」
青と水色…氷タイプ…とヒョウガが悩んでいる。ヒョウガはクロやモモ、ヌルの視線を感じて顔をあげた。
「まさにこの容姿…このグレイシアこそ勇者の1人に違いない!」
「ええーーーーっ!!!」
ボーダーシティの一角にクロ、モモ、ヒョウガの声が木霊するのであった。