尻尾への執着ーロコンの独り言
私のトレーナーは私の尻尾に異常なまでの愛情を注いでる。
毎日のブラッシングをとても丁寧にしてくれるのは嬉しい。
けど、他のポケモンより倍以上も時間かけるのはどうにかして。
あと、ブラッシング中の気持ち悪い独り言も止めてほしいわね。
一度気になって振り向いたら、恍惚の表情で「いいよ……今日もふわもこだね。ふふふふ」なんて呟いてたのよ。
ほんと、トラウマものだわ。
キュウコンに進化したくて直談判したときも、
「確かにキュウコンは美しい。涼やかな眼差しにしなやかな体躯と毛並み。九本尻尾の素晴らしさは筆舌につくしがたい。しかしロコン! お前の柔らかい毛並みとふわもこ巻き尻尾はそれすらも越える癒しを与える! それを……それを捨てるというのか!」
なーんて、泣きながら言われたし。
これじゃあ私が悪者みたいじゃない。
仕方ないから進化は諦めたわ。
でもいい加減どうにかしたくて他のメンバーに相談してみたけど、みんなアイツの味方。
他ポケ事だと思って……っ!
はあ……。
まあこんなことグチグチ言ってるけど、アイツを捨てるなんて考えにはならないのよね。
大切にしてもらってるし、何より……。
「おーい、ローコーンー」
ああもう、せっかくひなたぼっこでまったりしてたのに!
「何してるんだよー。俺のそばからいなくなるなよー」
こら! 尻尾をもふもふするのはブラッシングの時だけって約束でしょ!
「怒るなよー。寂しかったんだよー」
なーくーなー! 男なのに情けない!
「ロコンー、大好きだぞー」
大声でそんなこと言うな! 恥ずかしいじゃない!
…………私も、大好きだけどさ。
ぜっっっったいに教えてやらないんだから!