6.「とある少女の旅立ち」
リュウの冒険が始まり、彼がトキワシティに着いた頃だろうか。
「う〜ん!」
ここはヤマブキシティ。ここには今から旅立つ少女がいた。名前はアミ。今年10歳になったばかりだ。彼女はトレーナーとなり、この日旅立つのだった。パートナーのユンゲラーと共に、カントーをまわるのが彼女の目的だ。
彼女のユンゲラーはもともとケーシィだったが、8歳の頃、野生のポケモンに襲われた時に進化した。
彼女は荷物を整え、玄関を飛び出した。しかし、飛び出した瞬間、横から1人の少女が走ってきていて、気付いたときにはもう遅く、2人は激突してしまった。
「いった〜!」
「あぁ、ごめんなさい!飛び出して悪かったです」
「ごめん。急いでいたもので‥」
んん〜?うーん?あれぇ?あ、そうだ。
「アンズさん?」
「いかにもそうですが?」
アミはアンズに近寄って行き、自分とほとんど歳が変わらない少女を見つめていた。その視線に耐えかねたのか、アンズは話し出した。
「どうしたの?」
「アンズさんは何歳?」
「へ?えっと、10歳だけどそれがどうしたの?」
アンズはちょっと前にジムリーダーになった人で、ニュースになっていた。ちなみに、前のジムリーダーはキョウで、今は四天王の一角だ。
「いや、ジムリーダーの人でも普通の人と何にも変わらないんだなって。あ、私の名前はアミ。今から旅を始めるんだけど‥」
「私も」
「え?アンズさんはジムリーダーじゃないの?」
「お父さんに旅して実力つけて来いって言われて1週間前に旅を始めたんだよ。あとアミ、さんはいらない」
「わかった。じゃあ一緒に行こうよ」
え?とでも言うようにアンズは驚いた表情を見せた。
「いいの?こっちは、すごく嬉しいんだけど」
「うん。じゃあ行こうか」
「うん!」
こうして2人でヤマブキシティを出たのだった。
一方、リュウは2番道路を通り、トキワの森に来ていた。今度こそ、本物だ。
「んー」
『ピカチュウとかゲットしたら?』
『そうだなー。俺はほのお、お前はドラゴンだからなー。タイプ相性てきに丁度いいなー』
『おいリザード、なんかお前棒読みになってるけどどうしたんだよ』
『何も起こらなくてつまらない』
『は?じゃあピカチュウ捕まえにいくぞ』
『『イヤッホーウ!』』
バカなのかこいつら‥いつかとんでもないハプニング起こしそうだ。
『おーい、ピカチュウ、出てこ〜い』
「ピカ?」
『『『‼︎?』』』
ずっこけてしまった。アニメかっつーの。呼びかけたら出てくるって、まじかよ。
「なあピカチュウ、一緒に旅しないか?」
「ピッカ!」
ピカチュウは頷いて俺が持っていたボールに入って、また出て来た。
『『『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥』』』
『何で白けてるの?』
『『『‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥』』』
『ねぇ、ちょっとどうしちゃったのさ』
『いや、待て待て待て。なぜにこんなあっさり?』
『いい事がありそうだったから』
『なんつー奴だ。あ、お前はどんな技が使えるんだ?』
『まず、電気ショック』
そういってピカチュウはリュウに電撃を浴びせた。それを受けてリュウは絶句していた。
『それから、電光石火』
今度は猛スピードで体当たりしてきた。
『あとたたきつける』
そういってピカチュウはリュウを地面にめり込ませた。
『最後にフラッシュ』
ピカチュウは強く光って元にもどった。既にリュウに意識はない。
『馬鹿野郎‥‥』
リザードがそう言うと、ピカチュウはそこでようやくリュウに気付いたようだ。
『え!?リュウ、ちょっと大丈夫?』
『ポケモンの技を受けて大丈夫な奴がいるか!』
『アホ!ピカチュウなにやってんの?』
ミニリュウもピカチュウにギャーギャー言い出した。
『おい、それどころじゃねえぞ。急いでニビシティまで運ぶぞ!』
『『イエッサー!』』
「うう‥‥‥俺はどうしたんだ?」
そこは病室だった。横を見るとピカチュウとリザードとミニリュウがリュウの顔を覗きこんでいた。
『大丈夫?』
『よかった〜』
『ちくしょうめ‥‥』
『あれ?俺はなんでここにいるんだ?』
『ピカチュウの奴がお前に技を浴びせたんだ。』
『いやちょっと待ってよ。ボクは見せてって言われたから見せたんだよ』
『何もリュウにやることないだろうが!ふざけんな!』
ああ、思い出した。俺はピカチュウに技を見せてって言ったらいきなり電気ショックを浴びせられたんだ。
『もういいよ、リザード。怪我で済んだんだから。』
『ごめんなさい‥‥‥』
『いいんだ、ピカチュウ。お前の技は俺の意識を飛ばす程強いんだ。俺に怪我させたんだから、自信持てよ?』
『わかったよ』
『ていうかさ、ここどこ?』
『ニビシティの病院』
『え?もしかしてお前ら運んで来てくれたのか?』
『『『ま、まあね』』』
『』
『なぜ絶句する』
『お前ら意気合い過ぎ。俺はダブルバトルでは負けない自信がついてしまった』
『そうか』
その時、ジョーイさんが病室に入って来た。
「体調はいかがですか?そこの3体があなたを運んで来たんですよ」
ポケモンと話せるということはばれたらまずい気がするので知らないふりをすることにした。
「そうだったんですか‥‥。ありがとう、お前ら」
3体は鳴き声をあげた。よかった。察してくれたみいだ。
そんなやりとりをしていた日の数日後。リュウはニビ病院を退院した。
『う〜ん、どうしようか。』
『俺達はちょっと鍛えた方がいいんじゃない?』
そう言ったのはミニリュウだった。
『うん、そうだな。じゃあこの先の3番道路に行こう。』
『『『イエッサー!』』』