第七話 山での出会い、シーア登場!
パッチールのカフェにて、シェイミの里の話を聞いた俺達。当たり前だが直に準備をして――?
〜☆〜
……どうも、俺の名はラルド。ってもう知ってるか。
正直、今はかなりテンションが低い。何故って? 空の頂へ通ずる道までに、一つの山脈を通らなければならないのだ。プロジェクトPの探検隊が通ったときは運がいいことに殆どの敵がいなかったらしいが……俺達が行った時間帯、それはもう過酷だった。
「いやぁ!! こっち来ないでぇ!!」
「このッ……“ディスチャージ”!!」
「“波動掌――二連”」
「ミル、落ち着いて! 化け物組みがいるから大丈夫だよ!」
おい……化け物はないだろ、化け物は。
それはそうと、昼ごろ、ダンジョンのポケモンが食料を求めて動き出す頃……そんな時に、知らず知らずに俺達は来てしまった。
理由? まずはミルの準備の遅さ、十分も費やした。
更に交差点でソーワと遭遇、ミルが世間話に時間を又も費やした。
つまり、こいつがこの状況の全ての元凶と言う事ッ!!
「いきなりこんな状況とか、ついていけないぞ!!」
「知るか、黙って働け……“ブレイズキック”」
しかもこの山脈、霧がかかっており俺の電気技が半減される。
霧というのは細かい水の粒なのだが、濃霧の森ほど濃く霧がかっていては水といえども威力が殺される。
エンジェルでは雑魚処理、モンスターハウス処理な俺だったが、この状況では役に立たない。
「いきなり思考が回りすぎる……っと、これで終わり!」
最後の一匹を倒すと、どっと疲れが押し寄せてくる。
ミル……働けよ……。
「――で、元凶。大丈夫だったのか? 俺としては隙を作るために喰われて欲しかったんだが」
「酷いよ! 私だって、私なりに急いで準備を……」
「急いでたのにソーワと話し込んだと。へぇ、良い根性してるじゃねぇか」
「ひっ!!」
今の俺は、恐ろしい顔をしているだろう……だが関係ない、こいつを粛清する!
って、今日はやけに頭の中での独り言が多いな、どうしてだ?
「ららら、ラルド、落ち着いて! 私はソーワからこのダンジョンの情報を……」
「分かった事はダンジョンの名前の“霧包山”と霧がかかってるってことだけだろ? そんなのフィリアの情報で知ってたんだよ!」
「そ、そうなの? あ、で、でも」
「ミル、君こそ落ち着きなよ。呂律が回ってないから」
「う、うん……」
はぁ、疲れた……最近は卒業試験以外に激しい戦闘は無かったし、体が鈍ってきたな。
俺よりももっともっと強い探検隊もそこら中にいるんだろうけど、戦う機会なんてないしな。
「……行くぞ」
「あ、分かった」
ま、こいつとの戦闘がまだ残ってるんだけどな。
――霧包山15F――
「……後、何階だ?」
「この階で終わりだよ。……ここまで来るのに、相当苦労したよ」
「相当ってレベルじゃないぞ……キザキの森は相当だったが、ここはもう難しすぎる(但し電気タイプに限る)」
「そうだろうね、ミルもバテているし、休憩でもしたい所だけど……ダンジョン内だから」
「もう無理ぃ……」
一晩で二つの山を越えれるというリオルという種族のシルガはともかく、俺たち三匹にとってはかなり厳しい。
凹凸な足場、鋭い崖、急斜面の上り坂。
ダンジョンの癖に本物の山とほとんど同じなので、体力も早く消耗される。
「空を飛べたらな……」
「無理無理、そんな事、出来る訳ないだろ」
「そうだよ、飛行ポケモンが仲間にいないのに、どうやって空を飛べるっていうんだい?」
「戯言を吐いていないで、さっさと歩け。遅すぎるぞ貴様ら」
貴様、シルガの怒りが有頂天に達した時に出る言葉だ。
但し、今はまだ有頂天じゃないみたいなんだが……それに近いのは見て分かる。なんでって? そりゃあ伊達にリーダーやってない、あいつの眼を見れば分かる……普段より赤くなるから。
「分かったから、そう急かすな――」
そういって、前へ歩み出た瞬間。
――ふと、体が浮いた感覚がした。
「大体、僕らと君とじゃ体力の差がありすぎるからね」
「どーでもいいから早くついて……あれ、ラルドが居ないよ?」
「え?」
……フィリアが横を見ると、そこにはただ先程から流れ出る霧しか無く、他にあるとすれば、一歩先にワープスイッチがあるくらいで――
「え……ええぇぇぇ!?」
「ワープスイッチだって!? こんな時に!?」
「運に見放されたか」
かくして、エンジェル御一行は罠により離れ離れになってしまったドジなリーダー捜索の為、エリア中を探すのであった――。
〜☆〜
……痛っ、なんだ、何が起こったんだ?
俺は一瞬の浮遊感の後、こうしてここに寝転んでいる。しかも体中が痛い。
なにが……起こったんだ……?
「とりあえず、起きるか」
多分、あの浮遊感の正体は"ワープスイッチ”だろう。ダンジョンによくある罠の一つで、踏むと一瞬の浮遊感の後、同じ階のどこかのエリアにワープしてしまう。
これは集まれ玉があれば直に合えるが、生憎これまでも遭遇しており全て使ってしまっていた。
「――ん? 今何か物音が……気のせいか」
何か無いかと、周りをよく見てみると、そこには花が咲いてあった。端の方に一つ、黄緑色の草に桃色の花がある。
近づいてみてみると少し汚れている、ダンジョンのポケモンが踏みつけたりしたのだろうか?
「へぇ、花か。でも水が無いしな……待てよ?」
水はないけど、水の代理品ならある。
俺はバッグからオレンの実を取り出すと、勢いよく絞った。
「オレンの実はほとんどの物に対して害が無いからな、花にも効くらしいし、オレンの実様々だな」
オレン果汁が花にポタポタ、と落ちる。
すると花は元気がよさそうに揺れる。汚れも落ちたし、非常にいい気持ち――。
「うぅ……ここは、どこでしゅ……?」
「!?」
と、思いきや……花が、花が喋っただと!? いやいや、ポケモン世界ならあるあるってそんな事、どの世界にもあるか!!
じゃあ一体どういう、そもそもこれは花なのか? 花に擬態したポケモンを食べる植物ならお断りだぞ。食った瞬間、解放してやるからな、解放時のエネルギーは一瞬だけ強くなるから……!!
「確か、冒険の途中にワープスイッチを踏んで……それからどうなったんでしゅ……じゃなくて、です……」
「……白い体に、上には先程の花や草らしき物が乗っているポケモン。そんなのいたっけか? いやいないよな? じゃあ誰だ……?」
「ひ、人の声でしゅ……誰でもいいから、助けてくれでしゅ……です!!」
このポケモンが復活した原因、それは俺の絞ったオレン果汁だろう。あんな事でこんな事が起きるとは……人生捨てた物じゃないな。
「あ、あのー、あんた誰?」
「み、みーはシェイミっていう種族で……す。だから、助けてくださいでしゅ……す」
「分かった、分かったから喋るなって。ほらオレンの実、大きな林檎もあるぞ」
「ありがとうございますでしゅ……ぱくっ」
俺の約三分の一の高さのポケモン、種族は“シェイミ”――って、え!? シェイミって、今から行く隠れ里に居るといわれてる、シェイミ!?
「がつがつむしゃむしゃ……ふぅ、体力全回復でしゅ、あ……です」
「なにがなんなのか知らないが、一々でしゅをですに直さなくてもいいんだぞ。面倒くさいだろ」
「で、でも恩人に対して、しかも初対面でしゅし……」
「初対面には確かに敬語が喜ばしいが、俺は心が寛大だから。その心意気ならタメでもいいぞ」
幾ら隠れ里って言っても、やっぱり常識って言うのはどこにでも根付いているんだよな。違う常識もあるんだろうけど。
「は、はいでしゅ」
「で、俺は探検隊なんだけど。なんでこんな所に?」
「じ、実は、冒険ごっこで、その……逸れちゃって」
「確かに里から来るんだったら最上階が最初だな、で、ワープスイッチで誰かといたがはぐれ、敵ぽけもんから攻撃され弱っていた所に俺が来たと?」
「そういうことでしゅ! ……って、何で分かったんでしゅか!? まさか、エスパー……?」
「違う違う、俺は極普通のピカチュウ。十四歳さ」
このシェイミも、すをしゅと言うあたり。七歳くらいだろうか――
「そうでしゅか、みーは十一歳でしゅ! もう直十二歳になるんでしゅよ!」
――前言撤回、四歳も上じゃないか。
「で、十一歳のシェイミが何で冒険ごっこなんてした? お前の里には山があるんだろ?」
「え、あ……みー達子供が入ろうとしたら、敵がいない安全な場所でも入れてくれないんでしゅ。だから」
「成る程だから霧包山に来たのか。ダンジョンの知識が無い子供からしたら、入った所が入り口だからな」
はぁ、里のシェイミも好奇心旺盛な時期の子供達なんだから、遊び場ぐらい作ってやれよ。空の頂も危険な所じゃないんだったらいいだろうに。
「だから、みーはここで待つでしゅ。里の皆が心配して探しに来るまで、ここで。だからぴかちゅうのお兄ちゃんは早く――」
「断る。迷子の子供をそのまま放って置けるか。お前がよくても俺は超善人だから、後から胸糞悪くなるのは嫌なんだよ」
「で、でも……ひっ! う、後ろ……」
「ん? ああ、敵か」
見ると、そこにはオノノクスと呼ばれる種族のポケモンがいた。キバゴの進化形だったと思う。強さはドラゴンの名に恥じる事ないぐらいだ。
いや、俺相手だと恥じるかもな。
「成る程、丁度いい。そこのシェイミ、俺の戦いを良く見ておけ!」
「いやぁ! 早く倒してくださいでしゅー!!」
……怖すぎたのか、“頭隠して尻隠さず”状態になっている。パニックもなりすぎだ。
「はいはい、分かった――」
と、次の瞬間。
「よ!」
「ゲアッ!?」
「う、え……?」
敵の悲鳴を聞いてこっちを見て驚くシェイミ。
それはそうだろう、なんだってさっきまで取って食おうという雰囲気を出していたオノノクスが――既に倒れているのだから。
「電気を応用した技だな。電気で筋肉を刺激して、能力を引き上げる」
結果、もの凄い速さで強力な力のパンチになってしまい、オノノクスは一撃で倒れたが。
(言えない……これをしたら、反動で半日の間だけ手の力が抜けるなんて)
当然だが、強力になればなるほどにそれ相応の対価はついてくる。今回は解放状態でもないのに体を強化した反動だ。
半日間だけ左手の力が抜ける。物を持つ程度には残るが、“メガトンパンチ”などの攻撃技は使えない。
「す、凄い……里で一番強い人でも、ちょっとは手こずってたでしゅ……なのに」
「まぁ、電気タイプになったのが良い事だ。電気と体は深い関係にあるからな」
「凄い、凄いでしゅよ! えっと……」
「ああ、俺は“エメラルド”――ただのしがない探検家だ」
一度言ってみたかった台詞だったのだが、この時は無意識に言っていたと思う。この幼いシェイミを守ることで周りに意識を向けていたから。
「みーは“シーア・ブローム”でしゅ。よろしくでしゅ、エメラルドお兄ちゃん!」
「……普通にラルドでいいぞ。後、お兄ちゃんはやめ……」
「分かっでしゅ、ラルドお兄ちゃん!」
「……はぁ、もういいか。別に何かが変わるわけでもないし……シーア、これから俺はシェイミの里に向かうけど、絶対に逸れるんじゃないぞ?」
「分かってるでしゅよ! みーだって子供じゃないんでしゅから!」
……強がって入るが、完璧に子供です。しかも先程自ら十一歳だと言っていたのだ。
これにはラルドも呆れざるを得ない、迷子になるわすをしゅと言うわ挙句の果てには子供特有の子供じゃない発言。いやもう完璧に子供です。
「じゃあもういいけど、早く行くぞ。あいつらもエリア中探しても俺がいなかったら、自力で言ったと思うだろ……はぁ」
でも、それには一つ問題がある。
俺は確かに子供が好きか嫌いかと言われれば、嫌いではないがそんなに好きでもない、と答える。
だが俺は子供の扱いを知らない、子供に振るような話題もない。考えてみれば俺はつまらない男なのだ。
顔もそんなによくないし、性格も悪く、話題もないとは……最悪だ。
このラルドに向ける言葉、それは「鏡を見て、周りをよく見ろ」という事だけだった。
「おー!」
「うわっ!?」
と、思った瞬間背中に乗られる。そのまま頭に移動すると、四つの脚で俺の頭を掴み、乗ったままとなる。
確かに背負うにも小さすぎるし、かといって抱っこも無理だ。万が一の時危ない。
「って、軽ッ!? 片手でも持ち上げれるぞ!?」
「五月蝿いでしゅよ、ラルドお兄ちゃん。それに、最近ちょっと太ってきてるでしゅ……」
「ああ。シェイミは全員こんなに軽いのか、これで太ってるのか……」
ラルドの中での、普通の基準が崩れ去っていく音が聞こえた気がした……。
「ラルドお兄ちゃん、出発進行〜!!」
「あーはいはい。分かりました」
一体全体、どうなる事やら……と、心配しながらもシェイミの里を目指して歩くラルドであった。
〜☆〜
――所変わって、ここは違うエリア。
そこには、疲れきった二人のポケモンと隣で死んでいるポケモンがいた。
「死んでは、いない……ぐっ」
「大丈夫かい、シルガ?」
「シルガは強いからね、大丈夫だよ」
「無理だ……!!」
死んでいるポケモン――シルガは、どうやらモンスターハウスや普通の敵、全てを任されてきたらしい。
ラルドは広範囲技も使え、近距離、中距離、遠距離。全てに対応できるし、体力の減りも遅い。だがシルガは近距離、中距離だけで体力も多いが運動量が多すぎる。
しかも中距離もそんなに得意ではなく“波動弾”だけが取り柄だ。
「あいつも馬鹿じゃない、俺達が一々探さなくとも突破するだろう」
「確かにそうだね、この霧の中でも、ラルドはしぶとく生き残るだろうね」
「じゃ、私達は先にシェイミの里に戻ろっか。ラルドは傷ができても早く治るし」
「……それはそれで、酷いんだがな」
「何で? 私はラルドを信じてるもん、ラルドは霧がかかってても負けないって」
……言葉を選ばず、まして人と積極的には喋らないシルガからしたら「馬鹿か……」としか言えない。
まず普通の者から見ても「へ、へぇ〜」としか言いようがない。すっかり信じている。
「……人を信じすぎると、足元をすくわれるだけだが」
「何言ってるの? ほら早く早く、ラルドが先に居るかもよ?」
「そういうことだね。シルガ、君も早く慣れないと居ずらくなると思うよ」
……もういい、俺は諦めた。
「波動でも探知できんのでな、仕方なくだ。仕方なく……」
「何言い訳してるのさ、ほら行くよ!」
「ミル、走ったらこけてしまうよ?」
「平気平気、子供じゃないんだから――へぶっ!?」
世界を救った探検隊の副リーダーが、子供にも負けない程の馬鹿とはどういう……。
――だが、いいか。
〜☆〜
「ラルドお兄ちゃん、早く行くでしゅ!」
「待て待て……一体全体、ここはどこだ?」
とりあえず、頭の整理からだ。
俺はいつも通り、ダンジョンを回っていた……が、何時までたっても階段を見つける事が出来ずに同じ所をぐるぐると回っていた……これでオーケー?
「シーア、お前は一体どこで敵に攻撃された?」
「入り口に入ってすぐでしゅ、皆は逃げたけどみーだけは……だからラルドお兄ちゃんに探してもらってるでしゅ」
「ああ分かってる、でもな……階段が無いんだよ。どこを探しても」
幾らこいつが入り口と言っても、ダンジョンを抜けるには階段を通らなければならない。勿論このダンジョンも例外でないだろう……だろう。
確かにここのダンジョンは少しだけ特殊だと訊いていたが、まさかダンジョンから出るには普通に出口を通ればいい、って訳でも無いだろうしな。
「本当、どこにあるんだ?」
幾ら周りを見渡そうと、霧、霧、霧と階段なんてどこにもない。あったとしたら絶対に見えているはずだ。
じゃあ、一体どういうことだ……?
「ああもう! 一体、どうすればいいんだ!?」
「お兄ちゃん、五月蝿いでしゅ……よ」
「え? ……ああ、敵か」
見ると、そこには“マタドガス”というドガースの進化系のポケモンがいた。
毒単体で、自爆もするという危険なポケモンだが……正直、一瞬で終わる。
「はいはい……“雷パンチ”!」
雷を手に纏い、マタドガスへ打ち込む――と、思われた。
「って、え!? まさかの電気切れ!?」
マタドガスにあたったのはただのパンチ、メガトンならまだしも普通のパンチではそんなに効果はない。
「まーた、どがーす!」
「――“毒ガス”!?」
そして出来た一瞬の隙に“毒ガス”が噴出される。“毒ガス”とは名の通り毒のガスで吸い込んでしまうと毒状態になると言う危険な技だ。
そして至近距離にいた俺も、例外なく吸い込んでしまう。
「うっ、げほっ! シーア、大丈夫か……?」
だが間一髪のところで、俺はシーアをガスから守る様に頭を離す。
「ら、ラルドお兄ちゃん。大丈夫でしゅか……?」
「あ、ああ。大丈夫……う゛っ!」
そんな隙にも、毒ガスが噴出される。正直言って目がクラクラするし、とても立っていられない。吐き気もし、混乱よりも性質が悪い。
因みに毒は全状態異常中最も危険度が高く、一歩間違えればその場で死が待っている。
「ラルドお兄ちゃん……み、みーが助けてやるでしゅ!!」
「は、なにを……する気だ」
まさか、攻撃を? 無茶だ、そんな事は止めさせなくては……と、思い体を動かそうとするが毒のせいで上手く体が動かない。
「うぅ……!」
「なんだ、毒ガスがシーアに吸い込まれていく……?」
正確に言うと、耳がついていると思われる場所についている桃色の花に吸い込まれている。そして全て吸い込む頃、花は桃色だったと言う事が信じられなくなるぐらい黒くなっていた。
「み……みいいぃぃ!!」
「どがぁーす?」
「何を……ッ?」
瞬間。
――辺り一面が、光に包まれた。
「う、うわああぁぁぁ!?」
覚悟して目を瞑る……すると、その身を衝撃波が襲う。
衝撃波の威力は思ったほど高くはないが、この体のどこにこんな力が……と思うほどではあった。
「ぐ……し、シーア、大丈夫か!?」
「らるどお兄ちゃん……みーは、大丈夫でしゅ……よ」
……信じられないが、俺が目を開けるとマタダガスは倒れており、シーアは傷だらけで倒れていた。しかも霧が晴れて、俺の横の壁から光が射していた。
だが俺はそんなことを気にせず、毒状態と言う事も忘れてどういう事かと頭をフル回転させる。
そんな物、意味がないと知りながら――。
次回「到着、シェイミの里」