自分を見つける物語
Chapter0:運命の出会い
プロローグ
『星の停止』が『エメラルド』に阻止されてから、もう三年も経ったんだね。いやー、時が流れるのは早いよ。こうやって僕の元にお客さんが来てくれるのだって、随分昔のことだし。これでも伝説ではけっこう語り継がれてきたのに、だーれも僕のところに来てくれないんだよ。ひどいと思わない?
…え?そんなことどうでもいいから、エメラルドのこと教えろって?えー、せっかくお客さんが来てくれたから、話すこといっぱいあったのに…よりによってあんな有名な探検隊のこと?なのに、今更何を話せっていうの?そりゃ普通のポケモンよりは、いろいろ知ってるけど。

…まあいいや。エメラルドのことだっけ?君には時間がないみたいだから、出来るだけ短く説明するよ。

エメラルドは元は人間で記憶喪失のピカチュウと、少し弱虫なイーブイがつくった探検隊なんだよ。プクリンギルドで修行を積んでいった二人は、めきめき強くなっていくんだけど…まあそれだけじゃ普通の探検隊と同じだよね。でもここからが、二人の凄いところなんだよ。
冒険を続けていくなかで、ピカチュウが未来から来た存在だって発覚するんだ。相棒のジュプトルと、星の停止を防ぐ為に過去にやってきたということが。
そして弱虫なイーブイも、その星の停止を防ぐことに必要な、遺跡の欠片に選ばれた存在。
そんな選ばれた二人の活躍により時は正常になって、世界には平和が訪れたんだ。

全然短くないって?これでもかなり省略した方なんだけどな。
でも凄いよね!この二人の出会いは、正に運命だと思うんだ!自分と世界を天秤にかけて、世界を選ぶ決意が出来た少女。勇気を奮い立たせて、伝説に立ち向かった少年。二人とも本当に―――――って、


「どこに行くんだい?話はまだ終わってないのに!」
「…聞きたいことは全て聞いたからな。それに、もう行かなくちゃなんねーから」
「そんな…やっと話相手ができたのに!!」

残されそうになったポケモンが縋るように言うが、少年の意思は変わらない。すぐにでも行かなければ、あいつらがここまで追ってくるだろう。それだけは避けなければならなかった。
それでも少年はすぐ立ち止まった。先ほどのポケモンの言葉を思い出したからだ。

「…おい、お前」
「ん?まだ聞きたいことがあるのかい?」
「違う。エメラルドのことを教えてくれたのは、礼を言う―――だけどな」

「俺は『運命』も『選ばれた存在』も、大嫌いなんだよ。そんな確かめようがないこと、俺は信じねぇ。絶対にな」

言葉に込められた僅かな殺気に、気づかない者は大勢いるだろう。現に目の前にいる少年も、それを告げ終わるときにはそんなもの消え失せていた。こちらに背を向けて去っていく少年の姿を、ポケモンは微笑んで見送る。
辺りは再び静寂に包まれ、そこに住む彼以外は誰もいなくなった。それでもポケモンは視線を少年が去ったところから外さない。

「――――君は、分からないんだねぇ」
「これから自分がどうするべきかも、どうやって罪を償っていくかも」
「だからこそ、『運命』も『選ばれた存在』も大嫌いなのだろう?」
「でも、大丈夫だよ。全てはもう決まっている」

「彼女だって、君を待っているんだから!」

その言葉は、誰にも届かない。
ただ、澄んだ空気に溶けて、消えていくだけだった。


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■筆者メッセージ
…ついに始まっちゃいました。
ストーリーはちゃんと考えていますが、オリジナル色が強いので(空の探検隊の三年後)苦手な人はもう戻った方がいいと思います。
とにかく、頑張って書いていくのでのんびりと見守ってやってくれると嬉しいです。
菊乃 ( 2014/02/27(木) 22:15 )