ポケモン不思議のダンジョン空の探検隊 エンジェル〜空を包みし翼〜












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番外編2“今までの事〜裏〜”
番外編 番人破りし閃光
今、時系列的にはラルド、もとい精神だけはレインが今までの事を纏めている所だった。
誰も見つけたことが無い、又見付けても記憶を消されてしまうため、今現在知っているのはかの有名な“プクリンのギルド”だけという“霧の湖”。
そこに、時に導かれし大怪盗が現れる――。

「ここが……霧の湖へ行く過程の洞窟……“熱水の洞窟”」

そのポケモンは、霧に包まれたその場所で佇む。
ただ、最初から霧に包まれていた訳では無い、誰かがここの霧を解いていた。

――まさか、お前なのか?相棒……。

ポケモンはそんな淡い期待を寄せるが、恐らくそれはないと自分の中で自己完結する。
そして、そんな考えを捨て、“熱水の洞窟”へと入っていく。
その月光に映し出された目は、覚悟の炎を灯していた――もちろん例えだが。

「あいつ、今どうしているだろうか?だが今の所、盗んだって聞いているのは俺のだけだ……いや、ここは炎タイプが住んでいる。油断はするな、俺」

自分に必死に冷静になるように言い聞かせると、いつもの表情に戻る。
まるで、なにかが順調に進んでいる事を喜んでいるような、そんな感じの。

「ん?足跡が複数あるな……ここらにいるポケモンの足跡ではない……もしやあの二人が?」

……いや、それは無いか。ここにある足跡はいくつもある、あいつらだけではこんなに着かない。まぁ、あいつも要るって事もあるが……まぁいい、関係ない。

「さっさと進むか……相棒、後三つだ、後三つ……だが、その三つが問題だ」

そこには伝説の意思、知識、感情を司りしポケモンがいる。戦闘能力はたいした事は無いが、それぞれ記憶を失くす能力、感情を消す能力、石にしてしまう能力を持っているため、油断は出来ない。

「それにしても暑いな……むしろ熱い」

だが、全てが独り言、所詮気を紛らわせる為の言葉だ。相手はいない。
そして……比較的ポケモン自体は弱いダンジョンだったため、俺は直に中腹に着く。
恐らく奥地には……なるべく戦闘は避けたいが、それは無理だ。ここ“熱水の洞窟”に入ると同時に見つかったと同時だ。

「それにしても、少し冷たくはなったな。それでも暑いがな」

全くあの問題探検隊と同じ発言をしているが、それでもそんな事は誰も解からない。
下らないが真相は闇の中だ。

「もうすぐか……うん?」

奥地へ近づくため、一歩前に進むのだが、そこは……。
モンスターハウスだった。

「だが、弱いのばかりだな……あの技を試すか」

ポケモンの周りに緑色の斬撃が現れていた。
それは細かくなり……全てのポケモンに命中し、一撃で倒す。
そのポケモン達は血飛沫が少し上がった。

「相変わらず“斬る”攻撃は酷(むご)いな……」

そのポケモンはその場を後にして、奥地へと足を運んだ。



〜熱水の洞窟 最奥部〜



「ここか……最奥部か?」

いや、まだ奥がある、そこに……時の秘宝があるんだ。
だが、そこには最初の関門が待ち受けていた。

「グォオオオオ!!なんだ貴様は!?」

「念力か……散れ」

「何を……!?」

ポケモンは現れた伝説の大陸ポケモン“グラードン”に怯えもせず、足を先程の技で攻撃する。
そのせいで、グラードンはあまりの痛みに倒れる。そこまで五分はかかったが。そして、そこで顔に……。

「散れ、念力で出来た紛い物」

「グオッ!?」

――思いっきりリーフブレードの嵐を食らわせた。

「……死んだか?いや、元から命はないか。所詮幻影……さて先に進むか」

そして、俺は……霧の湖に向かう。
少し歩いただけで良いけどな。

「ここが……霧の湖か」

そこは湖が光り煌めき、幻想的な光景を映している。恐らく鍾乳洞よりは綺麗だ。
だが、そんな事、俺には関係ない。

「どこだ……?」

俺は周りを見渡す。するとそこには、黄色い頭に、水色の妖精のような体のポケモン――ユクシーがいた。

「あなたは……くっ、やはりあの方達が……」

「何のことか解からないが……それは違う、俺は元からここに“時の秘宝”があるのを知っていた」

「なんで……あのリオルと同じ事を……」

「? リ……オル?」

まさか……いや、そんなはずは無いよな。
そうだ、そんなはずはない。

「まぁいい。そいつらには関係は無い……俺が関係あるのは、翠の瞳をした――だ」

「――?そんな者がここに……?」

「早く行かなきゃいけないんだ……終わりだ」

「なんの用事で急いでるのかは解かりませんが……通しません」

「そうか、なら……」

ポケモンはその場から一瞬で消えると、ユクシーの後ろに回る。

「なっ……!?」

「さっさと終わらせたい。散れ」

「きゃぁああああ!!!!」

時の守り神を護る者の悲鳴は、虚しい事に辺りに木霊しただけであった――。

「さて……悪いが頂くぞ。っと、その前に……」

ポケモンはユクシーを湖に入れると、流れる滝と共に落ちたのを確認すると、自分もまた湖に入り。

「遂に……三つ目の時の秘宝“時の歯車”を……手に入れたぞ!」

湖から“時の歯車”を盗った瞬間そこから離れるポケモン。
そして、その場所は灰色に染まり、幻想的な光景も無くなっていた。

――そう時が止まっているのだ。

そんな事もどこ吹く風、ポケモンは完璧になる泥棒をした。
ただ、ユクシーが少しだけ意識が残っていたのに気付かなかったのが、痛手だった――。



「待っててくれ、相棒。お前がなにかの怪我をしていても、俺が……お前の分まで達成してやる!

――あの日四人で誓った約束を!」

月夜に照らされしその姿は、遠吠えをしている狼の如くだった――。

ものずき ( 2012/08/30(木) 05:19 )