はみ出し者は自分だけ(ポケモン不思議のダンジョン空)








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海岸にて
第三話:手助け
 「へぇ?ここまで来たのかよ。びびりのくせに」
ドガースが嫌な笑いを浮かべてそう言った。後ろでズバットも、面白そうにバタバタと羽を動かし浮遊している。行き止まりでどうしようもなかったはずだが、思ったより威勢がいい。海岸でのやり取りからこいつらなら大丈夫とでも思われているのだろうか。

 「私のたからもの…返して!」
イーブイが、小さな声でそう言った。ドガース達はその様子を見て嘲笑う。
「なぁんだ。声はちっせーままじゃねえか」
「そんなに欲しけりゃ、取り返してみろってんだよ」
…もう少しだけ、手助けしてやるか。

 俺はさっき多めに拾っておいた“ばくれつのたね”を手に取り、二匹に思いっきり投げつけた。たねは見事油断していた彼らに直撃し、大爆発が起きる…
「おわっ!あぶね!」
と思っていたが、種に気づいたドガース達は間一髪でそれをかわしてみせた。種は壁にぶち当たり、爆発した。ここは当たるとこだろ。奴らは振り返り、こちらを睨む。
「てめぇ、さっきもいた奴だな。いい度胸じゃねぇか」
「口ばっか達者なやつだな。ごちゃごちゃ言わずにかかってこいよ」
「っ!?こいつ…」
「いいじゃねぇか。やっちまえ!」

 そう言い終わるや否や、ドガースがこちらに“体当たり”を仕掛けてきた。俺は横にステップしてそれを交わし、“電気ショック”を浴びせようと右手をドガースの背中に向けた。が、その不意を突かれて横からズバットに噛みつかれてしまい、体勢を崩した。力が抜ける。“きゅうけつ”か。おかげで“電気ショック”はあらぬ方向へと放たれた。

 ちらりとメアリーの方に目をやると、彼女と目が合ったが、すぐにメアリーは目をそらしてうつむいた。俺もすぐにドガース達の方に視線を戻す。まだダメか…無理は言わないけど。

 二体一…どちらか一匹を攻撃するにも、もう一方に邪魔されて失敗に終わってしまう。ゲームじゃこんなに苦労することもないのにな。とりあえず、ズバットをなんとかしよう。ゲームじゃ電気ショック二発程度で倒せたはずだ。

 再度ドガースがこちらに突進してくる。またかわして振り返り、ドガースの方に右手を向ける…が、今度はすぐに向き直り、横から“きゅうけつ”しに来たズバットの耳をつかんだ。そしてそのまま“電気ショック”。
「ぎゃああああ!」
「ヘッジ!」
 ドガースが叫び、こちらへ向かってくる。また“体当たり”か。俺は素早く身を動かして掴んでいたズバットの後ろに回り、ズバットを盾にする。しかし、待っていったのは紫の霧。ドガースの無数の突起から噴き出された“スモッグ”だった。予想外の攻撃に、掴んでいた手を放し、距離をとろうとするが体が上手く動かない。一方のズバットは少し元気になったのか、俺の手から離れた瞬間に羽を動かし飛び始め、
 「がふっ!?」
俺に“体当たり”を決めた。俺は後ろに吹っ飛ばされ、壁に激突する。
「ぎゃはは!良い気味だぜ!」
ズバットが大声で笑った。しかし、その笑い声は爆風により体もろとも吹き飛んだ。体当たりで吹っ飛ばされる前に、ばくれつのたねをそっと投げておいたのだ。

 俺は岩に手をかけ立ち上がろうとするが、膝に力が入らない。毒ってダメージだけじゃ無かったのかよ。これじゃ、麻痺みたいなもんじゃないか。しかし、そんな弱音を吐いてはいられない。 煙の中から二匹の姿が現れる。ドガースはともかく、ズバットはだいぶダメージを負っているようだ。不規則で、安定感のない羽の動かし方からも、その様子が伺える。

 「やってくれたな…」
「バカな笑い浮かべて、吹っ飛んでしまったもんな」
「てめぇ!」
「まあ待てよ」
怒るズバットを抑えて、その声を上げたのはドガースだった。不適な笑みを浮かべながら、メアリーの方を向いて言った。
「なんでピカチュウの方が戦ってんだろうなぁ。イーブイちゃんよぉ。」
メアリーが、困惑の表情を浮かべた顔をあげる。いや、こっちを見られても。もうやれることは尽くしたつもりだ。あとは彼女次第だと思っていたが…。

 「てめぇのもんならよぉ、てめぇで取り返してみやがれ!」
ドガースがメアリーめがけて突進する。突進の前にこちらを見てニヤリとした分、罠だろう。が、そんなことを考えている暇はなかった。

 俺はドガースの体当たりを、メアリーを庇う形で喰らうことになった。意識は飛びかけ、足は毒で痺れていたが、なんとか踏ん張った。
「シン君…!?」
ドガースが笑いながら、俺から距離をとるのが見えた。俺はそのあと地面に膝を落とし、そのまま倒れてしまった。

 手助けはこれぐらいで十分だろう。
 あとはメアリー、お前次第だ。






■筆者メッセージ
戦闘描写って難しいですね。もともと少ない文字数が、さらに少なくなりました。
感想、ご意見待ってます。

〜分かったこと〜
シン(ピカチュウ)…戦いかたが小賢しい。メアリーの臆病さを気にかけてる。
メアリー(イーブイ)…めちゃくちゃ臆病。
ドガース、ズバット(ヘッジ)…割と強い。
つらつら ( 2017/03/13(月) 22:52 )