叛骨の強奪者






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Third Stage - The Aura Guardian part -
Phase 50 蒼装束に袖を通す
「報告ご苦労」
 白衣はたった一人異彩を放っていた。
 彼はこれまでに起きた仔細を説明して聞かせた。逆光により表情が陰に隠れ、世界を操る上層部らの真意は一向に見えない。強いて言うなら、この圧迫感が継続するのはアクロマにとって愉快ではない。
「最終兵器タイプXをネオロケット団の手から奪還することが目下最優先事項だ」
 上意下達の命令に従い動くのは、中間管理職の悲しき性だ。
「後の指揮は君に一任しよう。だが、そのためには……。チーム・スナッチャーの司令官として、心得ているな?」



 シンオウ地方。
 漢字で表記すれば「神奥」であり、その名が体を表す、神話と馴染み深き土地である。
 地方を縦横に貫くテンガン山と呼ばれる霊峰の麓に、異能を秘めて隠れ住む者たちの里がある。
「よもやお主が里に顔を見せるとは、テンガン山に嵐でも吹くかのう」
「世界情勢には既に吹き荒れています」
 召使に寸法を測らせながら、錫杖を寝かせた老戦士がうそぶいた。この翁が波導一族を束ねる現・里長当人に他ならない。
 時空の神を祀る宮廷の名残が随所に見られるこの場所では、ヒイラギという戦士の佇まいもどこか規律正される。
 彼は死闘の果てに、自身の夢であった波導使いの祖・アーロンより、逆賊マルバを倒し、世界を救うよう託された。その決意と、彼なりの心情の変化が、波導使いの正式な衣装に袖を通させることを決めさせた。その装束を着た晴れ姿はアーロンと瓜二つであり、戦地を駆け抜けたこれまでの迷彩柄からはヒイラギの印象ごと刷新させる「蒼」と「黒」に包まれている。
「あなたがたは、今回の事情をどこまで把握していたのですか」
「マルバが一枚噛んでいることは承知していたが、奴が波導使いの里を去ったのは、お主が産まれる前のことだ」
 こうしてヒイラギが里に顔見せ出来るのも、アクロマ新司令官の厚意がなせる業だ。
 マルバがヒイラギの先達にあたる立場だとすれば、かの戦士とは見積もっても二十年ほど経験値の差が存することになる。
「今のわたしでは、マルバに勝ちようなどありません。波導の出力が違い過ぎる……あまりにも」
「マルバとお主の波導の何が違うと考える?」
 容赦、と口に出した。
「波導は殺法ではないと教わりました」
「左様。『そなたの隣人を護るため、そなたの敵を害するものにあらず』。最も大事なことを教えた」
「アーロンは……隣人を護るために命を賭した。護る、とは何だ?」
 波導の勇者の気持ちは誰にも推し量れない。本人のみぞ知る。あの限られた対話から、ヒイラギは想像するしかなかった。
「わたしたちの在り方は甘いのでは。もっと、我を突き通すような生き方をしても」
「ヒイラギ」
 長のトゲキッスが怯えていた。
「危険な考えだ」
 エアスラッシュで両目を切り裂き、波導を高めたと言われるこの長も、全盛期を通り越し、戦士としては衰弱した。
「長、失礼いたします」
 襖から恭しく一礼が入る。
「鑓の柱に、ポケモンハンターの軍勢が現れたと協会から連絡がありました」
 ヒイラギと長は二人して反応する。
「本当に秘宝を狙って」
「いつかは来ると思っていた」

 殺風景な場所だった。ここが聖域と言われても疑問符を並べてしまう。そんなJと共に下船したマルバは、昔の知恵を手繰り寄せた。
「鑓の柱には、三つの宝玉が置かれている。その輝きは常に均衡を保っている。しかし互いの世界に異変が生じると、バランスを崩す」
 鎧の残響に混じる革靴の足音が、観光者ではない来訪者がもうひとりいることを報せる。
「これは奇遇」
 マルバが波導を感じるまでもなく、その男は容姿だけで自己紹介を済ませた。
 ガードにつけたポケモンハンターは自分の役割を熟知している。厄介者の参戦に早々のレッドカードを叩きつけようと、ミサイル針を放ち彼女のポケモンが動く。
 あわよくば失明を狙える寸前でミサイル針を跳ね返され、ドラピオンは針の筵となった。それほど緻密な指示を遵守し、念を自在に調整できるポケモンが――
「まさかこのシンオウにおいて、ホウエン側のチャンピオンがお越しになるとは」
 かのチャンピオンの手持ちとあれば納得もいく。
「我等の存在が白日の下に晒されて以来、各地でかつての英雄が動き出したと聞いた」
 タマムシを中心としたデモ以来、ネオロケット団の暗躍には牽制がかかった。各地方では元チャンピオンとして競技世界を牽引した錚々たる面子が国防のために動き出したという。
 御曹司・ツワブキ ダイゴは、不敵かつ大胆に冷笑してみせた。
「英雄か、随分だな」
 昔のツテで、知り合いの考古学者から連絡を貰い、鑓の柱まで馳せ参じた。歓迎を込め、無慈悲な石化光線が撃ち放たれる。
 石柱を縫い、降下してくる戦士が盾となった。石化現象は起こらない。司令官はこの結果を以下のように評した。
『予見通りです。やはり石化は起こらない。これでスレート以外の全員が石化光線への抗体を得ました。光線を恐れず、本来の出力を発揮出来ます』
 破れた世界という眠りからの目覚めは、彼らに大きな恩恵をもたらした。ネオロケット団が得意とする相手を石化させる戦法はもう通用しない。
 一触即発、ヒイラギとJの眼が合う。
「何か心境の変化でもあったのか?」
 宿敵の衣替えは嫌でも目につく。
「貴様に話すことはない」
「嫌われたものだ」
 わたしもおまえが嫌いだ、と声のトーンが物語っている。
 Jとスナッチャーの因縁は長い。分身が表舞台から去った後も現れる。逆に彼女は新生スナッチャーに立ちはだかる敵としてマルバがセレクトするには当然のチョイスといえる。
 ダイゴを慎重に庇いつつ、ヒイラギは切り出した。
「おまえの分身とやらは倒れたぞ」
「分身?」
 他でもないJ自身がJ2と称した影武者的関係を、既に忘却したとでも言いたげなとぼけようだった。
「クライアントとの関係が切れただけだ」
「何故マルバに手を貸す」
「利があるからだ。ハンターの仕事とネオロケット団の目的は噛み合っている。我らはポケモンを捕らえ運ぶ。ネオロケット団は捕らえたポケモンを活用する。これがビジネスだ」
「世界が石になれば、おまえたちのビジネスも稼ぎ元がなくなるが」
「石化が織り成す夢は人の欲を叶える。波導使い。おまえに欲は無いのか?」
「無か……った」
 個人的な問答に応じたことに、嘲笑する。
「今は、望みがある」
「なら叶えてもらうんだな。マルバはおまえの何倍も強い」
 表情の強張りをJは見逃さない。思ったよりも精神攻撃は効いている。
 マルバは既に聖堂へと向かった。あの狂気と対峙せずに済むのは僥倖だ、という弱気がヒイラギを踏みとどまらせる。
『ヒイラギ、対話に応じる必要はありません。任務を開始してください』

「初めまして」
「ホウエンリーグチャンピオンか……」
「元、ですがね。今はデボンの未来を背負う者です」
 簡素な挨拶を済ます。
 スナッチャーに、ダイゴ擁するデボンコーポレーションから連絡が入ったのは、数日前のことだった。
 スナッチャーの国際的貢献の見本となる活動を評価し、全面支援を申し出た彼らは、自社の後継者候補であるダイゴを筆頭に、ネオロケット団の石化現象の謎を追っていたという。デボンの研究する生体エネルギーは∞エナジーという商標登録でパッケージ化されている。エネルギーを平和利用しようとする彼らが真逆のネオロケット団に行き着いたのは、ある意味必然だった。
 彼らとスナッチャーが手を組むことでもたらされるメリット、そしてジュノー亡き今、内通者戦法をマルバが続けるのはリスクヘッジ的に意味が薄い。アクロマはデボンからの申し出を二つ返事で了承する。
 テンガン山麓に位置するヒイラギの故郷に情報収集を兼ねて立ち寄り、デボンの調査やチャンピオン側の動向を共有。ネオロケット団が次に狙う鑓の柱の宝玉に焦点を据える。ダイゴとの合流は、そこで行われる手筈となった。

「既に消失している」
 宝玉は全部で三つ。しかし、ネオロケット団が欲する白金珠のみが祭壇に祀られていない。先手を打たれたか。
 可能性としてはスナッチャーが確保済みで別の場所に隠したと考えられる。しかし珠には伝説のポケモンの波導が込められており、マルバほどの使い手なら気付かない道理はない。
「……珠の気配は、そこか」
 マルバの邪念に満ちた波導を受け切る。
 錫杖に取り付けられた宝珠が輝きを帯び、反撃の刃をより熾烈なものにした。『飛行のジュエル』からなるエアスラッシュ。
「見事なり。しかし悲しいかな、ポケモンの力では我を倒すこと能わぬ」
 そう無感情に死を宣告し、絶望を撒く。
 ポケモンの技が効かなければ、一体何なら効くというのか。マルバの鎧の異常な耐久数値はヒイラギたちも嫌というほど思い知らされた。波導一族の長が誇るポケモンでさえ彼の外殻に傷ひとつつけられない。
「噂以上だな。儂がマルバの相手をする。お主らはこれ以上の侵攻を許すな」
「マルバの攻略法は? 閃いたのですか」
 彼は虚勢を張るでもなく黙した。
 ヒイラギはその時、長が石化する未来を間接的に視た。
「そんな顔をするものではない。その服を着たなら、相応の顔つきをせい」
 振り切るように、背を向け駆け出していく。

「スナッチャーに餞別だ」
 飛行艇からの大量投下は爆弾を思わせた。かつて湖を干した戦犯は今度、鑓の柱をダークポケモンの巣に変える。
 しかし、Jの目論見は木っ端微塵に崩れた。
 8の字を描く軌跡が大量のカプセルを滞空させる。キャプチャが成功するとポケモンは被膜に覆われる、つまり。
「たまにはこっちが先手を打たないとね」
 陰からおのずと現れる天敵に、Jは舌打ちする。彼女にとって、シルフ人質事件から腐れ縁の続く顔ぶれにはほとほと飽き果てた。
 ヒイラギは口笛を吹き、ボーマンダを再度呼び出し応戦する。飛行艇の開き切った扉からはドラピオンが。獲物を執拗に追い込む針のミサイルが飛行ルートを強制させた。 
 滴の落ちる蒼の眼が次に来る十字の毒素を先読みする。表皮を二回叩き、重力に従って翻りながらの体勢で繰り出す技は、ボーマンダの現トレーナーにとって縋りたい名前のひとつ。
「『ハイドロポンプ』!」
 飛行艇上のドラピオンとJをぐらつかせ、船体の電子機能を低下させた。
「新たな技を覚えさせたのか……!」
「もうおまえのポケモンじゃないからな」
 それに、使い心地が良い。
 キャプチャしたユキノオーで柱をクライムするレンジャーが、続いてドラピオンに照準を定める。精神的に一層強さを増した二人の面々に、Jもかつての手持ちでは通用しなくなっていた。
「おのれ、かくなる上は」
 有事の際には「使え」と言われたボールがある。

 ミュウツーが現れた。

『……来ましたね』
『こうも躊躇なく出陣させるとは。スターティングメンバー扱いですね』
『逆に言えば、相手も切札を出さざるを得ないほど、余裕がなくなってきている証とも考えられます』
 司令部が無線上にそれぞれの見解を述べ合う。ミュウツーが出てきた瞬間、勝機に湧いた一同の活力が著しく減退するのが見てとれた。その証左としてヒイラギとイトハの勢いが完膚なきまでに打ちのめされる。
 すかさずダイゴがカバーに入った。
「バレットパンチ!」
 無数の鉄拳に追い付き、スパーリングのように持ち前の反射速度でいなしていく。メタグロスと取っ組み合い、エスパーらしからぬ格闘技の応酬は、観客がいれば野蛮に白熱するラリーだった。
「これで借りは返したよ」
 あのミュウツー相手になんとレベルの高い立ち回り――ヒイラギはそっと、実力不足を悟った。
 ひん曲がった笑みに、イトハは時折ヒイラギの深淵を覗いてしまう。だがこの予断を許さない状況で、安易に声はかけられない。かけるとして、何が彼の慰めになる?
 ダイゴは攻撃の手を一切緩めず畳みかける。
「ユレイドル、搾り取れ」
 木の枝のように細々とした頼りない見かけに騙されると、途端に触手の餌食となる。8枚の触手を這わせ、エキスを搾取した。
 
 スコシ ハ チエ ガ ハタラク ヨウ ダナ

 一瞬にして、束縛は解かれる。
「テレパシー……。お褒めにおあずかり、光栄だよミュウツー」
 もしチャレンジャーなら、心躍ったろうに。出会う機会さえ、間違わなければ。


 長は、威厳までも損なってはいけないと錫杖を突く。見下すマルバには既に、ヒイラギの言う「容赦」や師に対する畏敬というものが端から感じられない。老いて死にゆくだけの戦士に、そのような不必要な憐憫を向ける余地は無いと一蹴する。
「そなたの、否、波導一族全体の教えでは、偽りの勇者しか生み出せぬ」
 マルバは、ヒイラギの前でアーロンを「歴史に操られた男」と揶揄した。だが長は対話を不要とする相手に対し、どうしても一言付け加えておきたい反論がある。
「アーロンを模範としてきたからこそ、一族は今日までの繁栄を迎えた。それに、立派な末裔も生まれた……」
 グローブを託され、アーロンの衣装を纏った、ヒイラギという希望の芽が。
「その末裔は我に敗れ、絆のひとつを失った」
「確かに、世界に散った波導一族の中に、彼より強い者たちはもっといる」
「では何故あの者を差し向けた」
「自分にしかない波導を開花させると最も可能性高く感じられたからだ。勇者を継ぐか、魔王と化けるか……諸刃の剣だが」
 マルバは首を横に振る。
「境遇さえ利用しようとは。やはりそなたは波導使いを駒のようにしか扱っておらぬ」
「そうかもしれぬ。だが儂とお主にもそう違いはないのだ」
「断じて違う」
 禁句を踏み抜いた結果、それ以降の論駁は許されなかった。
 神の威を借りた怪光線が閃く。
「トゲキッス、行け。儂は良い」
 遺された使命を背負い、マルバの脅威からエスケープする。長の命をあくまで遵守し、このミッションをクリアに向けて遂行するために、波導一族は今一度飛び立つ。

 テンガン山に不吉な暗雲が漂うのは数年ぶりのことかもしれない。ディアルガとパルキア、神々の顕現によって一時崩壊の危機に陥ったシンオウの頂上で、神の次元に至ろうとする最強のポケモンが巻き起こす嵐は、後々の語り草となるだろう。
 ミュウツーの「サイコウェーブ」がスナッチャーを劣勢に落とし込む中、白い天使が吸い込まれるように竜巻を収束させた。ヒイラギはそれを見てひとりごちる。
「『このゆびとまれ』……」
 ミュウツーの技を単身引き受けたのだ。嵐の回転に逆らい突き進むトゲキッスに対し、ミュウツーは目的の品を奪い取る。念術を用いた「トリック」が、プラチナに匹敵する瞬きを持ち去っていった。Jは任務終了を告げ、ステルス機能で船体をコーティングする準備に入る。
「白金珠、奪取完了。敵のトゲキッスが所持していたようだ。撤退する」
「待て!」
「スナッチャー……次こそは決着をつける」


 ネオロケット団の手が及んだ鑓の柱も、Jとマルバの退却を際に引き揚げていき、土足で踏み荒らされた嫌な後味が訪れた。
 石化した長を前に、道標を失ったかのように立ち尽くす。
「あなたの長は、役目を果たしました」
 冷徹な言葉選びが、既に数多の人員を束ねる社長の風格を備えていた。御曹司は事の真相を伝える。
「長のトゲキッスが所持した白金珠は、科学技術の粋を尽くし、デボン側で複製したレプリカ(贋作)です。真贋の見極めが難しいほど、本物に近付けてあります。弊社の化石復元技術を応用したものです」
 このレプリカをネオロケット団に掴ませることで、白金珠の入手に成功したと思い込ませる。それが、今回のシークレット・ミッションの全容だったという。
 シークレット・ミッションとは、関係者以外にその内実を知られてはならない任務のことを示す。以前にも、ヒイラギとイトハによる内通者捜査、イトハが行ったホオズキの身辺調査など、自らにシークレット・ミッションを課す例もある。通常任務と並行して同時進行するケースが多い。
「あなたがたの強さは、タマムシでの中継からでも痛いほど伝わってきました」
 ダイゴは、スナッチャーのダブルエースを交互に見やる。
「特にヒイラギさん、イトハさん……あなたがたのコンビネーションは完璧です。なぜ、それほどまでに戦えるのですか?」
「……彼といると、ちゃんとしなきゃなって思うんです」
 イトハにとって、ヒイラギは勇気ある誇り高き戦士だ。彼の前では襟を正される。真のプロフェッショナルとは何か、中途半端を撤廃し彼はそれを姿勢だけで教える。
「お互いの呼吸が、なんとなく分かるんだ」
 ヒイラギもそんなイトハを信頼している。
 ともかく、二人のコンビネーションは結成当初とは雲泥の差である。ダイゴはその回答にいたく得心したようだった。
「なるほど。試すような真似をして申し訳ありません。実力を低く見たわけではないのですが、それ相応の覚悟がこちらにも必要になるのです」
「司令官、無論知った上での協力だな」
『ええ。波導一族の長は、この作戦を自ら提案なさいました』
 マルバを出し抜くために、一族代々から伝わる秘宝をデボンに渡し、偽者を大事な相棒に持たせて、未来の戦士を庇ったのだ。
 ヒイラギは石像に触れる。
「あんたは、自分とポケモンを道具にしたのか」
「レンジャーユニオンにも知らないだけで、こういう人がいるのかもしれないね。人の上に立つ資格のある人が」
 ヒイラギは波導という特殊な力を誇る一方で、一族の宿命に縛られ嘆き今日までやっとの思いで生きてきた。戦闘マシーンとして消費される己を、呪いから解放出来たわけではない。しかし、善とも悪とも割り切れない価値観が存在することを彼はこれまでの戦いで知ってきた。
 アーロンも、長までもとうとう消えてしまった。一族を束ね、縁の下で支えてきた人たちがまたひとり、ひとりと、マルバという逆賊の手にかけられていく。
 いずれ、自分の手の届く範囲の人たちだけでも護り切ったと小さな胸を張れるようになりたい。
「超えてやる。マルバを、おれが」
「その言葉を待っていました。改めてお願いしたい」
 跪き、アタッシュケースの錠を解くダイゴ。そこにはメガストーンが収納されていた。彼らのポケモンたちをメガシンカさせるために必要な条件を果たすストーンが一式揃えられている。
「ヒイラギさん、イトハさん。ネオロケット団に立ち向かうための新たな力・メガシンカを習得してください」
 ヒイラギにとって、必ずしも喜ばしい話ではなかった。彼はメガシンカの致命的なリスクを知っている。いつか、この時が来るだろうとは思っていたが。
 ダイゴと向き合う。彼はチーム・スナッチャーの底力を信じていた。

はやめ ( 2020/05/23(土) 21:11 )