vsリザード
「誰だ?」
ユウキは身構え、ジュペッタは少し怯えている。
「君もポケモン持ってるんだぁ…親近感が沸くなぁ。」
少年は不気味な笑顔を浮かべる。
「やっぱりお前もジュペッタを狙ってるのか…?」
少年は首を横に振って答える。
「いや、一つ頼みがあってさ。いきなりだけど僕と一緒に戦ってくれない?」
「えっ!?」
ユウキは驚いた。
「そろそろ来ると思うんだよね…やつが。」
「見つけたぞ!ジャキ!さっさとポケモンをよこせ!」
少年の言った通り、図体のでかい男が少年の名を呼んだ。
「いいよ、勝ったらね。」
どうやらユウキはもう戦うことになっているらしい。
「まあいいや、俺の名前はユウキだ。」
「僕はジャキ。あいつはノーサだ。」
「来いよ!二人まとめてでも!」
「じゃあいかせてもらうよ。いけ!ワシボン!」
ジャキの繰り出したポケモンはワシボンと呼ばれ、小さい鷲のような姿をしていた。
「ジュペッタ!いけ!」
ジュペッタはワシボンの隣に並んだ。
「ゆけ!リザード!」
ノーサの出したポケモンはリザードと呼ばれ、尻尾には火を宿し、鋭い爪を持ち合わせ、トカゲのような姿をしている。
「先手必勝だな!リザード!かえんほうしゃ!」
「ジュペッタ!シャドーボール!」
かえんほうしゃとシャドーボールは相殺したものの、爆風がジュペッタの方へ飛び、ジュペッタは少しダメージを受けた。
「ワシボン!つばめがえし!」
ノーサのリザードはワシボンのつばめがえしを受け止めた。
「そのままかえんほうしゃだ!」
リザードが息を大きく吸い、炎を吐こうとした。そのとき、
「ジュペッタ!シャドーボール!」
次はヒットした。
「助かったぜ…」
「ちっ、使えねえな…!」
「おいおい、自分のポケモンだろ?」
ユウキは怒るようにノーサに言う。
「はっ、知らねえな!さっさとこんな雑魚は捨ててもっと強いやつが欲しいよ!」
「あいつ…ひでえな。」
「まあ、そういうやつだ。」
ジャキは慣れた口調で言った。
「うるせえ!リザード!ほのおのうずだ!」
リザードの炎が輪を作り、二匹を囲むように放たれた。
「ちっ…」
「まあ慌てるなって。ワシボン!」
そう言うと、ワシボンは炎を放つリザードの方へ凄い勢いで飛んだ。
「いけっ!つばめがえし!」
「なっ…」
ノーサは明らかに不意を突かれたようだ。
「今だ!」
ジャキがユウキに言った。
「おう!シャドーボール!」
ジュペッタから放たれたシャドーボールはリザードにヒットした。
「よし!」
「おらぁ!リザード!立てぇ!」
「ひどい…」
「ワシボン今だ!」
ワシボンはノーサの持つモンスターボールを奪い、ジャキに渡した。
「じゃあな、ノーサ♪」
ジャキがセリフを吐きながらスイッチを押した。たちまちリザードは半透明になってゆく。
そのとき、
「こいつ…消えちまうんだよな…?」
ユウキがジャキに聞く。
「ああ、まあ仕方ないだろ。」
ユウキはノーサに雑に扱われ、そのまま消えていくリザードが可哀想に思えてしようがなかった。
ユウキが一瞬の判断でクルスのモンスターボールを手に取る。
「お前…何すんだ…?」
ジャキが不思議そうにそれを見る。
「頼む!」
ユウキはモンスターボールをすでに消えかかっているジュペッタに投げた。
すると、モンスターボールがパカッと開き、リザードが吸い込まれていった。
その様子をジャキもただ黙って見ている。
コロコロ…コロコロ…
ユウキの顔には汗がしたっている。
コロコロ…コロン♪
心地の良い音がモンスターボールから鳴った。まだどうなったのか、ユウキもジャキすら分かっていない。
ユウキはおそるおそるモンスターボールを手に取り、真ん中のスイッチを押した。モンスターボールは中から光を放った。
「ガーウ?」
リザードが鳴きながら出てきた。
「お前、大丈夫か?」
と、ユウキが言った瞬間、リザードが飛びついてきた。最初は攻撃かと思い、2人とも構えたが、リザードはユウキの顔を舐めてきた。
「ひゃっ、くすぐったいなぁ。」
「なんだよひゃっ、って」
ジャキは大笑いした。
ジャキには話を聞きたかったので、公園に残ってもらい、互いにベンチに座った。ジュペッタはユウキの膝の上に。ワシボンとジュペッタは仲良く遊んでいた。
「なあ、このポケモンって何なんだ?」
ユウキが一番知りたかった質問をジャキに投げつける。
「俺の調べた結果からすると…」
ユウキはじっと答えを待つ。
「地球から見たら侵略者ってところだな。」
「えっ?」
ユウキはジュペッタの頭を撫でていた自分の手を止めた。