その見知らぬ男は年齢はおそらく30ぐらいで、金髪の外人らしい人だった。
「えっ!?ジュペッタってお化けなの？」
「いや…あくまでゴーストタイプのポケモンということで…」
「ていうか、ポケモンってなんですか？」
「そういうことも含めて君と話がしたいんだ。」
見知らぬ男は手招きをした。ジュペッタはまだ怯えている。
「…分かりました。行こう、ジュペッタ。」
ユウキは一瞬迷ったが、ジュペッタのことを知れるかと思い、行くことにした。
「ケラケラ…」


少し歩き、小さなベンチのある広場に着いた。見知らぬ男はベンチに腰をかけたため、ユウキも隣に座った。ジュペッタはユウキの膝の上に座った。
「君は昨日のトクサネで暴れていたポケモンを見たかい？」
「はい、一応見ましたけど…」
「あれもポケモンだ。名前は分からないが。」
「あの…なんであなたはそんなに詳しいんですか？」
男はポケットからユウキの持つものと同じモンスターボールを取り出した。
「自分もポケモンを持っているからね。遅くなったけど、僕の名前はクルス。そしてこいつの名前はプルリル。」
「プルル〜」
クルスのモンスターボールの中からは水色のふわふわと浮いたポケモンが出てきた。名前はプルリルというらしい。
「そして僕はあのポケモンの起こした津波をあっさりと止めたそのジュペッタが欲しいんだ。」
「えっ？」
「さあ、モンスターボールをよこせ！」


クルスは人が変わったようにユウキにモンスターボールを求めた。
「でも、そしたらジュペッタが休めなくなっちゃうじゃないですか？」
「だから、ジュペッタは俺が貰うと言っているだろ！プルリル！シャドーボール！」
プルリルはジュペッタが津波を吹き飛ばしたあの技と同じ技を使った。
「うわっ！」
ユウキは間一髪避けたものの地面が軽くえぐれている。
「そっか、だからジュペッタは怯えていたのか…」
「ケラケラ…」
「ずいぶんと弱気だな！もう一回！」
プルリルは再びシャドーボールと呼ばれる技を放った。
「なるほど…シャドーボールっていうんだな。ジュペッタ！シャドーボール！」
「ケラ！」
ジュペッタも同じくユウキに指示され、シャドーボールをプルリルの放ったシャドーボールに向けて放った。相殺したが、爆風はプルリルの方へと飛ぶ。
「ジュペッタは渡さない！そっちこそモンスターボールをよこせ！」
クルスはユウキに対して一歩後退りしてしまった。
「プルリル！みずでっぽう！」
「ジュペッタもみずでっぽう！」
「ケラ？」
プルリルの放ったみずでっぽうはジュペッタに直撃する。
「お前、みずでっぽうは使えないのか？」
「ケラ…」
「ハハハッ！やっぱり初心者だったか！プルリル！みずでっぽう！」
「ジュペッタ！シャドーボール！」
次は相殺する。
「ダメだ…一回隠れよう。きりがない。」
「ケラケラ…」
シャドーボールとみずでっぽうによって起きた爆風に身を隠し、近くの木の陰に隠れる。
「ハアハア…どうしたら…」
「ケラケラ。」
ジュペッタはユウキの持つモンスターボールを指差した。
「そうか、あくまで俺らの狙いはモンスターボールを奪うこと…プルリルを倒すことじゃなく…」
「隠れても無駄だぞ！プルリル！みずでっぽうを撒き散らせ！」
「プールー！」
プルリルは回転しながらみずでっぽうを連続で放った。ユウキとジュペッタの隠れる木をかすりながらユウキの近くへと放たれる。
「うわっ！」
ユウキの腕をみずでっぽうがかすった。水圧で腕をケガしてしまった。
「ダメだ、早めにケリをつけよう。ジュペッタ、俺の合図で走るぞ。」
「ケラケラ。」
ジュペッタはうなずいた。
ユウキは小石を拾い、違う木にぶつけた。
「プルリル！あそこだ！」
クルスはプルリルに指示した。
「今だ！」
ユウキは小石を投げた方とは逆の方へと走り、プルリルの背後へ回った。
「ジュペッタ！シャドーボール！」
「ケラケラ！」
黒い球が再びプルリルを襲う。
「避けろ！」
プルリルはシャドーボールをひょいと避けた。
「残念だったな、何か作戦があったみたいだが…」
そのときだった、ジュペッタの放ったシャドーボールが木にヒットし、木が倒れてきた。
「プ、プルッ!?」
プルリルは避けきれず、倒れてきた木に当たってしまった。
「今だ！ジュペッタ！」
「ケラケラ！」
ジュペッタは油断したクルスの持っていたモンスターボールを奪い取り、ユウキに渡した。
「えーっと…このスイッチだな。」
ユウキはこのモンスターボールの真ん中のスイッチを押した。
「やめろ！」
クルスが怒鳴ったときにはもう遅かった。プルリルの姿がどんどん半透明になっていった。
「プルーーーー！！」
時間も経たずして、プルリルは消滅してしまった。クルスは気絶していた。
「嘘だろ…!?」


ユウキはそれ以上言葉を出せずに、ジュペッタをモンスターボールに戻して走り去っていった。