ポケモン不思議のダンジョン空の探検隊 エンジェル〜黒と白の12の翼〜







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第一章 帰ってきた救世主
第十一話 空の頂き〜襲い掛かるは捕食者達〜
何故かエンジェルと決闘することとなってしまったラルド。その条件は空の頂きの頂上へ先に上ることであり――?





〜☆〜

……あれから朝になり、俺は空の頂きの地図を何度も見比べた、そう何度も。
朝の五時には起きて、六時までずっと地図と睨めっこする。お陰で大体のルートは把握できた。
後は――空の頂きに登るにあたっての適正力量、いくら道筋を把握してようと力量がないと突破はできないが俺の力量だと十分な事はわかった。

そして、今は午前七時。大体の話し合いなどは終わり、俺はシェイミの里を探索していた。

「この地面に生えてる花、“グラシデアの花”っていうのか……見たことも訊いた事も無いな」

今は新しい発見を楽しんでいる真っ最中だ、これから死ぬような激戦を繰り広げるわけだし、別にいいよな。
誰に言い訳しているのか知らないが。

「とりあえず、他にいい場所はないか探してみるか」

そういやシルガは昨日、丘の上で寝ていたって言ってたな。そこにいけばいいんじゃないか……場所は知らんけど。

「ふぁ……最近、面白い出来事も起きてないし……何か、強い奴と戦う出来事とかあったらいいんだけどな」

因みに、人はこの発言の事をフラグという。覚えておこう。

「じゃ、行ってみるか」

それから数十分、里中を探し回るラルド。それでも一向に丘を見つける事ができない。当たり前の事なのだ、丘は里の外にあるのだから。
それでも里の事は何も知らないラルド、ずっと里の中を歩き続ける。

「……」

黙々と歩き続け、数十分後。まだ寝ている者も起きていても外に出るなんてない、そんな時間帯……遂にラルドは切れた。

「ああもうッ、どこにあるんだよ丘はッ!!」

無論、心の中で。

「はぁ、どこにあるんだ……?」

「――おや、何かお探しですかな?」

不意に、それはやってきた。
後ろに気配も感じさせず、足音も立てずに、それはやってきた。

「なっ……」

「どうも、お客さんですかな? ワシは“フラン・グラシデア”といいましてな」

「俺は“エメラルド”だ。よろしくなじーさん」

如何にも年老いた様に見えるシェイミ、“フラン・グラシデア”。
それが誰かは、何も聞いていないラルドからしたら知らずに只の老シェイミとしか思わなかった。但し気配を感じさせずにきた事は置いておく。

「ほっほっほ……ところで、何か探してたようじゃったが?」

「ああ、景色が良くて寝心地がいい丘を探してたんだが、ないのか?」

「それなら里の外にあるんじゃが、知らなかったかの?」

うお、本当かよ……知らなかった。
これは村を何週しても見つかるはずないよな。……うわ、足が痺れてきた。

「ありがとうございます、じゃあ俺はこれで」

「ほっほっほ、すまんの」

? 何がすまないんだ……ぼけてきたか、老人語か?

「ま、いいか……」

俺はその後、歩いて向かう。走るなんてできる状態じゃなかったし、まだ時間的に余裕もあったからだ。
そして、今は七時だろう。で、丘で一時間眠るとして八時。出発は危険性も考えて十時。つまり最低二時間はある。

「ま、残りは交流とか情報を聞くのに使うだろうな……」

そんな事を思いつつ、俺は丘の方へ向かうのであった。



「……“エメラルド”さんや、済まんが里の為。許してくれ……!」

ラルドの姿が消えたところで、爺さんがそういうとともに……後ろで、何かがキラリ、と反射したのは気のせいだろう。



〜☆〜



――一時間後。

今の時間は八時。ほとんどの人が起きて、仕事などの支度をする頃合だろう。
そしてシェイミの里でも例外はなく、この時間にはほとんどのシェイミが顔を出していた。

「へぇ……やっぱり店とかはあるんだな。ここだけの限定品とかあるし」

例えば、どうやらシェイミ達にとって生活の助けともなる花――“グラシデアの花”などがおいてあるらしい。生えていない場所の方が珍しいけどな。
どうやらこの花から出る花粉……これをシェイミが吸い込んでしまうとフォルムチェンジ、と言う姿形が変わってしまい、能力も大幅に変化すると言う特殊な能力が発動するらしい。

「……ん? あれは……シェイミじゃないよな」

やがて本通りというか、それに近い所に出ると、確か……“キノガッサ”と“クチート”と“ゴーリキー”と呼ばれるポケモンが集まっていた。近くのシェイミと話もしていたし、多分昨日きた探検隊か開拓チームだと思う。

「ちょっと、行ってみるか。情報最終確認と言うことで」

と、俺は三匹の下へ駆け出していた。



「それでさ、あの時……」

「ああ、分かる分かる……」

「俺もなぁ……」

とりあえず来たわけだが、なんか話しに夢中になっている。これでは俺が話しかけたら「夢中に話してたのに邪魔するなよ」みたいな事になってしまう。
が、よくよく考えれば三匹の近くで何か考えているというのは、とても目立つ物で……あちらが先に俺に話しかけてきた。

「ん、君は……?」

「あ、俺はピカチュウの“エメラルド”です」

「へぇ、本当に!? あの“エメラルド”!?」

「おお、凄ぇや!」

「はは……どうも、僕達は開拓チームの“フロンティア”。僕がリーダーでキノガッサの“キノサ・ホーシガ”、こっちのクチートが“サザム・チクータ”、ゴーリキーの“リキ・ビルダー”」

どうやらプロジェクトPの開拓チームは“フロンティア”と言うらしい、初めて知った。しかも中々強そうじゃないか、俺達でも苦戦するよな、絶対。

「で、何の用かな?」

「あ、空の頂の情報を訊きたいんだが」

「それなら……とっておきの新情報があるんだ」

新情報? 俺は首をかしげて、新情報が何かと考える。そういえば朝の時、結構寒かったよな……。

「一ヶ月前か、雪が降っているそうなんだ。そのせいで不便になっているらしいよ。それと頂上付近のポケモンが強くなっているとか何とか……八合目からは気をつけなよ」

八合目、ここからこの村最強のポケモンでも手こずる強さになるらしい、というか実際に負けて帰ってきたとか。
なるほど……並みの大人達じゃ近くに居ても守れないし、危ないわけだ。

「ありがとう……じゃあ、俺はこれで」

礼をすると、俺は後ろを向いて立ち去る。この情報はハッキリ言って良い情報でも悪い情報でもある。
何故かって? あちらの登山スピードが遅くなるし、グラスは案内人としての役目を果たすために安全な道を通る。
だがこちらはそれを逆手にとって一気に進む、二合ぐらい突き放せばいいだろうし、後は適度な速さで進むだけだ。

それから家に帰ると皆に怒られた、ミルは「心配した!」でフィリアは「同じく」、シシルガは「この時間まで散歩するとは良い度胸だ」とかシーアは「何でいきなり居なくなってるでしゅか!?」と、グラスには「敵前逃亡お疲れ様でした」等々……グラスに再度ムカつきを覚えた物の、敵が強くなっていると訊いていたし……なんか嫌な予感がする。



〜☆〜



――空の頂き前――

「で、俺達はちょっとあれだから先に行けって言われたんだが……」

「みーだって、公平な勝負の方が良いでしゅ……」

十時、ダンジョンのポケモンは間違いなく巣に居たり普通の状態と安全な時間帯。その十分後にあいつ達が来る手はずとなっているはず。
だが腑に落ちない、当然と言えば当然なんだが……まぁ、いいか。

「っと、入り口は……ッ!!」

登山道の入り口を探し、さぁ登ろうと言う時。何かにぶつかってしまった。

「うおっ! ……危ねぇじゃねぇか!!」

「す、すまん!」

そのポケモンは“ニューラ”という種族で真っ黒な体に白く鋭利な鉤爪を持ち、素早い事が特徴のポケモンだ。
ダンジョンでまだ新米の探検隊がニューラの素早い動きについていけなくてやられた事例もあるそうだ、慣れたらまぁそんなに強くない。

「ん、手前“英雄”か?」

「ああ、それが?」

「ふん……雑魚の癖に粋がりやがって」

「……」

早く行かなければ、今回の勝率は格段に下がる……そう思い俺は我慢する。実際、こんな奴らに絡まれたのは一度や二度じゃない。

「精々、頑張るこったな」

そういうだけ、ニューラは去って行く。俺はその後姿を見ながら本当に面倒くさいと溜息をつく。
こんな経験は今まで数えただけ、十回以上はあるがその度に溜息をついているので幸せが逃げに逃げまくっているのだろうか?

「ラルドお兄ちゃん、あの人は誰でしゅか?」

「……出すぎた杭は、段々と打たれるってことらしいぜ」

これはシルガが言っていた事だ。事前に「雑魚が言う傾向に〜」とか言っていたと思うけど、訊くのはやめた。だって難しいんだぜ?

「もう行こうぜ、あんまり遅いと追いつかれちまう」

「は、はいでしゅ」

そして俺達は改めて――空の頂き“一合目”へと足を踏み入れた。



〜空の頂き 一合目までの道のり〜

覚えている情報によると、一合目は草原のような場所らしい。それに草ポケモンも多く、出現するポケモンの例は神秘の森と変わりがない。
一番強いのはおそらくドダイトスやフライゴンと言ったポケモン達だろう。

「全部で十合。十合目は頂らしいけど……シーア、何か知ってるか?」

「……五合目までは隠れて行った事があるでしゅが、それからはグラスお姉ちゃんとしか……」

「成る程、分かった」

一合、二合、三合目は簡単に突破できるだろう。一合目までの道のりはさっき言った通りに草原のような場所、二合目までの道のりは森林のような場所、三合目までの道のりは荒地のような場所……らしい。

「とりあえず行こうぜ、もう直で十分だ」

「は、はいでしゅ」

……その後どうなったか。
まず一階目、ベイリーフの甘い香りに誘われ、エビワラー、オコリザル、リングマに襲われた。シーアを守りながら戦うのは辛い物で、“気合パンチ”を二発と“切り裂く”を一発喰らう。手負いだったようで安易に倒せたが。
次に二階目、又もやウツドンの群れに突入。“葉っぱカッター”やら“蔓の鞭”などで攻撃される。これだけで持ってきたオレンの実十五個のうち三つ消費。
三階目、覚えてるうちでは最後……ここで、フライゴン二匹を倒した。……そして、この道のりで一番苦戦したドダイトスと戦う。
何故かこのドダイトス、恐ろしい程の強化がされていて、リーフストーム一発で雷を完全相殺された。威力的には同じだが驚いたのはそこじゃない、防御力だ。
甲羅にパンチを叩き込むもほとんどダメージが通っていないようで、結局は内側を攻撃する事となった。

〜一合目〜

「ぐ……ふっ」

「だ、大丈夫でしゅか? みーが弱いから……」

「大丈夫大丈夫、こんなの日常茶飯事だって」

とは言った物の、これだけで三つ消費は辛い。下手したら登山失敗なんて事も……いや、それでも登らなければいけないか。

「これからはオレンの実を節約しないといけないな、他には……」

「……た、探検隊か?」

? 今、声が聞こえたような……。
俺は後ろを見ると、そこには傷だらけになった“ヘラクロス”というポケモンがいた。パッチールのカフェの時、特に騒いでいたポケモンの一人だ。

「どうした?」

「リングマやオコリザルやエビワラーに襲われて……オレンの実が尽きて」

! あの手負いの三匹か、かなり弱っていたがまさかこいつが……。

「“不意打ち”を喰らい……オレンの実をくれ……」

「ああ、待ってろ」

この傷は明らかに酷い、オレンの実を二つ使わない限り辛い。そうなれば俺達は残り十つだが……後味を悪くするよりましだ。

「あ、ありがとう……ふーっ、回復だぁー!!」

ヘラクロスは一つをそのまま食べ、至る所にオレン果汁をかけると復活の大声を上げる。かなり荒い治療法だがそれでも治る事には治る。

「ありがとう少年! お礼にコレを上げよう!」

「これは……?」

手渡されたのは一つの蒼い箱、何か入ってるようだが……なんだ?

「これは“空の贈り物”と言うらしいッス、じゃあ自分はこれで! ありがとうございましたッス!!」

ヘラクロスは礼を言うと、回れ右をして去って行く。先程のニューラとは違って好印象を持てる。
やっぱり、あれぐらいの常識がなければチームなんて作れないよな……。一匹狼って奴か?

「それより、シーア、これが何か知ってるか?」

「それは“空の贈り物”って言って、自分であけると効果はないでしゅが、誰かにプレゼントしたりすると中に道具が入ってるって言う……不思議な箱らしいでしゅ!」

空の贈り物、自分で空けても意味はないが、誰かに上げると意味がある……か。

「一体、何が入ってることやら」

ラルドは“空の贈り物”を空けた。
中には“オボンの実”が入っていた。

「……オレンの実の、お返しってやつかな」

俺はお返しをくれたヘラクロスをありがたく思いながら、バッグをあけてオボンの実を入れ、シーアとともに二合目へ向かった。
因みにその後、ヘラクロスは一度途中でリタイアしたらしい……。

〜二合目〜

二合目までの道のりを終えた俺達は、二合目へ来ていた。
道のり? もう険しいのなんのって……それでも三合目まで出現ポケモンに大差はなく、一合目での経験も活かしそれほど苦戦はしなくなった。
そして二合目では……。

「やっとついた……ん?」

なにやら少し騒がしい、一合目には探検隊“かまいたち”などのポケモンが後から着たりしていて実力のある物が集まっていたが……ここには、そんなに強く無さそうな奴まで来ていた。

「どうしたんだ、一体」

「あ! ラルドお兄ちゃん、あそこを見るでしゅ!!」

シーアの指差す方を見るとそこには“フワライド”というポケモンがカウンターのような場所にいた。恐らく何かの店か何かだろう……一体何だ?

「あ、君は!」

「お、キノサ」

真ん中にいて、何故気付かなかったと思うくらい存在感を放っていた……探検隊フロンティアのキノサが話しかけてくる。
勿論、後ろにサザムとリキもいる。

「訊いてよ、俺達リサイクルの道具やお金でゴンドラを作ることにしたんだ。二合目に作ったから、今度は四合目に作る予定だよ」

「へぇ、これはありがたいな」

「ははっ、じゃあね。俺達は探検に戻るよ……いくよ、二人とも」

「おお、早く行こうぜ!」

「遅いよ!」

「じゃあな!」

フロンティアに手を振り、見送ると俺はゴンドラに乗るために話しかける所の前にある看板を見る。
そこには“フワライドのゴンドラ”と書いており、文字通りゴンドラの役割を果たすのだろう。

「案外、この山の頂上へ俺達より先に誰かが到達してゴンドラで行ける。みたいな事になるかもな」

「そ、そんなの嫌でしゅ!」

「ははっ、分かってるよ。俺だってそんなの嫌だしな」

チートや裏技使って、ゴールにたどり着きたくなんかないだろ? 何かの遊びでもそうだ、自分の努力や限界まで引き出した力で勝つ、それらが少しもないゴールはつまらない。
俺は楽しい方が好きだからな。

「じゃ、行きますか」

再度かつ、という意識を高めると、俺はとシーアは三合目までの道のりへと足を進めていった――。

〜四合目〜

……三合目までの道のりは一つ悲惨な事があった。
強力なフライゴンに襲われたのだ、“砂嵐”や“破壊光線”を巧みに扱うフライゴンに。
砂嵐、これは言葉通り自身を中心とした砂嵐を作りだし、天候を“砂嵐状態”にするという技だが自身の防衛壁としてそれを使い、怯んだ所に破壊光線を撃つという作戦を持ったフライゴンだった。
結局は倒したものの……強かった。

そして……四合目で事件は起きる。

「ふぅ……体を酷使しすぎた」

「大丈夫でしゅか? ラルドお兄ちゃん」

「ん、ああ。それにしてもシーア、凄かったな」

「な、何がでしゅか?」

「ほら、フライゴンに止め刺しただろ? あのエナジーボールのあたり具合、適格だったぜ」

「……ふふっ、そんな事あるかもでしゅね!」

笑った、やっと笑った。
と言うものの、登山中喋りはするものの笑いはしないのだ。不安なのは分かるが空気が悪くなるし……良い気分じゃない。
そして何よりそれが原因でバランスが崩れ、探検失敗になってしまうことだってある。それ程までにチームの状態は探検において重要視される。

「それにしても、ここにもゴンドラができてたなんてな。フロンティアの奴らは早いぜ……」

「そうでしゅね、みーもあれに近いくらい強かったら……」

なんて言っても、後何年掛かるか分からないぞ。俺だって一年頑張って……いや、解放とかのお陰でもあったりするけど、そこは見逃して下さい。

「――た、大変よ〜!!」

と、なんだなんだ。事件か?
横目で見ると、オクタンが走ってきていた。吸盤だらけのあの足でどうやって走るんだろうか、凄く気になるのは俺だけか?

「五合目でニューラが怪しい奴らに囲まれてるわ!」

「な、なんだって!?」

真っ先に反応したのはフロンティアの奴ら、俺はニューラと聞くと嫌悪感しか沸かない。第一印象で好感のもち具合は凄く変わる物だと、この時初めて知ったような知らないような。

「それは大変だ、行くぞ皆!!」

「ああ!」

「おう!」

見事な速さでフロンティア五合目へ急ぐ。凄いな……勿論、俺達だって行くけど通過点だからって理由でだ、深い意味はない。

「……それでも、人助けは大事だからな」

真実は誰も分からないが。

〜五合目までの道のり〜

「うざいぞこいつら!」

「ポケモンの数が多くなりすぎでしゅ!」

五合目までの道のりのポケモンは正に質より数、だ。だがこちらの方が登山系などの体力を如何に消耗しないかというのではこちらの方が面倒で厄介だ。
俺を襲ってきているのは今までと変わりはないが……いや、一つあるな。

「オニドリルかよ!」

「怖いでしゅ!」

そう、新たにオニドリルがいる。
鋭い嘴から放たれる“ドリルくちばし”威力もさることながらスピードが速い、さっき足を掠めて行ったがかなりの距離からだ。

「強化ポケモンか、こいつも!」

ポケモンが強くなる、一合目と三合目のドダイトスとフライゴンは恐らくこの影響を最も強くうけたポケモンだろうと踏む、だとすればこいつもそうだろう。速さが尋常じゃなかった。

「この……ッ“暴雷”!!」

暴れ馬の如く疾走する雷は、ほとんどのポケモンを一瞬で薙ぎ払う。その威力は一目瞭然、一度見たらその実力がどれほどの物かと分かるぐらいの威力だった。
地面は焦げ、まだ少し電気が少し残っているという程だ。

「はぁ、はぁ……急ぐぞ」

「は、はいでしゅ……でも、五合目でしゅか……」

シーアは自身の考える可能性がないように祈り、必死にラルドに着いていくのであった。



――五合目――



……五合目、ここは草が生い茂っていてまるで一合目のような場所である。
ただ違う点は一合目より広く、複数戦闘ができるぐらいで……後は、黒いポケモンと黄緑の“むしとりポケモン”達が争っていると言う点だけだった。

「おいおい兄ちゃん、なにしてくれんだぁ!?」

「くっ……」

一目見ただけでは明らかに不良と思われる黄緑色のポケモン――“マスキッパ”が絡んでいるとしか思えないだろう。
実際、そう思って仲裁に入るポケモンがいたのだから。

「ちょっとそこの人達、ストップストーップ!!」

「ああ!? なんだ手前ら!!」

「俺達はチーム“フロンティア”! こんな山の中、争いごとなんて……」

「っざけんじゃねぇ!!」

「うわっ、五月蝿っ!?」

時を同じくして、五合目にたどり着いたラルドとシェイミはその怒鳴り声に耳を塞ぐしかなく、チラッと前を見る。
そこにいたのはマスキッパと呼ばれる種族、それを見るなりシーアが顔を青くしたがラルドにはそんな物見えない。

「今のうちに……」

しかもニューラがこっそりと逃げていったのに誰も気がつかない、馬鹿かこいつらと言ってもいいだろう。本当に馬鹿だ。

「ま、待ってくださいでしゅ! この人達は……」

「兄ちゃん達、邪魔するってんなら容赦しねぇぞ!?」

「そうなるなら、俺達だって、行くぞ!」

「「おお(ああ)!!」」

そういえば、考えてみれば依頼もお尋ね者なんてやってないし、果たし状もやってないし……久しぶりの理性ある奴との戦いだ。

「俺だって! 久しぶりの理性ある奴との戦いなんだ!」

「行くぞ手前ら!!」

「「「「おおぉッ!!」」」」

「ああもう、皆、待ってくださいでしゅぅッ!!」

各して、シーアの制止も聞かずにマスキッパ集団VSチームフロンティア+ラルドの戦いの火蓋は――切って落とされた。



次回「空の頂き〜探検隊の救助活動〜」

■筆者メッセージ
少しペースが落ちてしまいましたが無事投下、今回は長めとなっています。その分クオリティも低くなっているかもしれません。

次回「空の頂き〜探検隊の救助活動〜」お楽しみに!
ものずき ( 2013/02/05(火) 04:26 )