第五十二話 強く、賢く、美しく!
フルドを倒し、元の日常へと戻ってきたラルド。色々な謎が増える中、有名な探検隊チャームズがこの町にくるという噂が――?
〜☆〜
朝。照りつける朝日が、丁度いいから180度な状態で起こしてくれる、そんな夏も八月へ入り、中盤になった朝。
エンジェルは今日も今日とて、賑やかな朝食を送っていた。
「あーっ! ラルド、私のおかずとらないでよ!」
「盗られたものは盗られた奴が悪いんだよ!」
「あら、じゃあ私が今盗んだのもあんたが悪いってことね?」
「あ! レイン!」
平等に、いっしょの数だけあるおかずをめぐり合い喧嘩するラルドとミル。こんな風景を見ると、やはり二人もまだまだ子供なのだろう。
普通は14歳の男女が朝食のおかずを取り合う事などほぼないのだが。
「五月蝿いぞ。話すのはいいが、騒ぐのはやめろ」
「そうだよ。最低限のマナーは守らなくちゃ」
「でもお前ニートだったじゃん?」
「……っ!」
「す、睡眠の種は止めてください!」
反論できないからと、実力行使で黙らせるのは最低だ、とかなんとか言って抗議するラルドは放っておいて、みんなは朝食を食べ終える。
勿論ラルドも愚痴を言いつつ食べ終える。その後、ラルドがどうなったのかは不明だ。
「……ねぇねぇ、私、ギルド行ってこようかなー?」
「行ってらっしゃい」
「行ってら」
「さっさと行け、視力だけしか取り柄がない耳長兎」
「し、シルガ酷い! ……って、誰か一緒に行こうよー! つまんないよー!」
「そうは言ってもねぇ……」
フルドとの戦いから、既に三日が経過している。
昨日、全員体調を取り戻してから張り切って探検に行き過ぎて、今は全員動きたくないのだ。こんな所でエンジェル総ニート化計画が始まっているが、誰も計画していない。
「なら、僕が行ってあげるよ。丁度今、用も終わった事だし」
「ニートバンザーイ!」
「ど、どんなことをしたの、ラルドに」
「ちょっとニートの素晴らしさを説いてあげただけだよ……ふふっ」
「こ、怖いよ! その笑顔が怖いよ、フィリア!」
壊れたラルドの首を掴んで引きずるフィリア。若干扱いが酷い気がしないでもないが、まぁそれは放っておこう。
「で、ミル。どこへ行くんだい?」
「えっと、つまんないからギルド行く!」
「お前の詰まんないの判定が俺にはよくわからないな……別にいいだろ、こんな日差しの中、藁の上で寝るのも」
「ラルドラルド、それ、ニートになる前兆だよ」
「まっさか、俺はちゃんと働いてるぞ」
探検隊も、一応は職業だ。実力さえあれば年齢なんて関係ない。事実、こんな子供でも英雄と呼ばれるのだ。
勿論、ラルドの年齢でここまで有名な探検隊となるのは、かなりの苦労や努力が必要なのだが。
「じゃ、レッツゴー!」
〜☆〜
「しかし……このトレジャータウンって、大きいのか小さいのか、よく分からんな」
確かにここは辺境の地だが、だからといってトレジャータウンがほかより小さい理由にはならない。
それに辺境の地とはいえ、初心者向けのダンジョンがここら一帯にあるのだ。初心者向けと考えれば、かなり最適な町だろう。
「僕が住んでいたところから、そう離れていないトレジャータウンは……まぁここよりはかなり発達していたね」
「私も、親や兄弟が探検隊だから、色々調べてたけど……ここは小さい方だと思うよ?」
「え、お前、探検隊一家の生まれだったの?」
「う、うん……」
その割には随分と臆病な性格だなぁ、とラルドは思う。
もしかしたら小さい頃からスパルタ教育を受けたせいで、こんな臆病になったのかもしれないが、ミルの性格を考える限りそれはないだろう。
「そういやお前、昔なんかの紙落としてたよな? それを俺が見つけてやった記憶が……」
「あ! ラルド、階段に着いたよ! ほら走って! 一等賞には私から爆裂の種一年分を贈呈するよ!」
「“電気活性《アクティベーション》”!」
「あっ、ずるい!」
「君たちは子供……だね」
ちなみに爆裂の種を一年分となると、ラルドは一回の探検で十個は持っていく。
そこから計算すると、一日一探検として10×365、つまり3650個となる。さらに30Pするので、30×3650Pだ。
当然ミルが支払いきれる額でもなく、というかエンジェル全体の資金を使ってようやく、レベルだ。さらにミルは夜な夜な食料をあさっているので、小遣いも少ない。
「うおおおおおぉぉぉぉ!!」
「ラルドがなんか本気出してる! 追いつけないよー!」
「晴天だから僕にも補正かかって、一応かなり早い状態なんだけど……僕でも追いつけないとは」
そんなことにも気付かず、ラルドはただ爆裂の種だけを目指して走るのであった。
ここはギルド、B1Fだ。
依頼やお尋ねものポスターが張り出されていて、探検隊の集まり場となっている。最近では、パッチールのカフェにその役目を奪われつつあるが。
そして、ラルドとミル、フィリアが降りてくる。
「ミル、俺、一等賞とったぞ。ほら早く爆裂の種をくれよ」
「そんなにお金持ってないよ?」
「! うそつきじゃねーか! うそつきは泥棒の始まりだぞ! ほらこっち来い、犯罪者予備軍は警察に突き出してやる!」
「そ、そんな理不尽は許されないよ! 裁判長ー!」
「ほらほら、さっさと降りた降りた」
「「わっ!?」」
梯子で喧嘩する二人を、フィリアは上から乗りかかって落とす。
「ぐふっ……痛いな! なにするんだよ!」
「君たちが下でぎゃーぎゃー五月蝿いからだよ。全く、少しはリーダーと副リーダーの自覚を持ってもらいたいね」
「しょうがないだろ! お前、こいつに、こんな視力だけしか自慢できない臆病兎にリーダー任せられるのか!?」
「ら、ラルド! なんかシルガと似たような罵倒されたんだけど!」
「確かにミルは臆病で視力だけしか取り柄が無くてとりたて才能が有るわけでもなく夜中に食料盗んだりするような人だけど、それでも任せられると僕は思うよ?」
「フィリア、そこまで悪口言ってるのに任せられはしないよ……」
といっているが、勿論ミルにだって視力以外の取り柄はある。
例えば、優しい所や、他には……、
「……あ、うん。まぁがんばれよ」
「二人とも私を馬鹿にしてる!」
とはいっても、ミルに初見で言えるような大きな取り柄が無い事もまた事実だ。長年付き合えば、長所にも自然と気がついていくが、傍から見ればやるときはやるが、それ以外はダメなイーブイだ。
「……ん? なんか聞こえないか?」
「え? ……あ、本当だ。下から何か聞こえるよ」
「本当だね。なんだろうか……見てみようか」
「賛成」
普通の探検隊は三階には下りてはいけないが、ラルド達は例外だ。何せ元弟子なのだから。
三人はそーっと梯子を降りると、その瞬間聞こえてきた周りの声に思わず耳を塞いでしまう。
なんだなんだと、その音の原因である弟子たちを見てみると――なにかを取り囲むようにして、叫んでいた。
「な、なにしてんだ……?」
「さぁ、なにか珍しいものでもとれたのかな」
「ねぇ、もっと近づいてみようよ」
その騒ぎように、三人はなにがあるのかと近づいてみる。
すると……。
「きゃー!! 信じられませんわー!!!」
「本物でゲス!!」
「うおーーー!!! サインくださいー!!!」
……なんだこれ、と三人は弟子達のハイテンションぶりを見て、思わす引いた。なにが本物なのかは知らないが、このはしゃぎようは、まるで憧れのヒーローに出会った子供のようだ。
何が彼らを、彼女らをここまで騒ぎ立てるのかと、三人は隙間から真ん中を見る。すると、そこにいたのは……。
「ミミロップに、サーナイトに、チャーレム?」
「なんだあの構成……あ、おいペルー。あいつらなんだ?」
「あ、あんたたちいつの間に……って、えぇ!? あの方達をご存知ないというのかアンタたちは!?」
「まぁ」
「うん」
「どこかで見たような……覚えてないね」
その三人の反応を見ると、ペルーは信じられないといった表情で三人を見る。そして驚きの声で三人に説明する。
「あの方々は超有名な探検隊、チャームズだよ!? 数々の依頼をこなした特別な探検隊にしか与えられないといわれているマスターランクのトレジャーハンターで……しかもただ宝をゲットするだけではない! 強く、賢く、美しく! 華麗にお宝をゲットするその姿は、正に憧れの的なんだ!」
そんなペルーこと、あのチームのファンからの説明を受け、ようやくフィリアも思い出す。
「思い出した……確か彼女たちは、有名な探検隊だよ。数々の難関ダンジョンをクリアし、狙った宝は逃さないとまで言われてる。ファンの数だけなら圧倒的にあのレイダースを上回っているで話だよ」
「……って、あ! 思い出した!」
その説明を聞き、レイダースという単語が出た瞬間ラルドは思い出す。
確か三日前、フルド戦から翌日のことだ。カフェでカマイタチの面々がチャームズがなんたらかんたらと言っていたのを、ラルドはやっと思い出した。
「そんなに有名なのか……」
「有名も何も、世界中の探検隊の憧れの的だよ!? ほら、あの真ん中にいる耳の長いゴージャスなお方がミミロップの“カロス・テーション”様で……その隣にいるおしとやかなサーナイトの“メイリー・ホーン”様。ああ、美しい……そして最後にチャーレムの“ニンファ・アーダス”様。踊るような身のこなしがちょーかっこいいのだ!」
「せ、説明ありがと」
と、若干引くくらいの勢いのペルーの説明を聞き終えると、三人はその真ん中の三人を見る。
あまり強そうには見えないが、有名な探検隊だ。かなり強いのだろう――そう考えると、ラルドの闘争心が燃え滾ってくる。
「しかし、あの有名なチャームズが何故こんな辺境の町に……」
「お前まで辺境って言うのかよ」
一応『俺』の故郷みたいなものなのに、そういわれるとなんだか思う所がある。だが真実だ。仕方がない。
と、ペルーが悩んでいると、親方の部屋のドアが開く。
「――やぁっ♪」
「あら、プリル久しぶり〜! やだ、あなた全然変わってないわね! 元気だった?」
「ギルドの親方になるなんて凄いじゃん!」
「お久しぶりね、プリル」
「うん、久しぶり♪ みんな、元気だった?」
そういって談笑する様子は、まるで昔の友達が久しぶりに会って、思い話に花を咲かせているようで……というか実際、咲かせていた。
その様子に、どうやらギルドの弟子達は何も知らないのか困惑する。あのペルーもだ。
「え、え……親方様。チャームズの皆さんとお知り合い……?」
「いやぁ、プリルってさぁ、昔は随分ブイブイと言わせてたよー。今はどうなのさ?」
「ホント! あの頃のプリルは、正に向かうところ敵無し! って感じで格好良かった〜」
「ハハハハッ♪」
あの超有名探検隊と知り合いどころか、なにやらかなり仲がいいようで。
そんなプリルに、ペルーは質問する。
「あの、親方様? チャームズの皆さんとは、どういったご関係で?」
「えーっとね、昔のトモダチだよ♪」
「そ。私たちとプリルは、昔いっしょに冒険してた仲なのよ」
『え……えええぇぇぇえええッ!!?』
「お、親方様とチャームズが……!?」
その衝撃の告白に、どうやら弟子たちは知らなかったのか驚愕の表情で何度もプリルとチャームズを見比べる。
ギルド開始当時からプリルと知り合いだったペルーも、これは初耳だったのか、かなり驚いている。
「で、今日は何しに来たの?」
「そうでした。今日は大事な用があって来たのです……プリル、昔一緒に探検したときに見つけた、使い道の分からない鍵を覚えていませんか? その鍵の使い道が、ようやく分かったのです」
「この前あたいたちが発見した、『番人の洞窟』って所の鍵とぴったり一致するんだよ!」
「しかも、その洞窟には莫大な財宝が眠っているって噂でね」
「ば、莫大な……」
「財宝ですって!?」
その一言に、弟子たちは飛び上がる
――莫大な財宝、それを聞いて、ふーんと答える探検隊は少ないだろう。それほど、探検隊にとって財宝とはロマン溢れる物だ。
「あの時見つけた鍵、あなたに預けたわよね?」
「うーん……えっと、ごめん、どんな鍵だったっけ?」
と、ここにふーんと答える探検家が一名。
それもしょうがない。プリルの優先順位は、三度の飯よりセカイイチ。三度の飯がセカイイチ。なにがなんでもセカイイチだ。
「ちょっと! みんなであんなに苦労してやっとゲットした鍵だって言うのに、忘れたのかい!?」
「……流石はプリル。昔と変わってないようですね。仕方ありません、カロス」
「分かってるわ。はいプリル、あなたの大好物のセカイイチよ」
「わー♪ セカイイチだー……僕にくれるの?」
「ええ」
「わーい、ありがとー!!」
セカイイチを貰うと、それこそ子供のようにはしゃぐプリル。その姿は、そこらの子供より子供っぽいのではないかと思うほどだ。
但し忘れていけない、プリルは大人だ。
「それでプリル、例の鍵なんだけど……」
「あ! 思い出したよ、あのアンノーンの形をした鍵だよね?」
セカイイチを貰った途端に、プリルはその鍵のことを思い出したのか、ちょっと待ってね、と言って親方の部屋へ戻る。
そして、たぁーという掛け声とともに大量の何かが落ちた音がすると、プリルは部屋から出てくる。その時ちらっと見えた部屋の惨状には触れないで置こう。
「はい、これっ」
「そう、正にこれよ! ありがとプリル。……そうだわ、久しぶりにあなたも来る?」
「セカイイチーセカイイチー♪」
「……相変わらずのようですね」
「そう、それじゃ私達もう行くわね。じゃあねっ、プリル!」
チャームズは目当ての鍵を貰い、早速その番人の洞窟とやらへ向かおうと梯子へ向かうと……なにかに気付いたのか、ふと立ち止まる。
そしてチャームズのリーダー、カロスはそのまま梯子へとは向かわず、ラルドの所へ来る。
「……あなた、もしかしてあの“英雄”?」
「? そうだけど、なんだ?」
「……えぇ!? こんなちっこいのが、あの有名な英雄だって言うのかい!?」
「お、おい。ピカチュウの中ではかなり大きいほうだぞ……一応」
種族間での大きさの差を一々気にしていたら霧がない。それこそ14mの化け物レベルのポケモンだっているのだ、一々気にするだけ無駄だ。
「有名って言うけど、どれくらい有名なんだよ。お前ら、聞いたところじゃかなり強いんだろ? 別に俺を気に留める必要ないだろ」
「あら、そんなわけにはいかないわ。世界を救った英雄よ? あなたに憧れて探検隊になった人もたくさんいるって話よ」
「……お、おぉ」
それを聞いて、少し照れくさくなったのかラルドは俯く。その反応にカロスも、他の二人も、そしてミルとフィリアまでもが思わず笑ってしまう。
そして――カロスは言った。
「そうね、英雄と呼ばれるくらいなんだし、さぞかし強いんでしょうね。ねぇあなた、私たちといっしょに番人の洞窟に行かない?」
「……なに?」
「へぇ、面白そうじゃないか」
「私は賛成です。学ぶ事もありそうですし」
「で、返事は?」
突然の、探検の誘い。勿論一緒に探検ではなく、競争という意味だろう……つまりは対決だ。マスターランクチームと、英雄のチームとの
そして、そんな解かり易い挑発を、ラルドが受け付けないわけもなく。
「いいぜ。俺も、その洞窟とやらに行ってみたかったからな」
若干の笑みを零しながら、そう答えた。
そしてそれを皮切りに、ギルドの面々もそれぞれの言葉を口にする。
「あ、あっしも行きたいでゲス!」
「私も行きたいですわ!」
「お、俺も!」
「わ、ワタシも!」
「ペルーは副ギルドマスターだろ」
という風に、皆もチャームズと探検がしたかったのだろう。言葉は違えど皆が皆、そう思っているらしい。
それを聞いて、カロスは笑みを零すと、
「勿論よろしくてよ!」
「や、やったでゲスー!!」
「きゃー! 楽しみですわー!」
「ふふっ……じゃあ私達は先に行って鍵をあけておくわ。場所は……ここから南東に行った所にあるわ。……ここよ」
カロスは地図を取り出すと、番人の洞窟の位置を指し示す。そして皆が見たと見ると、それじゃまた、と番人の洞窟へと向かう。
そしてラルドも、
「……マスターランクチームがどれだけのものなのか、見せてもらうぞ」
笑みを浮かべながら、急いで家へと戻るのであった。
〜☆〜
「番人の洞窟〜?」
「それにチャームズ……? 聞いたことが無いな」
「お前らも俺も、世間知らずだったってことだろ。それよりもほら、準備しろよ。俺が一番に攻略するんだ!」
そういいつつ、手は動かしているラルド。早く探検したくて仕方がないのか、体がうずうずしている。
そして、バッグに一通りの道具を入れ終え、バッジを手に持った瞬間――
「そういや、探検って四人までだろ? んじゃあ誰を連れて行くんだよ」
ヒイロの言葉に、ラルドは固まった。
「……か、考えてませんでした」
「三人三人に分ければいいんじゃないかな?」
「それだとリーダーバッジはどうすんだよ」
「別にいいんじゃないかな? 今までの探検で、そのバッジの強制送還が役に立った事はないだろう?」
……そう考えてみると、確かにラルドの記憶には強制送還が命を助けてくれた! までもはいかなくても、危機を救ったなどということはない。
それにまず、ほぼ同じ穴抜けの玉がある。
「それに、番人の洞窟は今まで鍵も開かなかった、って話だからね。連盟にばれる恐れはないよ」
「そうか……なら、くじ引きで分かれるか」
「くじ引きならあるよ! ほら!」
「……なんであるんだよ」
「みんなで王様ゲームやろうと思ってたんだ。えへへ、どう、タイミングいいでしょ」
「まぁ助かったのは確かだな。んじゃ、引くぞ」
木の入れ物に入った箸のようなものを、皆それぞれ引く。
そしていっせいに、自分の番号を言った。
「俺は……3だ」
「私は5だよ!」
「僕は6だね」
「俺は1だ」
「俺は4」
「私、2ね。……あら、未来組と現代組で綺麗に分かれたわね」
1はシルガ、2はレイン、3はラルド。4はヒイロ、5はミル、6はフィリアと綺麗に未来組、現代組と分かれている。不正などしていない、偶然だ。
とりあえずラルド率いるチームと、フィリア率いるチームと分かれる事ができた。本当は副リーダーであるミルは率いらなければならないのだろうが、それがミルにできるわけがない。
「んじゃ、行くか。目指すは南東、『番人の洞窟』……さぁ、未知のダンジョンへ出発だぁ!!」
「おー!」
「おー」
「……」
「オー!!」
「はいはい」
ラルドチームとフィリアチームに分かれての探検。
それがどうでるかは、誰にも予測はできない。吉と出るか凶とでるか、それは神のみぞ知ることだ。
――目指すは番人の洞窟、いざ、出発だ。
次回「謎解きは戦闘の前に」