5.「奇妙な出来事」
トキワシティに向けて俺たちは出発した。やはり野生のポケモンが多いな。もういいよ。
ロケット団が来てもまずいので、急ぎ足でトキワシティに向かった。長かった森ももう終わる。ようやく街に着くんだ。
ついにゲートが見えた。もうトキワシティは目の前だ。ゲートの中には人がいなかった。これが無人化ってやつか?
「着いた〜!」
今までもたまにトキワシティにはおつかいなどで来ていたが、旅として来るとまた違った味わいがある。もう家を出てから3日も経ったのか。風呂も入れなかったし、もうすぐ日が落ちるので、ポケモンセンターに泊まる事にした。ポケモンセンターはトレーナーズカードを見せればタダで泊めてくれる。なんて便利な施設なんだろう。ポケモンをジョーイさんに預けると、俺は風呂に入ることにした。いや〜、3日ぶりの風呂は気持ちいいだろうな〜。
風呂から上がると、ポケモンの回復が済んでいた。
「もうポケモンたちはすっかり元気になりましたよ!またのご利用をお待ちしております!」
「ありがとうございます」
ポケモンもタダで回復してくれる。どうやってお金のやり繰りをしてるんだ?
「よし、飯にするか!」
そんな感じで初めてのポケモンセンターの宿泊は終わった。
次の日。
「よし、ジム行こう」
『あいよっ!旦那!』
こいつら打ち合わせしてんじゃないか?もうこの事は考えないようにしよう。
俺たちは、ジムの前にいる。というか、そこにいるしかなかった。なんせ、ジムの扉には、
【他の7つのバッチを集めた者のみに挑戦権を与える】
ーサカキー
は?何これ?
俺はしばらく放心状態だった。やっと着いた街でこれかよ。ふざけんな。なんだよ、サカキってのは。ちくしょう、他のバッチをさっさと集めてサカキをぶっ倒してやる!待ってろよ!
というわけで、次の街のニビシティに行くことにした。
『りょーかい』
あれ?俺今声に出していったか?
『何か念話ができるようになったのか?』
何それ?この能力ってそんなにすごかったの?聞いてない。
『そうだねぇ。でもこれを使えばバトルの時有利じゃない?』
『そうだな。トレーナーの指示なく攻撃を始めたらそりゃ慌てるだろうな』
あなた達はなぜそんなに頭がよろしいのでしょうか?
『『なにそれ照れる』』
今度ダブルバトルやってみようかな。
特に用事もなかった俺たちは、ニビシティに向かうため出発することにした。
ちょっと待った。そう言えば俺ってトキワシティに来る時にトキワの森を通ったはずだよな?なんか当たり前のように通ったけど、トキワの森ってトキワシティの北にあるよな?マサラってトキワの南だよな?なんであの時はごく自然に通ってたんだ?俺は1回ポケモンセンターに戻り、オーキド博士に連絡を入れた。
「おお、リュウじゃないか。どうしたんじゃ?」
「あの、マサラとトキワの間に森なんてないですよね?」
「それはお前がよくおつかいなどで通ってるから1番分かってるじゃろ?」
「でもおかしいんです。俺はあの時森を通ったんです。しかもトキワの森って認識があったんです。なんでだろ?」
「なんじゃと?ちょっと待っておれ!」
「え?あ、はい」
そう言うとテレビ電話は切れた。それから5分後。ピジョットに博士が乗ってやって来た。元気な人だなぁ。
「やあ、リュウ」
「どうも」
「確認したが、森などなかったぞ?普通の1番道路じゃった」
「なんだって?俺は確かに森を通ってここまで来るのに3日かかったんですよ?」
「はて、お主が出発したのは昨日の昼じゃぞ?」
「なんで‥‥そんなことが」
「それは確かにおかしいのぉ。ここにくるまで、何かなかったかの?」
「これは秘密の事なので誰にも言わないでくださいね?」
「分かったぞい」
俺は、ミュウに会った事を話した。すべて。
「ふむ、そんなことがあったのか。ちなみに、言っておくが、ミュウはフジ老人とカツラとわししか見たことがないポケモンじゃ。」
「何?」
「ちなみに、その時、わしらもおかしなことがあった。あの時のことはよく覚えておるからの。わしらはあの時3人で旅をしていたのじゃ。フジは、マサラ出身で、カツラは、知っての通り、グレンじゃ。それで、事が起こったのはわしらがニビからハナダに向かう時じゃった。本来ならおつきみやまがあるはずの場所に巨大な森があったんじゃ。その時、わしらは何も不思議に思わんかった。そしてそこでミュウに会い、ここはトキワの森だと言われたんじゃ。ちなみに、そこをぬけるのに3日かかった。わしらがおかしいことに気付いたのはハナダに着いてからじゃった。その時調べたら、わしらはニビから出発した次の日にハナダにいたんじゃ。しかし、その問題は肝心のミュウが現れないからわからずじまいなのじゃよ」
『何それ?ミュウってそんなすごいやつなの?』
『ミュウなんて、見たことないわ〜』
『あ、確かミュウってポケモン達の間では全ポケモンの先祖だったかな?』
『あーそれ聞いたことあるわ〜。で、なんかそいつがアルセウスを産んでそれからアルセウスが世界を作ってディアルガ、パルキアを産んで時間と空間っていう物が出来て‥‥‥』
『ちょっと待て。オーキド博士に怪しまれるだろうが。また次の機会にな。』
『はいよ〜』
「そうだったんですか」
「では、気を付けるのじゃぞ」
「はい、いってきます」
「うむ。行ってらっしゃい」
こうして、俺達はトキワシティをあとにした。