ポケモン不思議のダンジョン空の探検隊 エンジェル〜黒と白の12の翼〜







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第一章 帰ってきた救世主
第十話 決闘、エンジェルVSラルド!
森でグラスと名乗るシェイミとであったラルド、グラスの家へ行きシーアが目を覚ます。今回の事で二人の喧嘩が勃発し、お手上げ状態の所にラルドが――?





〜☆〜

「え……えええぇぇぇえッ!?!?」

「ほ、本気なのかい!?」

いきなりも爆弾発言に二人は思わず叫んでしまう、というか当たり前の反応だろう。
出会って間もない者の為に、リーダーというかチームを一時の間辞めるのだ。
因みにこの場合、リーダーは副リーダーのミルとなるが……。

「どうした、叫び声なんて上げて」

「そりゃ上げるよ! いきなりチームを辞めるなんてさ!!」

「一時の間だって、それにまだ申請もしてないんだぜ?」

「当たり前だよ! というかさせないけど!」

と、まぁ……こうなる訳だが。
ラルドは華麗にスルーしてグラスに向き合う、正直の所、こいつがシーアの登りきったら認めてくれるだろう発言に納得するとは思えないし、というか相手が誰であろうと納得しないだろう。意味が分からない。
ならどうする? 簡単だ、俺が話をつける。

「グラス、正直シーアの案では無理だと思う……だが、ここで一つ“決闘”をしてみないか?」

「決闘ですか、野蛮ですね……でも何で?」

「登りきったら認める、そんなの俺達にハンデがありすぎるからな」

「随分とシェイミの里自慢の山、“空の頂き”を舐めているんですね」

「時限の塔の悪夢と比べりゃ、まだ可愛い物だぜ」

……とは言ったものの、実は自信十分と言う訳では無い。
シーアが道を間違えてしまう可能性もあり、というか天にもっとも近いと言われているのだ、余分な体力の消耗はこっちがやってられなくなる。

「ですが、誰と決闘するのです?」

「分かってんだろ……簡単だ、俺とシーア対グラス含めたエンジェル。どうだ?」

「話になりません、それだとこちらが圧倒的に有利ではありませ――」

「ありませんね、言っておくが俺を舐めるなよ? 俺はエンジェルリーダー、エンジェル最強だぜ、舐めてかかると納得せざるを得なくなる」

決闘、様は子供同士の勝負みたいなものだ。
何故かって? それは今から分かるだろう……ルールは超簡単、どちらかが先に頂上に着く、これが勝つ条件だ。
逆に裏道を使ったり、明らかに何かしたって場合はされた側の勝ちだ。ここまでいいか?

「いいです、続けてください」

まぁ、これはシーアの反抗というか見返しだからな……と、脱線した。
但し相手側を攻撃して戦闘不能、二度と山なんて見たくない状態にしても良い。ただ頂上までは行け。
勝利条件は先に頂上へ着く、相手側チームを戦闘不能にする。敗北条件はこれの真逆、それとさっき言った裏道とかだな。

「――それでいいか?」

正直言って、賭けだ。こいつが安い挑発に乗るとは思えないからこうやって誘導してみた……というか誘導できでるか分からんけど。

「嫌です」

キッパリと切り捨てられた、いやここまでは予想の範囲内過ぎるけど。

「……そこまでして、シーアを謝らせたいか?」

「そうです、この馬鹿のせいで他の人が怪我をしたとなれば……」

「み、みーが代わりに攻撃を受けたでしゅから、皆は傷一つないはずでしゅ!」

「……無力なあなたに、一体なにが」

「あれ、知らないか? こいつは俺を庇い、尚且つ敵を倒したぞ」

“アレ”の時点でこいつは十分強い事が分かった。恐らくあれはシェイミだけが使える技だろう、花に毒ガスを吸い込むなんて荒業、普通のポケモンにできるはずがない。

「なっ……嘘はいいと、さっき」

「嘘じゃない、毒ガスを吸い込んで……衝撃波? みたいなのを放出して目を開けたら敵が倒れてたんだ、な、シーア?」

「敵を倒したかは分かりませんでしゅ……けど、ラルドお兄ちゃんを庇った事だけは覚えてるでしゅ」

「まさか……“シードフレア”を? いえ、まさかそんなはずは……」

シードフレア? なんだその技、種爆弾の捩りか?

「何で決闘になったかは流れだし、もっと良い手もあっただろうな。それこそ無事に帰れていたらお前がシーアに謝るとか」

「謝りませんし、傷ついているに決まっているでしょう。それに決闘など――」

「でもシーアが決めた事だ」

俺はグラスの言葉を遮って言う、迷走している気は確かにある。というか絶対に迷走しすぎだろこれ。
……だが、それでもシーアが子供脳で考えて捻り出した答えだ。いやシルガが誘導したという考え方もあるが……多分、シーアは皆を守れるぐらいには強い、でもあいつがそれを認めようとしない、だから頂上まで登りきってあいつを見返すといった所だろう。

「それにシーア。お前が使える技はなんだ?」

「えっと、自然の恵み、宿木の種、マジカルリーフ……後、最近“エナジーボール”もつかえるようになったでしゅ!」

「なっ、エナジーボールを……?」

やっぱりそうだ、こいつは強い。下手をしたら俺より強くなるかもしれない。
この歳でそんなに強い技を覚えているのだ、師匠がついていても凄い。

「この歳でこの技、これなら霧包山のポケモンだって一匹は倒せても可笑しくない……現に、攻撃を一発耐えている」

「それでも危ないですよ!」

「ああ危ないな、だから空の頂まで登り、お前に実力を見せつけようとしてるんだ」

「あなたがついているでしょう?」

「何を勘違いしてるんだ、俺でも一人で山頂までなんて無理無理。こいつの力を借りるに決まってるだろ?」

態と挑発的な態度で答える、今の状態のグラスならが挑発にも乗るだろう。

「シーア、お前は……空の頂きに登る覚悟があるか?」

「あるに決まってるでしゅ!」

「な……正気ですか?」

「正気も正気だ、別に決闘を受けなくていいんだぜ? シーアが俺の補助つきで空の頂へと登りきったって言う武勇伝を臆病シェイミの前でここの奴らに聞かせるだけだからな」

最強で最後の挑発、これに乗らなければ終わりだが……どうやら乗ってくれたらしい。顔をみても解かる様な変貌、というより雰囲気が少し黒くなっている。
まるでアニメや漫画みたいだな、おお怖い。

「……いいでしょう、空の頂きに登って実力を見せようが自分には関係ありません。ですがそこまで言われてしまっては……自分にも、里で“最強”の称号があるんで、引き下がるわけにはいけません」

「……え?」

「知らないのも無理は有りません、ここに来たばかりですからね。いいでしょう、自分はシェイミの里で“最強”のシェイミ、空の頂き登山記録最短の実力を持った者です。どうかフェアな決闘を心がけましょう」

なん……だと……!? 最短記録、しかも最強だと!?

「ほう……チームの誰かがたどり着けばいいんだな?」

「へぇ面白そうだね、フィリアやろっ♪」

「み、ミル……僕は別にいいけどさ」

「さぁ、世界を救った探検隊と里最強……それに対抗するのは英雄ラルドと里の子供で恐らく最強。さぁ、どちらが勝つでしょうね?」

ああ……さっきまでは勝つ気満々だったのに、今から憂鬱になってきた……最強と英雄とか洒落にならないぞ、おい。
で、こちらは自称英雄と里の子供最強か……い、いや、信じる心がなければ勝てる訳がない!

「シーア……俺達は絶対に勝つぜ」

「は、はいでしゅ!」

正直、今の所こいつの花を明かす……鼻を明かすには最短記録を破ってやるしかないだろう。だが俺は道筋も知らない、迷ってしまった場合はどうする?
裏道、罠……それ以外といったら、もう“翼”に頼るしかないが……生憎、全開放なんて五分で終わるだろうし第一使えない。

「勝負は明日、では……今日はここでゆっくりお休みになってください」

さて、勝負はもう始まったも同然だ。



〜☆〜



「あー、生き返る……ずっと気を張り詰めたままだったからな。安心するぜ」

「……ら、ラルドお兄ちゃん……」

とりあえず食事を終えた後、俺とシーア、エンジェルとグラスで別々の部屋で寝る事になった。作戦とか聞かれたくないんだろう、こっちも一緒だからな。
で、さっきから何か言おうとする度に「でも……」みたいな感じのシーアが気になる。

「どうした、何か言いたいのか?」

「あ、あの……みーの我侭に付き合ってくれてありがとうでしゅ……」

「……はぁ、そんなことか」

「そ、そんな事って……!」

「いいか、これは俺の我侭だ。別に放っておく事もできた、まぁ簡単に言えばお前に情が移っちまったって訳だ。分かるか?」

これは別に嘘じゃないし、本当の事だ。
あれは情が移って近くで起こっているからと俺が勝手に助けて勝手に決闘を申し込んだ。全てが俺の我侭だ。ただ決定権をシーアが持ってたってだけだ。

「――で、お前がグラスを見返したい理由を俺はまだはっきりと聞いていないんだが……教えてくれるか?」

「う……グラスお姉ちゃんを見返したいのは、みーが皆を逃がせるくらいには強いって事を報せるためでしゅ……それに、敵が最近現れたって言ってたでしゅよね?」

「ああ、確かに」

敵が現れたから無理になったんだっけ、全くそれぐらいなら毎回付き添えばいいだけだろ……心狭いな。

「実は、それはみーのお友達なんでしゅ。マス……何とかって種族の」

「へぇ、それはそれは……って、え!? 友達!?」

「う、五月蝿いでしゅよ、ラルドお兄ちゃん」

ダンジョンで理性を保っているなんて、余程強いポケモンだろう。しかも襲わないし遊んでくれるなんてまるで普通のポケモンじゃないか。
まさか、敵とまで友達になってるなんて……シーアは友達を集める力でも持ってるのか?

「それを皆は、危ないからやめろって……皆と違うって言ったんでしゅけど……ううっ」

「訊けば訊くほど、慎重すぎやしないか、里の奴らは……」

話を聞く限り、ほとんどの大人たちがグラスのような反応なんだろう。しかも代わりの遊び場もないときた。
好奇心旺盛、遊び盛り言ってもいいぐらいに遊ぶ子供達からすれば酷い仕打ちだろう。

「つもり、友達を危険って言われて以来会えてないから、理由も聞かず、有無を言わさず会えなくしたからお前たちは怒ってるんだな?」

「はいでしゅ……」

「……分かった。明日は激戦になる、だからもう寝ろ」

「は、はい……お休みでしゅ、ラルドお兄ちゃん」

それから数十秒後、シーアの寝息が聞こえてくる。完全に眠っただろう。
それにしてもなんだ、里の大人達が慎重すぎる理由は、前まではそうでもいいが……時の影響がほんの極わずかでも少し直った今、別にいと思うが……。
まぁ、山頂へ行けば何か分かるかもな。
ふぁあ……考え事してたら眠くなってきた、そろそろ寝るか。

――お休み、シーア。



次回「空の頂き〜襲い掛かるは捕食者達〜」

■筆者メッセージ
第十話投稿、決闘とタイトルにあるのに決闘は始まらず……すいません。
さて空の頂き編、少しばかり迷走していると思うんですが相変わらずの駄文でがんばります。

次回「空の頂き〜襲い掛かるは捕食者達〜」お楽しみに。
ものずき ( 2013/02/03(日) 17:40 )